リスタとお兄様たちとの絡みメインなお話です。
ブラコン兄弟同士の絡みって良いなと思いまして…
仲良しな兄弟って良いですよね(何度目だ)
*attention*
ベルトルトさんアレクサンダーさん&リスタのお話です
ラストで大佐殿&ヘフテンさんも来ていただきました(笑)
ほのぼのなお話です
ブラコンな兄たちでのお話書きたくて…
ちまっとシリアスっぽい雰囲気も挟まりました←ぇ
こういうノリ、良いなと思いまして…(おい)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
爽やかな風が吹き抜ける初夏の午後。
その美しい、陽気の中……――
「クラウス今は部屋にいるかなぁ……」
「此処には居ないみたいだからなぁ……」
そう呟きつつ、ディアロ城の廊下を歩いていく、黒髪の青年二人。
彼らはこの城に居るはずの弟……クラウスの元を訪ねてきた兄、ベルトルトとアレクサンダーだ。
賑やかな騎士の棟。
訓練や任務帰りの騎士たちが賑やかに話をしている。
明るく、楽しそうな彼らの雰囲気。
多くの騎士が行き交ってはいるが……
その中にはクラウスの姿も彼と一緒に居るであろうヘフテンの姿もない。
居たらすぐに気が付く自分たちだと自負しているため、居ないことは間違いないだろう。
自分の部屋にいるのだろうか……
そう思いつつ彼の部屋を目指そうとしていたその時。
「お、ベルトルト」
後ろから名前を呼ばれた。
ベルトルト、そして隣にいたアレクサンダーは振り向く。
そこには長い銀髪の青年が立っていた。
その姿を見て、ベルトルトは目を細める。
「久しぶりだね、リスタさん」
銀髪の青年……リスタはベルトルトに名前を呼ばれて、嬉しそうに笑った。
以前一度だけ顔を合わせたことがある、ベルトルトとリスタ。
しかしアレクサンダーは彼のことを知らない。
自分の双子の片割れと親しげに話をしている、銀髪の青年……
顔見知りか?とベルトルトに問いかける、アレクサンダー。
それを見て、リスタもきょとんとした顔をした。
「ベルトルト、彼は……?」
小さく問いかけるリスタの声に、ベルトルトは頷く。
そして、アレクサンダーを示しながら、言った。
「ああ、僕の双子の弟。アレクサンダーだよ。
アレクサンダー、この人はリスタさん。
此処の密偵部隊長クオンさんのお兄さんだよ」
リスタはそう紹介されて、なるほどというように頷いた。
ベルトルトとアレクサンダーは確かに顔が似ている。
顔だけでなく、雰囲気もか……――
何処か違う場所も勿論あるけれど、見ているだけでも血の繋がりは感じられる。
アレクサンダーもまた、頷いた。
そして、リスタに笑顔を向けて、いう。
「宜しくな、リスタ」
「うん。宜しく、アレクサンダー……
二人とも、今日は、弟さんに会いに来たのか?」
此処に居る時もあるんだよな?とリスタに問いかけられて、
ベルトルトとアレクサンダーは同時に頷いた。
リスタもベルトルトと彼……否、彼らの弟であるクラウスの仲の良さは良く知っている。
リスタはそんな彼らの反応を見て、くすりとおかしそうに笑った。
「流石双子だな。頷くタイミングも表情もそっくりだよ」
二人が頷くタイミング。
頷いたときの表情……
それを見て、クオンは思わず笑ってしまった。
本当に弟が大好きなんだな、とリスタはいう。
彼らの様子を見ていれば、それが色濃く感じられた。
アレクサンダーとベルトルトは顔を見合わせて、小さく笑う。
「ま、そうだな」
「僕たち二人ともクラウスのことが好きなのは事実だからね」
に、と笑う二人。
それを見て、リスタは目を細める。
彼自身も弟……クオンのことが大好きであるために、彼等の想いはよくわかる。
大事な、大事な、弟……
その様子を見に行くのは、自然なことだと思う。そう思いつつ、
リスタは二人の姿を見て……小さく首を傾げた。
「二人は、騎士とか軍属じゃないのか?」
リスタの問いかけにベルトルトとアレクサンダーは小さく頷いた。
そして小さく溜め息を吐き出しつつ、いう。
「そうだよ。
僕ら三人の中でこういう仕事をしてるのはクラウスだけなんだよね。
びっくりすることに一番体が弱かった末弟が……」
「だから俺たちとしては若干心配でさぁ……
こうしてついつい様子見に来ちゃうんだよね」
まぁそれも建前だけどなぁ、とアレクサンダーは笑う。
心配なのも事実だけれど、それ以上……
自分たちが、彼……クラウスに会いたいと思って、
こうして会いに来ているというのも、事実である。
リスタはそれを聞いてなるほどな、というように頷く。
そしてふっと息を吐き出した。
「そうだよなぁ。
やっぱり心配にもなるよなぁ……大事な弟だもんなぁ」
彼は半ば呟くようにそういう。
まるで、独り言のように……
或は、自分自身にも、言うかのように。
リスタも同じように思っている。
彼自身はもうこの騎士団に所属しているわけではない。
現在は魔獣研究組織に所属していて、彼の弟……
クオンと一緒に過ごす時間は決して多くはなくなっている。
でも、遠くに離れていたって弟のことは心配だ。
怪我をしてはいないだろうか。
また自分の魔力に関して悩んでいないだろうか。
仲間とは仲良く出来ているだろうか。
そんな心配を、リスタはずっとしている。
出来ることなら、タイミングがあれば、こうしてクオンのいる騎士団に遊びに来ることもある。
リスタのそんな言葉に、ベルトルトとアレクサンダーも小さく笑って、頷いた。
「そうそう!
子供の時みたいにずっと一緒に居られるわけでもないからさぁ……」
「出来ることなら、ちゃんと傍に居たいんだけどね……」
そういうわけにもいかないから、と二人は表情を少し暗くした。
彼らだって、リスタと一緒だ。
兄として、弟を心配している。
片腕と片目を失くしている彼が任務で苦労しては居ないだろうか。
任務に出掛けている間に怪我をしてはいないだろうか。
危ないことをしようとしていないだろうか……
それは彼らにとって酷く……不安なのだ。
オリジナルのことも相俟って、彼が危険なことをしはしないかと、不安に思っている。
どうか、無理はしないでほしいと。
ベルトルトとアレクサンダーはそう切実に願っている……――
最も……
それ以外にも色々ちょっかいを出して彼のことを困らせているのも事実だけれど。
そっか、とリスタが笑ったとき……
「……兄さん?」
後ろから声をかけられて、アレクサンダーとベルトルトは振り向いた。
そこに立っていたのは黒髪の少年……
ほかでもない、二人の弟、クラウスだ。
その姿をみて、兄二人は大きく目を見開いた。
「おぉ!クラウス!」
「今から俺たち部屋にいこうと思ってたんだ!」
そういいながら、アレクサンダーとベルトルトはクラウスに抱き付いた。
その勢いに、クラウスは目を白黒させる。
「っ、ちょ、に、兄さん……っ
此処、廊下……っ」
クラウスは慌てたようにそういった。
人の往来もあるこんな場所で抱き付かれるのは、流石に恥ずかしい。
「あはは、お二人とも相変わらずですね」
そう笑うのは、クラウスと一緒に来たらしい彼の副官、ヘフテン。
こうして兄二人が自分の上官にじゃれつく様はよく見ているために、慣れてきている。
それに……
そうして兄たちにからかわれて顔を真っ赤にしているクラウスのことを、
可愛いとも思っているのだから、止めに入ることもない。
クラウスとしては、それが不服なのだけれど……
言ったところで仕方がないということも、そろそろ認識しつつあった。
とはいえ、流石に廊下でこうしてじゃれつく兄たちをそのままには出来ない。
このままされるがままだと、恥ずかしさで死にそうな気がする。
クラウスは顔を真っ赤にしたまま必死にベルトルトとアレクサンダーを引きはがした。
「やめろって、此処は廊下だ!」
「あれ、じゃあ部屋なら良いの?」
くす、と笑いながらベルトルトはいう。
クラウスはその言葉に大きく目を見開いた後、ぶんぶんと首を振った。
そんな彼の様子を見て、ヘフテンとアレクサンダーは笑う。
リスタもそんな兄弟の戯れを見て、小さく笑った。
「本当に仲が良いんだなぁ……」
そんなリスタの言葉を聞いて、クラウスは大きく目を見開いた。
そして、リスタに向かって、半ば叫ぶように言う。
「っこ、これが、仲良さそうに見え……っ」
「見える見える」
くすくす、と笑ってリスタはいった。
心の底からそうおもっていたから。
その言葉にクラウスは思い切り溜め息を吐き出した。
内部は勿論外部にまで……
本当に自分には味方がいないのか、と思いながら。
リスタはそうして盛大な溜め息を吐き出す弟とそれをからかう兄、
赤面するクラウスを見て笑っている副官の姿を見て、目を細める。
―― 彼は愛されてるな……
そんなことを思いながら、リスタは止めることもなく、彼らの様子を見ていたのだった。
―― Brother's thinkng ――
(兄たちの心はきっと共通で。
弟のことを大切に思う、その気持ちは変わらないんだ)
(気づいてたよ。からかわれている彼もまた、何処か楽しんでる。
困っていたのも事実ではあると思うけどね?)
2014-5-31 22:25