ワルキューレコンビ&部下の(中略)コンビなお話です。
主に大佐殿とルカの絡みを書いてみたくなりまして…
一応部下を持つ者、何処かにハンディキャップ背負ってるものとしての絡みがやりたかったんです←おい
*attention*
ワルキューレコンビ&部下の(中略)コンビのお話です
ほのぼのなお話です
主に大佐殿とルカのからみなお話です
片腕失っていて物理攻撃に限界ある大佐殿と魔術使えないルカのペアを書きたくて…
傍から見てもヘフテンさんと大佐殿の関係は素敵なものに映るだろうと思いました
ルカにとってヒムラーさんは大事なパートナーなのだと思います(何)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
白っぽい日差しが降り注ぐ、中庭に続く廊下……
書類を束ねたファイルを抱えて、廊下を歩くのは黒髪に赤い瞳の青年。
彼……ルカはファイルを片手で抱えなおし、短い黒の髪を掻き揚げる。
そして、ふぅっと息を吐き出した。
「書類仕事はやっぱ苦手だなぁ……」
ルカはそう呟いて、苦笑を洩らした。
元々戦闘のほうが得意なルカ。
苦手でついため込んでしまった書類の整理を半ば無理やりやらされていた彼は、すっかりばてていた。
疲れたし少し食堂に行って休憩をするか……
ルカはそう思いながら書類を抱きなおす。
そして、小さく欠伸を洩らしつつ、そのままに歩いていた時……
廊下の曲がり角で誰かにぶつかった。
「っと!」
「あ……っ」
ぶつかった、衝撃。
自分に落ちた影の大きさ。
それを見て、ルカは悟った。
ぶつかった相手のほうが背が高い。
ルカは少しだけ驚いた顔をした。
自分より背が高い騎士は決して多くない。
一体誰だ、そう思うより先に少しバランスを崩した相手に気づいて、ルカは相手の体を支えに入る。
支えたその身体の左右のバランスの悪さに、ルカはまた少し驚いた。
そして、すぐに気が付く。
目の前にいた……基ルカにぶつかったのは、シュタウフェンベルク。
抱えた体の左右のバランスが可笑しかったのは、彼が片腕を失くしているからだ。
ルカは赤い瞳を瞬かせて、口を開いた。
「お……シュタウフェンベルクか」
「ルカ、だったな……」
済まない、と詫びるシュタウフェンベルク。
ルカは首を振って、逆に詫びた。
済まなそうに笑って。
「こっちこそ悪かった、ちょっと余所見をしてたんだ」
疲れててな、と呟くように言うルカ。
それを見てシュタウフェンベルクはなるほど、というように頷いた。
確かに先程廊下を曲がってきた相手……ルカの表情は疲れたようなものだったと、
シュタウフェンベルクも反射的にかんじたから。
どちらかが転ぶ結果にならなくて良かった、と思う。
シュタウフェンベルクは小さく首を傾げて、ルカに問いかけた。
「大丈夫だったか……結構激しくぶつかってしまったが」
「ん?あぁ、俺は大丈夫。そっちこそ、大丈夫だったか?」
「あぁ、問題ない」
彼がそう答えるとルカは少しほっとしたような顔をした。
そして彼はまじまじとシュタウフェンベルクを見つめる。
今まであまり絡みを持ったことがない、ディアロ城一部隊の部隊長。
彼がまじまじと自分を見ている理由がわからず、
シュタウフェンベルクは少し困惑したような顔をした。
「……どうか、したか」
「え?あ、ごめん……気を悪くしないでくれな」
えっと、とルカは少し考え込むような顔をした。
その表情は何処か真面目なもの。
すぐにおどける、気さくな統率官という認識のある彼だが、
案外真面目な顔をするのだな……
シュタウフェンベルクはそんなことを思う。
と、ルカは顔を上げてシュタウフェンベルクを見た。
そして、ふっと笑いつつ、言う。
「嫌味とか、変に気を使ってるとか、そういうんじゃないけど……お前はすごいなって思ってさ」
「え……」
何を唐突に、とシュタウフェンベルクは瞬きを繰り返す。
今の言葉だけでは、ルカが何を言いたかったのか今一つ良く分からない。
ルカは小さく笑って、ことばをつづけた。
「そうして、片目と片腕無くしてもなお……
騎士として働けていることが凄いな、って思ってさ」
「あぁ、なるほど……そういうことか」
シュタウフェンベルクは納得したように頷いた。
確かに、彼は身体的ハンディを背負っている。
彼ほどの怪我をしても前線で戦い続ける騎士というのは、決して多くない。
ルカが知っている、かつての部隊長仲間……
リスタも足に傷を負って、騎士を引退した人間だ。
そういう背景や騎士たちの事情、そういったことも良く知っているために、
ハンディを背負ってなお部下の指導をして、戦い続ける彼に純粋な称賛の気持ちを抱いていた。
「俺、前に従兄を誘拐されてその主犯と対峙した時に言ったことがあるんだよな……
片腕失ってでも戦い続けてやる、ってさ」
かつて、フィアを誘拐された時。
フィアをフォルに奪われた時……それを奪い返したルカは、フォルに腕を傷つけられた。
その状態で笑うフォルに、言ったのだ。
今、シュタウフェンベルクにいったようなことを。
そうなのか、とシュタウフェンベルクは呟くように言う。
ルカはそんな彼を見てふっと笑うと、呟くように言った。
「でも、それが実際に出来るかはわかんねぇなって思うから……お前はすごいと、そう思うんだ。
今度、戦闘訓練に付き合ってほしい。
きっと、良い訓練をさせて貰えるだろうから……」
ふ、と笑うルカ。
それを見て、シュタウフェンベルクは小さく頷く。
自分で相手になるなら、とそういうシュタウフェンベルクだが……――
ルカが何かを思い出したような顔をした。
そして、何処かおどけたような顔をして、いう。
「あ、俺は魔術が使えないからそのあたりは加味してくれよ?」
「あ……そうだったな」
そういえばそうだった、とシュタウフェンベルクは思った。
今一緒に居る赤い瞳の彼、ルカは魔術が使えない。
それもある意味ハンディだな……そう思って、シュタウフェンベルクはいう。
「魔術なしで戦えるというのも、すごいと思うがな……私は」
「え?あぁ……はは、ありがとう」
少し照れくさそうに、ルカは笑う。
幼い頃からずっと頑張っていたこと。
それを誰かに認められるというのは、純粋に嬉しい。
何処か無邪気な所も残した、しっかり者の青年……
シュタウフェンベルクはそれを見て目を細めると、"それに……"と言葉をつづけた。
ルカは彼の声にきょとんとした顔をして、首を傾げる。
「私は、一人で戦っているわけでもないからな……」
「え」
どういうことだ?とルカが声を上げようとした、その時。
「大佐!」
不意に響いてきた声。
シュタウフェンベルクもルカも顔を上げた。
駆け寄ってくるのは、艶やかな金髪の少年……
シュタウフェンベルクの副官である少年、ヘフテンだ。
ぱたぱたと駆け寄ってきたヘフテンはシュタウフェンベルクの傍に立った。
そして自分より背が高い彼を見上げて、笑う。
「此方にいらっしゃったのですか……あ、ルカさんもこんにちは!」
にこっと笑って、ルカにも挨拶をするヘフテン。
それを見て、ルカはふっと笑みを浮かべた。
なるほど、シュタウフェンベルクが言わんとしたのはこのことか……――
彼は、一人で戦っているわけではない。
彼をサポートする、彼が誰より信頼を置いている副官がいる。
彼は先程、それを意味していったのだろう。
なるほど、というルカの呟きにヘフテンがきょとんとした顔をした。
シュタウフェンベルクは逆に、小さく頷く。
そして、ヘフテンの方を見て、言った。
「任務か?」
「え?あぁ、はい!準備整いました、行きましょう!」
びしっと気を付けをしていうヘフテン。
シュタウフェンベルクはルカに軽く頭を下げてから、離れていった。
その背中を見送って、ルカは目を細める。
それと、同時……――
「あ、ルカさん!」
後ろから聞こえた声に、ルカは振り向いた。
その視線の先で手を振っていたのは、赤紫の髪の青年……ルカのパートナーである、ヒムラーだ。
彼は手を振りながらルカの方へ駆け寄ってきて……
「わっ!?」
少し凸凹していた床に引っかかって、つんのめった。
ルカはその体を抱き留めて、息を吐き出す。
「大丈夫か、ハインリヒ……」
「う、相変わらずいつも、すみません……」
済まなそうに詫びるヒムラー。
彼がこうして転ぶことは日常茶飯事といってもおかしくはない。
ルカはそれを見て、小さく笑った。
そして、先程の二人の姿を思い出す。
そして、ふっと笑って、呟いた。
「副官っていうよりは普通に相棒(パートナー)だな……」
「へ……?」
意味が分からずにきょとんとするヒムラーを見て、ルカはゆっくりと首を振る。
シュタウフェンベルクとヘフテンの関係とは違う。
でも、それでも……
自分にとって信頼のおける、サポートをしてくれる相手といえばヒムラーだ。
こうして少しドジな所もあるが魔術の能力はとびぬけている。
防御をさせれば一切の攻撃を封じてくれることもある。
戦闘時に防御が出来ないルカは彼に守られたことが一度や二度ではない。
彼は、大切な相棒だ。
今まで決まった相棒は、居なかったルカにとってはなおのこと……
そう思いつつ、ヒムラーの体勢を立て直させて、笑いながら言った。
「ハインリヒ、久しぶりに対魔術の訓練、付き合ってくれないか?」
「え?ええ、構いませんよ!」
僕も今からは暇ですし、とヒムラーはいう。
それを見て嬉しそうに笑うと、ルカはヒムラーと一緒に訓練室に向かっていったのだった。
―― Trust… ――
(信頼できる、相手。
信頼できる、部下、仲間…)
(それが居るか否かで、大きく変わる状況。
ハンディはハンディでなくなるのかもしれないな)
2014-5-31 20:18