ナハトさんのお宅の新キャラ西さんと我が家のペルのお話です。
ナハトさんの素敵な小説の続きちっくな感じで…
西さんの性格が色々ツボに入った星蘭でした←
*attention*
西さんとペルのお話です
ほのぼの?ちょっとシリアス?なお話です
ナハトさんの素敵な小説"Es freut mich sehr,Sie kennen zu lernen"の続きなお話です
西さんに乗馬を教えてもらうペル
如何せん行動も表情も読みにくい彼にちょっと戸惑う西さんだったら可愛いなと←
ふとこういう発言に戸惑うペルだったりもします(笑)
少し空気が読めない?西さんに萌えます←こら
何だかんだ面倒みてくれそうなイメージあるな、と…
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
広がる秋の青空。
柔らかい風。
息を深く吸い込むと乾いた木葉の匂いを感じる。
長い黒髪の少年……ペルは漆黒の瞳を細める。
心地よい空気。
少し眠くなる様な……
そんなことを彼が考えていると後ろから軽く頭を小突かれた。
驚いたように振り向くと、彼と同じような黒髪の少年がたっていた。
彼の横には二頭の馬。
一頭は彼……西の愛馬であるウラヌス。
もう一頭はディアロ城で世話をされている白馬だ。
今から西がペルに乗馬を教えることになっている。
そのことを依頼した人物……シュタウフェンベルクは少々用事があるとかで不在だが、
もう少ししたら戻ってくると話していた。
その間この無口な少年の面倒を一人で見るかと思うと少々不安だが、
引き受けた以上は引き下がることも出来ないし……
そう思って、西はペルの所に馬を連れてきたのだった。
「じゃあ始めるぞ」
西がそういうと、ペルは小さく頷く。
そしぺこりと彼に向って頭を下げる。
そのまま静かな声で彼は言った。l
「よろしく、バロン西」
敬語で喋る癖があまりないのか、そんな口調ではあったが、
自分の乗馬を教えてくれる相手として彼に感謝もしているのだろう。
ペルはそんなことを言う。
それを聞いて西は少し面食らったように瞬きをする。
そして、呟くように言った。
「ちゃんと名前覚えたんだな」
「ん……バロン、伯爵……シュタウフェンベルクと、同じ」
覚えた、と彼は言う。
まだ爵位に関しては少々知識も曖昧なようではあるが、
それでも西の名前、彼の呼び方はきちんと覚えていた。
彼の面倒を時折見てくれるシュタウフェンベルクと同じ爵位。
バロン。
それは覚えている、と彼は言う。
それを聞いて西は納得したような顔をした。
そして小さく頷きながら、いう。
「あー、なるほどね。
……そういや、名前聞いてなかったな」
そういいながら西はペルを見つめる。
ペルはきょとんとしたように瞬きをする。
そして小さく首を傾げた。
「僕?」
「そうだよ」
お前以外にだれがいるんだよ、とそっけなく西は言う。
ペルはそれを聞いて瞬きをすると、小さな声で答えた。
「ペル……僕、ペル」
「ペル、だけ?苗字……ファミリーネームは?」
西がそう訊ねるが、ペルはゆっくり首を振る。
彼にファミリーネームというものは存在しない。
否、正式に言えば存在はするけれど……
ペルという名前につくファミリーネームは存在しないのだ。
ペルがそう答えると、西は幾度か瞬きをした。
そして軽く髪を撫でつけた後、呟くような声で言う。
「そうか……まぁ、いい。始めるぞ」
呑気にしてる時間もないしな、といいつつ、西はペルを見る。
上から下まで眺めた後、彼は溜め息混じりに行った。
「背が足りてないってとこからだな……」
そもそもの話、背の高い馬に乗れるだけの背丈が足りていないペル。
それを見て西は溜め息を吐いているのだ。
彼の言葉にペルはきょとんとしたように瞬きをする。
その後、呟くように言った。
「浮くこと、できる……」
その言葉と同時、ペルは魔術を使った。
彼が何より得意とする、浮遊術。
それを使って馬の背の上まで浮かぶ。
彼が何をするつもりか悟った西は大きく眼を見開いた。
そしてやや慌てたように言う。
「おい!いきなり乗ったら……!」
いきなり乗ったら危ない。
西がそういう時にはすでに遅く、ペルは馬の背に乗っていた。
唐突に体の上に乗ってきた重み。
それを感じた馬は驚いたようで、暴れる。
無論しがみ付くだけの余裕がなかったらしいペルは馬の背から振り落とされた。
べしゃ、と地面に落ちる彼。
西は彼に慌てて駆け寄る。
「あーもう……大丈夫か?」
潰れている彼の肩を軽く揺らす。
するとペルがむくりと体を起こした。
軽く頭を振りながら彼は小さく息を吐き出す。
そして西の問いかけにこっくりと頷いた。
「……へい、き」
大丈夫、といいつつ彼は立ち上がる。
その足元が若干覚束なくて、西はやや心配そうな顔をする。
「ほんとに平気か?」
あれだけの高さから落ちたのだ。
心配といえば、心配である。
最も、その心配の仕方はわかりにくいものではあったけれど……
ペルは彼の言葉にこっくりと頷く。
そして服についた砂を払いながら、言った。
「うん……大丈夫、ちょっと、失敗」
それだけだから。
ペルはそういう。
事実怪我はないようなのだけれど……
西には少し、気にかかるところがあった。
「……あのさ」
小さく溜め息を吐き出しつつ、西はペルに声をかける。
その声色が先程までと少し違っていて、ペルは不思議そうに首を傾げた。
「?何?バロン西」
西は暫し黙ってペルを見つめる。
ペルはじっと彼を見つめた。
漆黒の瞳は、揺れない。
ただ真っ直ぐに自分を見据えてくる彼を見つめつつ、西は言った。
「お前、何でそんなに無表情なんだ?」
「え……」
思わぬ問いかけにペルはきょとんとする。
そんな彼を見ながら少し顔を顰めて、西は呟くように言う。
「痛かっただろうに顔歪めもしないし……何でだ?」
ずっと気になっていた。
ペルは今まで喋ったりしている中で一度も表情を変えない。
普通の人間なら、さっきのような落馬の仕方をしたら顔を顰めるだろうし、
見た目子供なペルだからもしかしたら泣き出すかもと覚悟さえしていたのだけれど……
一向に彼は表情を変えない。
それは何故かと、西は問いかける。
ペルは彼の言葉に幾度か瞬きをした。
そして目を伏せつつ、呟くように言う。
「……なんで、って……よく、わからない」
「は?」
わからないって何だ?と西は一層怪訝そうな表情だ。
ペルがいつも一緒に居るシュペーアやシュタウフェンベルクと違って長い時間一緒に居たわけでもないし、
西にはごくごく僅かなペルの表情変化なんてわからないモノだろう。
自分が無表情だという自覚はペルにもある。
それを指摘されたことは一応、今までにもあった。
だから、だろう。
「笑う、怒る……よく、わからない……練習、するべき……?」
彼はそう呟くように言う。
笑ったり怒ったり……
そういう表情の変化を、練習した方が良いだろうか?
ペルはそういった。
それを聞いて西は少し困った顔をする。
「や、練習するとかしないとかじゃねぇだろ……」
ペルのことをよく知らないからわからないが……
笑う怒るの練習なんて聞いたことが無い。
「とりあえず今練習するのは乗馬、な?」
西は気を取り直したようにペルにいう。
ペルはそれを聞くとこっくりと頷いた。
「了解、バロン西……」
そういう彼は今度はちゃんと西のいうことを聞こうとしているように彼を見つめる。
その相変わらず無表情な瞳に彼は少し困惑しつつ、
やって見せるから見てろよ、といって自分の愛馬にひらりと飛び乗った。
それを見詰めてペルは瞬きをする。
その後、馬の体に手をかけて、ぐっと力を込める。
思い切り、馬の背に乗る。
「う……乗れ、た」
「そーそー。それでよし」
とりあえず乗るところまでは良しだな、と西は呟く。
慣れないペルの体は安定の悪い馬の背でぐらぐらと揺れている。
「……とりあえず、安定して座ってられるようになるまでだな」
少しずつじゃないとだめだな、と西は言う。
ペルはその言葉に頷きつつ、馬の背でバランスをとる練習を始めた。
やれやれこれは暫く時間がかかりそうだ。
そう思いつつ西はペルを見つめる。
心なしか、彼の表情は一生懸命に見えるけれど……
やはり、普通の"子ども"にしては表情に乏しい。
そんなことを思いつつ、西は自分が乗っている愛馬の鬣をそっと撫でてやったのだった。
―― Expressionless ――
(無表情で読めない少年。
子供の御守りは得意じゃないんだけどな)
(ぶっきらぼうだけど、ちゃんとおしえてくれる。
ぼくもがんばるから、おしえてくれたらうれしいな)