珍しい妹勢のお話です。
リンとマリンと言うこのペアが何気に好きなので…←
色々やりたいのにネタが浮かばなかった結果ではありますが(^q^)
将来的にこの二人はなかなかいいペアになるんじゃないかなぁと思ってます
おてんばなマリンとおとなしいリンちゃんのペア…いいじゃないですか←おい
ともあれ追記からお話ですー!
穏やかな日の光が降り注いでいるディアロ城の中庭。
そこを歩いていくのは鮮やかな緑髪の少女……リン。
今日は兄であるジェイドに会いに、遊びに来ているのだった。
体の弱い彼女はそう頻繁に此処に来ることはできないし、
兄であるジェイドはかなり多忙であるため、長く一緒にいることは出来ない。
しかし、そんな短い間抱けでも一緒にいたいと言う想いが彼女にはある。
大好きな兄。
長くすれ違って、あまり長い時間一緒にいられなかった彼と、
少しでも、ほんの少しでも長い時間一緒にいたいと、
こうしてはるばる遊びに来たのだった。
「今日は穏やかな天気ですね……」
リンはそう呟きながら、被っている白い帽子を軽くあげた。
長いリボンが風に揺れた。
彼女は翡翠色の瞳を細めて、小さく息を吐き出す。
今、ジェイドは幼い騎士たちに教鞭を振るっていると言う。
終わったら中庭に来ると朝約束をしたからと、彼女は此処で待っているのだった。
陽射しが強い場所は彼女は大敵。
しっかり日陰になる場所で休んでいようと歩みを進めた時、
角を曲がってきた誰かとぶつかった。
「きゃ!」
小さく聞こえた悲鳴。
そして自分の腰辺りにぶつかった感覚から、相手の方が小さいことを悟る。
この建物にこんなに小さい子が?
そう思いつつリンは慌てて声をかける。
「あ、ごめんなさい、大丈夫ですか!?」
「う、あ、ごめんなさい……!」
リンは目の前にいる赤髪の子……女の子をみて、目を丸くした。
少女だ。
此処は騎士の棟で、男ばかりだと言うのに……
それに、その少女の瞳はリンの方を向いてはいても、どこか遠くを見ているようだ。
自分の姿は見えていないのだろうなと思う。
彼女も兄同様に医者を目指している身である。
「ごめんなさい、余所見をしていて……お怪我はありませんか?」
「はい大丈夫です……えっと、お姉さん……だよね?」
赤髪の少女は少し驚いたような声色で訊ねる。
リンは翡翠の瞳を幾度か瞬かせるとこっくりと頷きつつ、いった。
「えぇ、私、リン・シレーネともうします。
此処の医療部隊長、ジェイドの妹で……」
「あ、医療部隊長さんの妹さんなんだ!」
赤髪の少女ははしゃいだような声をあげた。
そしてにっこりと笑いながら言う。
「あたし、マリン!マリン・ホークルス……アネットってわかる?
その人、あたしのお兄ちゃんなの!」
人懐っこく笑いながらそういう少女、マリン。
彼女も自分同様に騎士の妹なのか、とリンは納得した顔をした。
「マリンさん、ですね。はじめまして」
「はじめまして、リンお姉さん!」
にこにこと笑いながらマリンは言う。
目が見えないと言うハンディを感じさせない明るさに、リンは微笑んだ。
「お兄様に会いにいらしたのですか?」
「うん、でもお兄ちゃん今任務中みたいで……」
マリンはそういいながら少ししゅんとした顔をした。
くるくると変わる表情は、まるで子犬のようだ。
それをみて、リンはくすりと笑う。
「それでは、私と同じですね。
私もお兄様のお仕事が段落するのを待っているのです。
よろしければ、一緒に待ちませんか?」
マリンにそう訊ねるリン。
彼女の提案にマリンは嬉しそうに顔を輝かせた。
「本当?!一緒に待ってくれるの?」
「えぇ、私が話し相手でよろしければ」
そういいながらリンは微笑んだ。
マリンは手探りで見つけた彼女の手を握りながらいった。
「嬉しい!ありがとう、リンお姉ちゃん!」
「いえいえ、私で良いのなら」
そういってにっこりと微笑むリン。
見えずともその雰囲気は感じるのだろう。
マリンも嬉しそうに微笑んでいる。
そして少女二人は日陰に入る。
そのままベンチに腰かけて、二人の兄の話をした。
医療部隊を束ねるジェイド。
炎豹をこれから引っ張っていくであろうアネット。
兄たちのタイプは違う。
しかし、仕事を終えて帰ってきた兄たちが驚くほどに、
二人は短い時間にすっかり仲良くなったのだった。
―― Sisters ――
(大好きなお兄様。
彼に会うために来たこの場所で出会ったお友だち)
(大好きなお兄ちゃん。
待っている間に一緒にお話ししてくれた素敵なお姉ちゃん)
2014-8-31 20:41