ようやく書いてあげられた、アネットの妹マリンのお話。
明るくて可愛い妹ちゃんはアルと絡ませたかったのです。
目が見えずとも明るく笑って過ごすマリンのような子、大好きです!
アネットとマリンの仲の良さが、そしてどこか似ているなぁ、という雰囲気を
感じてもらえたら幸いです!
では「OK!」という方は追記からどうぞ!
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主に創作について語ります。 バトンをやったり、 親馬鹿トークを繰り広げたりします。 苦手な方は、どうぞ戻ってやってくださいませ! (私のサイト「Pure Rain Drop」) → http://id35.fm-p.jp/198/guardian727/
ようやく書いてあげられた、アネットの妹マリンのお話。
明るくて可愛い妹ちゃんはアルと絡ませたかったのです。
目が見えずとも明るく笑って過ごすマリンのような子、大好きです!
アネットとマリンの仲の良さが、そしてどこか似ているなぁ、という雰囲気を
感じてもらえたら幸いです!
では「OK!」という方は追記からどうぞ!
「えっと、包帯買ったし、絆創膏も買ったし、後は……」
アルは手に持った買い物のメモを見ながら小さく呟いた。
ゆっくりと歩く彼の手には大きな紙袋。
医療部隊の彼は、多忙な統率官の代わりに、買い出しに来ていたのだった。
薬品系統は自分たちで作ることが出来るが、
包帯や絆創膏といったものはどうしても買わなければいけなくなる。
殊更炎豹の騎士たちは任務に赴くたびに裂傷を作ってくるため、
こういったものが不足するのは困るのだ。
「えっと、後は……っわ!?」
メモに気を取られていたためか、アルは誰かにぶつかった。
年の割に小柄なアルは誰かとぶつかった場合
大概自分の方が転ぶのだが、今回は逆だった。
アルよりさらに小柄な相手はその場に転ぶ。
アルがぶつかったのは小柄な少女。
驚いたアルがとっさに魔術で庇ったため、怪我はないようだが……
「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか?!」
余所見しちゃってて、とアルが転んだその子に手を差し伸べる。
「大丈夫です。こちらこそ、ごめんなさい」
赤い髪をポニーテールにした少女。
アルの方を見上げるも、差し出された手を取ろうとはしない。
―― 否。
彼女の金色の瞳はアルの方を"見て"はいるが、
アルの姿を捉えては、いないようで。
アルのリアクションを感じ取ってか、少女は小さく笑った。
「ごめんなさい。私、見えないの」
「そうなんですか……ごめんなさい。怪我は、ないですか?」
アルは少女の手を取って、立ち上がらせた。
ぱたぱた、と服を叩く少女は、笑顔で首を振る。
「大丈夫。お兄ちゃん、私を庇ってくれたでしょう?魔術で」
「え?あ、はい……」
ほんの微弱な魔力だったのに気付かれていたことに驚くアル。
少女は何処か得意げに、言った。
「魔力の動きには敏感なんだよ。
私が一人でこうやって歩き回れるのも、魔力で周りを探ってるからなの。
……今は、ちょっぴり失敗しちゃったけど」
にこっと笑う、少女。
その人懐っこい笑みに、姿に、"誰か"の影が、重なって見えた。
―― フィアの騎士(ナイト)!
人懐っこい話し方。笑顔。
何より、目の前にいる少女と同じ、鮮やかな赤い髪の青年の姿。
「あ……」
「どうかした?」
アルが漏らした声を聞き取ってか、少女は不思議そうな顔をする。
アルは少し躊躇ってから、訊ねた。
「あの、もし違ったら、すみません……マリンさん、ですか……?」
「え……どうして、わかったの?」
驚いた顔をして、何度も瞬きをする、少女。
その反応から判断するに、どうやらアルの仮定は正解だったらしい。
アルは少しほっとしつつ、改めて自己紹介をした。
「僕、ディアロ城騎士団の騎士、アル・リフォードと言います。
アネットさんのお友達です」
"アネット"という言葉に、少女……マリンの目が輝いた。
「お兄ちゃんを知っているの?」
「えぇ。僕は草鹿の騎士なので、炎豹の皆様とは一緒にお仕事に行ったりもしますから」
アルが答えるとマリンは嬉しそうに笑みを濃くする。
「お兄ちゃん、元気?私、最近会ってないから……
元気かな?怪我したりしてない?風邪ひいたり、してない?」
「えぇ。お元気ですよ。部隊が部隊ですから、時々怪我をしたりはしてますが……
僕たちがすぐに治しますし」
「そっかぁ……」
良かった、と呟くマリン。
嬉しそうに、でも、少しさびしそうに。
アルは暫しその表情を見つめた後、声をかけた。
「……マリンさん」
「マリン、でいいよ?アル、さんの方が私よりずっと年上でしょう?」
ちょこん、と首をかしげる少女。
確かに、明らかにアルより年下だろう。
ただし、そのしっかりして居る事と言ったら、アネットからは想像がつかない。
アルはふっと笑って、いう。
「さん付けで呼ぶのは、僕の癖なんです。気にしないでくださいね。
それと……あの、今からお時間ありますか?
もし、大丈夫なら……アネットさんに、連絡入れるので、
少しお話したらどうでしょう?」
「本当ですか?!」
アルの白衣を掴む、マリン。
興奮気味の声。紅潮した頬。
アルは笑顔でうなずいた。
「アネットさんも今お仕事がなければ、ですけれど……
お城に行くのは遠いですし、中に入れてもらえないと思うので
アネットさんをこちらに呼べばいいかなぁ、……と思うのですけれど」
「もし、もしアルさんが迷惑じゃなかったら、お兄ちゃんに会いたい!」
無邪気な声。嬉しそうな表情。
それは、そうだろう。
一度騎士になってしまえば、忙しさゆえに容易に家に帰ることは出来なくなってしまう。
かといって、家族が訊ねてきてもそうそう簡単に会えるわけではなく、
そもそも任務中で会いに来るだけ無駄、という事態も発生しがちだ。
殊更、目が見えないマリンが遠い城まで一人で訪ねていくのは難しいだろう。
今こうして此処に居る事自体がアルにとっては不思議だったのだから。
「じゃあ、アネットさんに連絡してみますね」
白衣のポケットに入れていた通信機を取り出して、アネットにコールする。
幸い任務中ではなかったのか、アネットがすぐに出た。
「あ、アネットさん?今、お時間ありますか」
『おー、アル。今日は暇だけど……何で?』
「今、街にいるんですけれど……」
アルは手短に事情を説明した。
マリンと偶然出会って今一緒に居るのだということを説明すると、
アネットは"今すぐ行く!!"とだけ言って通信を切ってしまった。
相変わらずせっかちだなぁ、と小さく呟いてから、アルはマリンに声をかけた。
「アネットさん、すぐに来てくれるそうです」
「本当?やったぁ!」
嬉しそうに、花が開いたような笑みを浮かべるマリン。
アルはそんな少女の手を握って、"じゃあ少し待っていましょうか"と微笑む。
「そうだ。マリンさん、どうしてここにいらっしゃるのですか?
マリンさんのお家からは、離れてますよね?」
「ん?うん。お買い物に来たの。お城の傍じゃ売ってないものも、結構あるから」
そうなんですか。とアルは頷いた。
―― でも。
「一人で出歩くの、大変じゃありませんか?」
「んー……たぶん、アルさんが思ってるほど大変じゃないよ。
私は小さい頃からずっと見えてないわけだからそれにも慣れちゃったし、
それに……アネットお兄ちゃんとタイプ違うけれど魔力が強い方だから、
それで大体周りの様子は探れるし……そんなに不便なことはないかなぁ」
明るく笑う、マリン。
アネットが言っていた通りの子だな、とアルは思う。
明るくて、元気で。
自分の運命(さだめ)を恨みもしない。
そんな、真っ直ぐな所はアネットによく似ているのだろう。
「アネットさんのこと、好きですか?」
「うん!」
「そうですかぁ……いいですねぇ。
僕は一人っ子なので、お兄さんや妹、羨ましいです」
アルの声にマリンは意外そうな顔をした。
「そうなんだ。アルさん、お兄さんかお姉さんがいるかと思った」
「え?」
ぱちぱち、とアルは瞬きをする。
よく言われることではあるのだが、まさか初対面の彼女にもそう思われるとは。
マリンはくすくすと笑って、言った。
「顔は見えないけれど、声とか話し方とかが、そんな感じだなぁ、って。
実際、アルさん、よく言われない?」
「あはは、言われます。だから今、ちょっとびっくりしたんですよ」
アルがそう返答した時、"アル!"という声が微かに聞こえた。
「あ、お兄ちゃんだ!」
兄の声だということにすぐ気付いたのだろう。マリンの笑みが濃くなる。
その数秒後には、結構な速さの馬がアルとマリンの隣に到着した。
「マリン!久しぶりだなっ!」
ほとんど飛び降りるように馬から降りると、アネットはマリンを抱きしめた。
マリンもうれしそうに兄を抱き返す。
「お兄ちゃん、久しぶり!」
「びっくりしたぜ!
アルから連絡なんて珍しいな、って思ったらお前と街であった、っていうからさぁ」
マリンを抱き上げたまま嬉しそうに話すアネット。
アルはそんな兄妹の様子を見て、笑みを浮かべる。
アネットが一生懸命に魔獣を倒すのはこの少女に綺麗な世界を見せたいからだ、
ということをアルも知っていた。
―― 本当に仲がいいんだなぁ……
楽しそうに話している二人。
アルはふっと笑って、そんな二人に声をかけた。
「立ち話もなんですから、僕の知っているカフェにでも行きませんか?」
「わぁ、カフェ!」
「マジか!マリン、行くか!」
「うん!!」
アネットはマリンを抱いたまま駆け出す。
アルは慌ててそれを追いかけた。
「アネットさん、そっちじゃありませんよー!!」
せっかちな彼。
照れ臭そうに振り向くアネットの表情も、いつもより穏やかなもの。
戦闘中の表情とはもちろん、
アルやフィアたちと一緒に居る時とも違う、自然で穏やかな笑顔。
きっと兄妹とはこういうものなのだな、と思いながら
アルは二人を連れて歩き出したのだった。
―― Smile! ――
(笑顔の明るさから伝わってくる。お互いが大好きなんだ、って)
性 別 | 女性 |
年 齢 | 29 |
誕生日 | 7月27日 |
地 域 | 静岡県 |
系 統 | おとなしめ系 |
職 業 | サービス |
血液型 | AB型 |