久々の部下の(中略)コラボのSSです。
お花を摘んでるヒムラーさんの姿が可愛いよね、というお話から…
謎テンション星蘭が色々やらかしてすみませんでした;;←おい
*attention*
部下の(中略)コラボのSSです
ほのぼのなお話です
お花を摘んでる光景がよく似合うヒムラーさんとそれ見てほっこりしてるルカ、的な?←
戦闘苦手で植物愛でる姿が似合うヒムラーさんが好きです(告白)
ルカはたぶん反射的にこういう行動に出ると思うのでした(おい)
相変わらず妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
「んー……何処にいるんだ、彼奴……」
小さくぼやきながら、廊下を歩く黒髪の青年。
彼はきょろきょろと周囲を見渡して、小さく溜め息を吐き出した。
ルビーの瞳が探すのは、自分自身のパートナーでもある赤紫の髪の青年。
いつものように部屋にいるだろうと思って訪ねてみたが、
彼の姿はそこにはなくて……
思い当たる場所を当たろうと思ったのだが、如何せんそれはそれで面倒だ。
すぐに居場所がわかればいいのだけれど……
そう思いながら歩いていた時。
「あ……」
前方から歩いてくる小さな影を見て、黒髪の彼、ルカは小さく声をあげた。
ふわふわとした白髪の少年。
ルカの探し人は医療部隊の騎士である彼らのことを手伝っていることもある。
彼ならば知っているかもしれない、と思いつつ、
ルカは彼……アルのもとへ駆け寄った。
「アル、ハインリヒを見てないか?」
ルカの訊ね方にアルは一瞬きょとんとした。
そんな彼の反応を一瞬怪訝に思ったルカだが……すぐに原因に気づく。
彼……ヒムラーのことをファーストネームで呼ぶ騎士は、あまり多くないのだ。
「あー、ハインリヒ…… じゃわかんないか。
ヒムラーだよ。見てないか?
部屋にいなかったから、お前らのとこにいるのかと思って……」
ルカがそう訊ね直すと、アルは納得した顔をして頷いた。
そして、"先程まで一緒にいましたよー"と微笑む。
「中庭にいらっしゃいませんでしたか?」
先程まで一緒に薬草園にいたのですけれど……とアルは言う。
なるほど、中庭か。
ルカはある程度予想通りだった彼の居場所に小さく頷く。
「そっか、さんきゅーアル!」
「いえいえ。寒いのでお外に出るときには暖かい格好してくださいね」
医療部隊の騎士らしい発言を残して遠ざかるアルを見送って、
ルカは小さく溜め息を吐き出すと、中庭に向かって歩き出した。
彼の居場所は大体把握しているが、それにしても……
「騎士らしくないって言うか、何て言うか……」
ルカは小さく苦笑を洩らすと、軽く黒髪をかきあげた。
薬草園で草鹿の騎士の手伝いをして、それが終わって中庭に……
ルカからすれば彼らしいとは思うが、騎士らしくはない。
ルカはそう思いつつ、中庭に向かって歩き出したのだった。
***
そうして、ルカは中庭に出てきた。
アルに言われた通り、一応一枚上着を羽織ってはきたのだけれど……
「うぉ……雪は降ってねぇけど寒いなぁ……」
ルカは思わずそう呟いた。
いつもよりは少し寒さも和らいでいるのだが、
それでも寒いことに違いはない。
ルカはぶるり、と体を震わせた。
基本的に氷属性魔術使いは冬の寒さに強い。
魔力の精度も上がるため、冬場の方が好きと言う騎士が多いのだが、
魔術をほとんど使えないルカにとってはそんなこと関係ない。
ただ寒いだけだ、と思いつつルカは息を吐き出した。
そのまま周囲を見渡して、探し人……ヒムラーの姿を探す。
この時期に外に出てきている騎士の大半は剣術の練習に出てきている騎士だ。
友人とのおしゃべりをするには少々寒いため、
それは室内でしている騎士が多い。
だから、ルカはすぐに彼の姿を見つけることが出来た。
彼は中庭の端の方にいた。
地面に座り込んで、なにかをしているが……
ルカの場所からではよくわからなかった。
やれやれ何であんなところに、と思いつつルカは彼に近づく。
そして、ぽんと軽く肩をたたいた。
ヒムラーは想定もしていない衝撃に驚いて悲鳴をあげた。
そして、勢いよく振り返る。
「ひゃ?!」
「うお!?そんなにびびらなくてもいいだろ……」
驚いて振り向いたヒムラーにルカも驚く。
そうして顔を見合わせた二人は小さく苦笑した。
「いやぁ……周りに知っているかたがいなかったので、
こうして作業に夢中になっていたら周りを見るのを忘れていて……」
ルカさんが近づいてくるのにも気づきませんでした、とヒムラーは笑う。
その少しおっちょこちょいなところも相変わらず彼らしいな、と、
ルカは小さく苦笑した。
そして、ふと疑問におもったように彼に問いかける。
「でも、なにしてんだ。こんな寒いなか、こんなとこで……」
「あぁ、これですよー」
ぺたんと地面に座ったままに、ヒムラーは地面を指差す。
ルカはそちらへ視線を向けて、小さく笑った。
「花摘、か?」
「まぁ、そうですねぇ……
このお城、色々珍しい植物があって面白いです」
綺麗ですしね、といいながらヒムラーはもう一本花を摘む。
今になって気づいたが、彼の腕にはたくさんの花が積み重なっていた。
花屋に売っているような上等な花とは違う、いわゆる野草のような……
「そういう作業も好きなのか、ハインリヒ」
ルカのそんな問いかけに、彼は一度手を止めた。
そして、ルカの方を振り向いて、笑う。
「好きですよ。
戦いよりも、こういう農業系の方が」
それが本音です、とヒムラーは言う。
ルカはその返答に穏やかに微笑んだ。
彼のそういう性格が、ルカも好きだったりする。
戦いや血が苦手で、騎士らしくなくて、
こうして花を摘んでいる姿が様になってしまうような、こんな彼が。
そんなルカの思いを知ってか知らずか、ヒムラーは感慨深げに声を漏らす。
「これだけ寒くても咲く花は咲くんですよねぇ……」
すごいですよねぇ、といいながらヒムラーはもう一本花を摘んだ。
その脇からちょこちょこと出てきた彼の召喚獣であるひよこも、
ヒムラーが摘んでいるものと同じのを見ているのか、何本か花をくわえている。
その光景はそれこそ童話のシーンのようだ。
冷たい地面に座って花を摘む、青年。
その周囲にひよこ……
これで季節が春ならば、完璧だろう。
そんなことを思いつつ、ルカは彼にいった。
「まったく……似合うから問題だよ、お前は」
くくっと笑って、ルカは呟く。
ヒムラーもその自覚はあるのだろう。
小さく、困ったように笑って、もう一本、と花を摘もうとした……
その時。
「痛っ!」
不意にヒムラーが小さく悲鳴をあげた。
ルカは驚いた顔をして、彼に訊ねる。
「どうした?」
「い、いえ……ちょっと、刺が……」
刺がある植物が周囲に生えていたことを忘れていたらしい。
痛かったです、といってヒムラーは自分の手を見る。
軽い痛みが走った指先に小さな血の玉が浮いていて……
あぁ、やっぱり刺さったのかな、とヒムラーは思う。
大したことはない、大丈夫です……
そうこたえようとしたのだが、不意に手首を誰か、基ルカに捕まれた。
「え……っ」
驚く間に、軽く指先を口に含まれる。
きつく吸われて痛いような痺れたような感覚が指先に走る。
ヒムラーは驚きと困惑で、思わず固まった。
「な、な……?」
「止まった、かな……?」
彼の指から口を離したルカはそう呟くように言う。
じっと傷があった場所を見つめ、血が止まっていることを確かめる。
そして、呆気にとられたように固まっているヒムラーに漸く気づき、はっとした。
そして、すまなそうにいう。
「あー……ごめんごめん。
俺田舎育ちだし、つい昔の癖でな……」
昔からよく、怪我をした人間にこうしてしまっていたのだ、という。
恐らく、昔から一緒にいたシスト、あるいは従兄弟であるフィアにたいしてだろう。
そんなことを思いつつ、ヒムラーは小さく息を吐き出した。
「び、びっくりしました……」
「ごめんごめん……
ほら、花摘むのに気がすんだか?軽く消毒してもらおうぜ。
寒いし、外にいるのもほどほどにしねぇとジェイドたちにしかられるぜ?」
一応植物だしなんかあったら大変だから、といって、
ルカは半ば問答無用でヒムラーを立たせて、歩きだす。
ルカは先程の行動の照れ臭さゆえか、いつも以上に饒舌だ。
そんな彼を少し新鮮に感じつつ、ヒムラーは笑って、いった。
「ルカさんは、本当に面倒見が良いですよね……」
「ん?そうか?
……ま、昔からやんちゃなやつがおおかったからな」
お前はやんちゃというのとはちょっと違うけど、といってルカは笑う。
そんな彼の反応に頬を膨らませて、ヒムラーは問う。
「何がおかしかったんですかー?」
「っはは。さっきの、花摘んでるお前がかわいかっただけだよ」
おかしくて笑ってるわけじゃない、といってルカは笑う。
なんだかそれはそれで複雑だ、と思いつつ、
ヒムラーはルカに腕を引かれるままに医療棟へ歩いていく。
二人の影が冬の陽で長く地面に落ちていた。
―― 似合う姿は… ――
(剣を握り、振るう姿よりも。
こうして花を摘んで微笑んでいる姿の方がきっとお前にはよく似合う)
(穏やかに笑ってそういう貴方は僕よりも年下のはずなのに……
何処か頼りがいがあって安心するのは貴方の性格故なのでしょうね?)