赤髪金髪コラボでのお話です。
「together」の続き的なお話で…
一緒に寄り道相談してる時にこういうシチュ、いいかなと…←おい
*attention*
赤髪金髪コラボのお話です。
学パロ(本家Laurentia!)設定です。
ほのぼの時々シリアスなお話です。「Together」の続きっぽいお話しです。
一緒に寄り道相談してるときにこういうのいいかな、と…←
普段鈍いアネットですが時々鋭いです(笑)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
穏やかな光が降り注ぐ、昼過ぎの街。
ちょうど昼食時、賑わう商店街。
天気の良い春の日……
道行く人は、冬より少し増えて見えた。
そんな、日に。
学校をサボった二人の少年……ハイドリヒとアネットは、
そのまま近くのカフェに入っていた。
制服姿の二人に店員は一瞬不思議そうな顔をしていたが、
アネットが平然と振る舞っていたためにハイドリヒもそれにしたがった。
案内された席について、これからのことを話す。
……というのも、一緒に帰ろうと声をかけてきた……
基、迎えに来たアネットが"せっかくだからどっか寄り道していこう!"と誘ってきたから。
元々一人でサボるにせよ、何処かにいくか、帰るかと迷っていたため、
ハイドリヒもすんなりと彼の誘いに乗ったのである。
アネットは好きなのだというクリームソーダのストローをくわえつつ、
ハイドリヒに向かって首をかしげて見せた。
「んで?この後何処にいく?」
「何処、と言われましても……」
ハイドリヒは自分の前におかれたカップの中をくるくるとスプーンでかき回した。
小さく溜め息を吐き出しつつ、呟くように言う。
「思い付きませんよ、そんなに急に言われても」
「えー?どっかねぇのか、よくいく場所とか」
アネットはそうハイドリヒに訊ねるが、彼にはやはり、すぐに思い付く場所等ない。
否、浮かぶと言えば浮かぶが……
「図書館か書店、といったら貴方はうなずきますか?」
彼の言葉にぴしりとアネットは固まる。
正直、彼は読書と無縁な人間……
そんなところにつれていかれたところですることなどないだろうし、
何よりハイドリヒとお喋りすることさえ満足にできない、
そんな空間にいきたくはないだろう。
「う……や、微妙かも」
顔をしかめつつもきっぱり嫌だ、と言わなかったのは、
ハイドリヒがいきたいならそこでも構わない、という思いの表れだろう。
全く分かりやすい、と思いつつ、ハイドリヒはアネットにいった。
「私も別にそういったところにいきたい訳ではありませんよ。
……逆に、アネットさんはどういうところが浮かぶんですか?」
「え?俺?」
自分に振られるとは思っていなかったのか、
アネットは豆鉄砲を食らった鳩さながらにまばたきをしている。
そして少し考え込む顔をした後、肩を竦めて、答えた。
「俺、体動かすことしかしてねぇから店とかあんまり知らねぇんだよ。
強いて言うなら……グランドかテニスコートくらいか?
あと、ボーリングとかはたまにいくかも」
「なるほど……アネットさんらしい、ですね」
ハイドリヒはそういって、苦笑した。
いかにもスポーツ系、という雰囲気のアネット。
友人は多いらしいから出掛けることも少なくはないのだろうが……
それにしても、やっぱり外にいることが多いらしい。
「ゲームセンターとかにはたまにいくけど……
それよか外でスポーツしてる方がしょうにあってんだよ」
「小学生みたいですね」
ハイドリヒが軽口を叩くと、アネットはむぅっと頬を膨らませた。
そして、"ラインハルトは他にはねぇのかよー"と訊ねてくる。
ハイドリヒは小さく息を吐いて、窓の外、
バルコニーの席の方へ視線を投げつつ、行った。
「私は、あんまりこうして出掛けたことありませんか……ら」
言葉が、途中で切れた。
さっと、ハイドリヒの顔が青ざめる。
ハイドリヒの視線はバルコニー席のひとつに止まっていた。
そこに座っているのは、アネットやハイドリヒたちより少し年上とおぼしき、男性。
品の良さそうなスーツを着たその男は、
別段問題がありそうにも見えないのだけれど……――
ハイドリヒにとっては、怯える理由があった。
怯え、というか恐れ、というか……
その男は、ハイドリヒが中学生だった頃の"客"の男と思われた。
相手がハイドリヒを覚えているかもわからないけれど……
それでも、ハイドリヒの気持ちをぐらつかせるのには十分すぎた。
今ハイドリヒが学校に行きづらい理由であるあの噂。
それを彷彿させるかつての客の姿に思わず表情がひきつる。
「……ラインハルト?どした?」
アネットに声をかけられてハイドリヒははっとした。
慌ててアネットの方を見れば、彼は心配そうな顔をしてハイドリヒの顔を見つめている。
ハイドリヒはゆっくりと首を振った。
「……いえ」
何でもありません、と呟くようにハイドリヒは言った。
何でもない。何でもない、はずだ。
あの位置からあの男がハイドリヒの方を向く可能性は低いし、
何より相手が気がつくかどうかも不明だ。
なにも、問題はない。
何でもない……
ハイドリヒの言葉に、アネットはまじまじと彼の方を見つめた。
それをじっと、見つめ返す。
ふうん、と声を洩らすアネットに一瞬驚いたハイドリヒだったが……
アネットはすぐに溜め息を吐き出した。
そして、そのまま手を伸ばして、ハイドリヒの額に触れる。
唐突な彼の行動にハイドリヒは怯えた顔をした。
暖かい、彼の掌……
"熱はねぇみたいだな"と呟くアネットに、
ハイドリヒは驚いたようにまばたきをする。
アネットはそんな彼の表情をみて、少し表情を歪めつつ、溜め息混じりにいった。
「顔色悪いんだよ。しかもいきなり黙り込むし……」
一体どうしたんだよ、とアネットは訊ねる。
心配そうな、不安そうな表情、雰囲気……――
「え、あ……」
小さく声とも言えないような音を洩らして、ハイドリヒは視線を動かす。
ちら、と一瞬向いた彼の視線。
その先には相変わらず、一人の男。
アネットはそれを追って……ガーネットの瞳を見開いた。
普段は鈍い彼だが、時折……
殊更ハイドリヒに関係することとなると、やたらと勘がいい。
なんとなく、ではあるが……
彼の表情の理由がわかった。
視線をハイドリヒの方へ戻せば……
ハイドリヒはその視線の先にいる男から見えないようにと、少し身を縮めていた。
ただでさえ華奢な体が、余計小さく見えた。
アネットは彼をみて、小さく息を吐く。
そして、ふっと笑うと、声をかけた。
「な、ラインハルト」
「何、ですか?」
びくっと肩を跳ねさせてから振り向いたハイドリヒをじっと見つめて、
アネットは微笑みながら、小さく首をかしげて、いった。
「今は、俺の恋人だろ?」
「え……?」
「昔は、誰のものでもない……
いや、"誰のもんでも良かった"のかもしれないけど……
でも、今は俺の、"俺だけ"の、恋人だろう?」
アネットは、ハイドリヒにそう訊ねた。
昔は、確かに誰のものでもなかったハイドリヒ。
何か、誰かの温もりを求めて、その身体を資本にしたこともあったという。
でも、今は。
今は違うだろう、とアネットは問いかける。
だって、今は……自分が、いるから。
そんな彼の言葉に驚いたようにまばたきをしているハイドリヒ。
それを見つめて、アネットは微笑んだ。
「俺じゃ、色々力不足なのかも知れねぇけどさ。
それでも、ラインハルトが求めることは俺が何でもするよ……出来る限り、な。
なぁ、ラインハルト……お前は俺の、恋人だよな?」
俺だけの、と念押しするように訊ねるアネットに、
ハイドリヒは少し頬を赤く染めて、こくこくと頷いた。
恥ずかしい、照れ臭い……けれど、嬉しくて。
頷いたまま俯いてしまったハイドリヒをみて、アネットはにっと笑った。
「ん、なら問題ねぇな!」
「問題、ない……?」
「あぁ!誰が何言おうが俺が守ってやる。
だから、そんな泣きそうな顔をすんなよ」
な?とアネットは笑う。
ハイドリヒはそんな彼をみて、ふっと笑った。
普段無表情な、あまり表情を変えない彼。
泣いている顔は割りとよくみたけれど……
こうして微笑んでいる彼をみるのは、恋人であるアネットからしてみても珍しくて。
アネットはそんな彼の顔をみて、嬉しそうに笑う。
そして、ストローをくわえつつ、"これからどうすっかなぁ"と呟いた。
「俺んち来る?
ラインハルトがあんまり外ぶらぶらしたくない、ってなら……
まぁ、サボりな訳だからあんまりこの辺りうろうろしてて、
何か言われんのも面倒だしな」
「え。でも……」
「迷惑ではねぇよ?どうせ親は帰ってこねぇし、妹も学校だし……
ま、ラインハルトが良かったら、だけどな」
俺は何処いっても構わねぇから、といってアネットは笑う。
とりあえずもう少し考えてからだな、と笑いながら
自分の飲み物を飲むアネットを見つめ小さく頷くと、
ハイドリヒもコーヒーカップを傾ける。
ブラックのままのはずのコーヒーがほんのすこし甘く感じたのは、
傍にいる彼の所為だ……そう思いながら。
―― Leaving that aside ――
(それはそれ、これはこれ。
昔は昔で、今は今だろう?)
(そういって笑ってくれる彼は、優しい。
過去を恐れて立ち止まる私の背中を押してくれる)