学パロ赤髪金髪コラボのお話です。
「求めていた、モノ」の続き的なお話で…
リレーの時より少し弱めなライニさんが愛しいと思った星蘭が暴走しました…←
*attention*
赤髪金髪コラボのお話です。
学パロ(本家Laurentia!)設定です。
シリアス時々甘めなお話です。
「求めていたモノ」の続き的なお話です。
理由あっての欠席のあとの学校は気まずいかな、と…←
いつもより少し弱いライニさんが可愛いです(おい)
アネットは基本お馬鹿で呑気な気質なので…こういうことをするかなと←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした …!
以上がOKと言うかたは追記からどうぞ!
授業終了を告げるチャイムが鳴る。
午前中二科目目の授業。
そんな授業中に行われた小テストのために、
授業後の生徒たちのテンションは少々高かった。
各々親しい友人のところへいって、わぁわぁとお喋りをする。
休み時間独特の騒がしい雰囲気に、教室が包まれた。
あそこの答えはどうしたか、とか難しすぎて再試確定だと嘆く声、
そもそも抜き打ちで小テスト何て!と憤慨する声だとか。
そんなものが響く教室内、金髪碧眼の少年……
ハイドリヒは一人ぽつねんと席についていた。
彼は、教室の賑やかなおしゃべりに参加はしない。
小テストは余裕でクリアだったし、別にそのテストをどうこう言う相手もいない……
賑やかな教室のなか、一人取り残されたような感覚に陥る。
他の生徒たちがことごとく、自分に背を向けているように感じる。
いつものことだ、そう思ったが……
数日前のある事件の所為で一層その孤立の傾向は強くなっていた。
そこまであからさまではないものの、クラスメイトたちは彼を避けている。
あるいは、面白がるように中学時代のことを聞こうとする者もいた。
ハイドリヒが必死にそれも気にした様子なしに流していたから、
"面白くないヤツ"と称された。
面白くない?
そんなの、当然ではないか。
"あんなこと"を、ネタにして周りに言える性格ならば、
最初からこんな孤立の仕方はしない。
ハイドリヒは半ば八つ当たりのように、そう思っていた。
色々と、頭を巡る思考。
マイナスの、感情。
「……はぁ」
小さく息を吐き出したハイドリヒは鞄を手にとる。
そして今日は殆ど開いていない教科書を鞄に戻した。
クラスメイトの視線が向く。
漸くこうして学校に来たのに帰るのか、と言う声が聞こえた気さえした。
逃げ、かもしれない。
でも、まだ少し……痛い。
この、クラスメイトの好奇の視線に晒されるのは。
そう思いながら、ハイドリヒは鞄を手に、教室を出ていった。
***
早退の手続きをとって、ハイドリヒは学校の外に出てきていた。
昼前に学校を出てきたのだから、無論自分のような学生はいない。
静かに俯いて歩いているから、
言い訳せずとも体調不良で早退したと思われるんだろうな、と思う。
それが好都合なんだか悲しいんだか、とハイドリヒは小さく溜め息を吐き出した。
このまま、自分の家に帰るか。
或いは、図書館辺りにでも少し寄り道をしていくか。
あぁ、でもふらふら歩いていたら、噂に"変なオヒレ"が付きそうで怖いな……
そんなことをとりとめもなく考えつつ、歩いていた時。
ぽんっと、肩を叩かれた。
「なー、一緒に帰ろうぜ!」
不意に聞こえた声に、ハイドリヒは驚いた顔をした。
不意に声をかけられたこと、そして……声をかけてきたのが、"彼"であったこと。
その両方への驚愕を隠せぬまま、ハイドリヒはその声の方に振り向いた。
人懐っこいガーネットの瞳。
短く、ハネた赤色の髪……
他でもない、他校の恋人……アネットだ。
ハイドリヒはその姿を見て、幾度もまばたきをする。
「な……んで」
「へへっ、サボって帰ってきちまった!」
に、と笑うアネット。
悪びれた様子のない彼に、ハイドリヒは溜め息をひとつ吐き出すと、
戸惑いを灯した声で、言う。
「何してるんですか……授業、わからなくなるでしょうに」
高校生ともなれば、一日の欠席が結構大きく学習面に響く。
風邪を引いて休んで、次に授業を出たら単元が変わっていた、何てこともある。
ハイドリヒは元々勉強も得意なタチでそんなことはそうそう起きえなかったが……
クラスメイトがそんな話をしながら、ノートの貸し借りをしているのを見たことがある。
ハイドリヒの言葉を聞いて、アネットは小さく笑った。
そして、悪戯っぽくウィンクをすると、いった。
「俺が授業わかんないのはいつものことだよ。
授業出てたって出てなくたって同じことだし!」
アネットがそういうと、ハイドリヒは思わず苦笑した。
そういわれてしまえば、そうだ。
アネットは元々勉強が出来るたちではない。
ついでに自分から進んで勉強をする性質ではない。
学校に来ている時にしていることはといえば、昼寝くらいである。
真面目に授業を受けるつもりはないのだろう。
ハイドリヒはもう一度、溜め息を吐き出した。
「はぁ……でも、どうして唐突に?」
「へ?」
ハイドリヒの問いかけに、アネットはきょとんとしてまばたきをした。
彼の反応を見て少しだけ言葉に迷う表情を浮かべると、ハイドリヒはいった。
「アネットさんはあんまり、サボったりはしないでしょう。
真面目に授業受けないにせよ、学校にはいっているでしょう?」
そう。
アネットは真面目に授業を受けようとはしないが学校をサボったり、
途中で帰ってしまったりはあまりない。
主にハイドリヒに会うためと言うのと、放課後の部活のためなのだろうけれど……
そんな彼がこうして途中で学校を抜け出してきてしまうのは、珍しいことに思えた。
アネットは彼の言葉を聞いて幾度かまばたきをした後、笑った。
「あー、それな?
ラインハルトがな、学校いったはいいけど、
途中で帰りたくなったりすんじゃねぇかな、って思ってさ」
彼の言葉に、ハイドリヒは大きく青色の瞳を見開く。
その理由は、少し予想外だったから。
「私、が?」
「うん。ほら、色々あって気まずくて学校休んでたんだろ?
だったら、すぐに復帰って難しいかなぁ、って……」
色々あって……
それが、ハイドリヒの心を曇らせている原因のひとつ。
ハイドリヒが昔、体を売っていたと言う噂がクラスメイトにバレたのだ。
しかも、その噂が嘘ではないからより一層心を抉った。
そうして噂がバレてから数日、
ハイドリヒは心を落ち着かせるべくして学校を休んでいたのだった。
今日は久しぶりに登校したのだが……やはり、色々キツい状況に変わりはなかった。
アネットはそれを見越して、彼が先に帰るなら……
そう思って、学校を抜け出して来たと言う。
驚いたように固まっているハイドリヒを見て、アネットは溜め息をひとつ。
そして、小さく肩を竦めると、いった。
「……まぁ、午後まで此処ぶらぶらしてて、
ラインハルトが出てこなかったら俺も学校帰るつもりだったけど」
そういってから、アネットはハイドリヒの顔を覗き込んだ。
そして、そっと彼の頬に触れながら、小さく首をかしげて、訊ねる。
「なぁ、俺……帰った方がいい?」
そんな、彼の問いかけ。
ハイドリヒは暫し人懐っこいアネットの表情を見つめていたが……
やがて、その目が潤んだ。
ぽつり、と一粒だけ涙が落ちて、"帰らないでください"と消え入りそうな声で呟く。
アネットが自分を気遣ってこうして来てくれたことは、嬉しくて。
何より、さっきの"一緒に帰ろう"と言う言葉が、嬉しかった。
学校で孤立して、家でも一人きりで。
他人と一緒に帰ることなんてあまりなかった彼だから……――
アネットはそんな彼の反応に、ふわりと笑った。
そして俯いている彼の金髪をそっと撫でて、いった。
「……へへ、ラインハルトはほんとに可愛い」
冷静そうで、クール。
何でも出来る完璧人間……
そう見える彼だが、その実案外寂しがり屋でナイーブであることは、
アネットもよく知っている。
そんな彼が愛しい。
守ってやりたいと、そう思う。
ハイドリヒに比べたら頭もよくないし、
色々な面で劣っている自分だとは思うけれど……
ハイドリヒが求めるものを出来るだけ、与えてあげたいと思った。
愛情だとか、優しさだとか、誰かと一緒に過ごす時間だとか……
そういった、特別なものを。
ぽつぽつと涙をこぼしている彼をそっと抱き寄せて、アネットはいった。
「ほら、泣くなってば。
ラインハルトに帰れって言われたって俺は帰ってやんねぇよ」
ちゃんと傍にいるよ、といってアネットは笑う。
ハイドリヒは涙を止めようと躍起になりつつ、そんな彼の肩に暫し身を預けていた。
アネットはハイドリヒの華奢な体を抱き締めつつ、優しくその頭を撫でる。
そして、泣いている彼を元気付けようとするかのように、
おどけた声で"勉強わかんねぇとこはラインハルトにきくからな!"何ていって見せたのだった。
―― Together ――
(一緒に、帰ろう。
そんな特別でもなんでもない言葉が嬉しかった)
(傷ついた寂しがり屋を一人にするわけにはいかないだろう?
だから、俺はお前を此処で待っていたんだ)