フォルスタでのSSです。
前々からやりたいな、と思っていたネタをこのCPで書いてしまいました…
相変わらず勝手にすみません;;
*attention*
フォルスタでのSSです
ほのぼの甘めなお話です
本家(Laurentia!)設定です
寒がりなフォルとそんな彼を心配してある行動をとるスターリンさんとを書きたかった…
ツンデレさんのさりげない気遣いが好きです(おい)
何だかんだで仲が良い二人だといいな、って…←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
「寒いねぇ……」
はぁ、と息を吐いて小さく呟いたのは亜麻色の髪の少年。
大分日も落ちて薄暗くなり始めた周囲。
少しずつ帰っていく生徒たちを見送りつつ、
彼も一緒に帰る"彼"を待っていた。
図書館で勉強をしているときに来た"仕事終わったから今いく"という連絡。
了解、と返してすぐに彼……フォルは外に出てきていた。
ぎりぎりまで室内にいることも可能には可能だが、
そうすると迎えに来てくれる彼に上まで来てもらわなくてはいけなくなる。
それは申し訳なかったし、少しでも早く彼に会いたいから……
だから、フォルは早めに出てくるのだった。
―― とはいえ。
「今日、一番寒いっていってたもんなぁ……」
フォルは小さく呟いて息を吐き出した。
白く凍った吐息が宙に消える。
天気予報が"今年一番の寒さ"とリポートしていた。
もっと北の地域では余裕で雪が降っていることだろう。
そんなことを思っていたとき、"フォル!"と聞きなれた彼の声が聞こえた。
急いで駆け寄ってくる、綺麗な浅緑の髪の少年。
待ち人来たり、でフォルは表情を緩めた。
冬服に更衣した彼……スターリンの姿にもすっかり見慣れた。
フォルは彼の姿を認めると穏やかに微笑む。
「お疲れ、書記長様」
「おぅ……外で待ってたのか?中にいればいいのに……」
外で待ってることはないのだよ、とスターリンは言う。
フォルはその言葉に笑顔で首を振って、いった。
「ん、大丈夫ー。僕が好きで外で待ってたんだからさ?さ、帰ろ?」
にこ、と笑ってフォルはポケットから手を出してスターリンに差し出す。
いつもしていることだった。
スターリンは恥ずかしがって始めこそ拒否するのだが、
フォルがしつこく頼み込むとしまいにはおれて、手を繋いで帰ることになる。
―― しかし今日は違っていて。
彼はぷいとそっぽを向くと"手はいいだろ"といって、
さっさと歩き出してしまった。
フォルは一瞬あっけにとられるも、すぐに慌てて彼を追いかける。
そして、若干不機嫌そうにスターリンに問いかけた。
「何で?」
「恥ずかしいのだよ」
スターリンはすたすたと歩きながらそう返す。
フォルはその返答に顔をしかめた。
「何を今更……
それに、どうせ誰も見てないじゃない。
似たようなことしてる人、いっぱいいるんだし。
夏じゃないんだから暑くもないでしょ?」
夏場は暑いから手なんか繋がなくても、とスターリンは渋っていた。
フォルも彼が暑さに弱いこと走っていたため、
夏場は無理強いすることもあまりしなかったのだけれど……
しかし今はもうほとんど冬。
寒いとこそ思えど、暑いとは決して思うまい。
そんなフォルの言葉にスターリンは一瞬琥珀の瞳を揺るがせた。
そして、溜め息を吐くと"暑くはないけど"と呟いた。
その言葉から、彼が手を繋ぎたがらない理由が天気、
あるいは気温に関係しているとフォルは推測した。
そして、質問を重ねる。
「じゃあどうして?どうして手を繋ぎたくないの?
……もしかして体調悪いから手繋いだ時にばれるかも、とか思ってる?」
それも彼がよくやることで。
実際口に出してみればそれもありかな、と思えて。
フォルは心配そうにスターリンの顔を覗き込む。
手を繋ぐより余程恥ずかしい、近いその距離に、
スターリンはぎょっとして目を見開いた。
一瞬にして白い頬が真っ赤に染まる。
「は、離れるのだよっ!」
「じゃあ、何で手を繋がないのか理由を説明して?
納得いく説明するまで離れない」
フォルはスターリンの頬に触れる。
スターリンに繋ぐことを拒否されて仕方無しにポケットに突っ込まれていた彼の掌は
冷えたスターリンの頬には暖かい。
それを感じつつ、スターリンは溜め息をひとつはいて、白状した。
「……俺の手が、冷たいからなのだよ」
「え?」
スターリンの返答にフォルはきょとんとした。
フォルの蒼の瞳が幾度も瞬いた。
スターリンはちら、とフォルを見つつ、小さな声で言う。
「……フォル、寒いの苦手っていってたろ。
なのに、手冷たい俺と手繋いだら冷たくなるだろうが」
だから繋がない、とスターリンはいった。
簡単に言えば。
フォルが寒がりであることはスターリンもよく知っている。
自分と合流するまではいつもポケットに手を突っ込みっぱなしにしていることも。
手袋をすればいいのに、といった時には、
笑顔で"そうしたら直接君に触れられないだろう?"と返ってきた。
でも、寒いことに違いはないだろう。
そんな彼に自分の冷たい手と繋がせるのは気が引けたのだ。
……こんなことを言うのは気恥ずかしい。
だから言いたくなかったのだよ、とスターリンはいってさっさと歩きだそうとする。
しかし彼が歩みを進めるより先に。
後ろからぎゅっと抱き締められた。
冷えた体に伝わってくる、人の体温(ぬくもり)。
無論犯人はフォルだ。
思わぬ彼の行動にスターリンは驚いて目を見開いた。
もう大分人通りが減った公園の傍の通り。
とはいえ、誰も通らないと断言はできない。
スターリンは驚きと羞恥で大きな声をあげた。
「ば、馬鹿フォル!離……っ」
「あー、もう……馬鹿は書記長様だよ。馬鹿馬鹿。
……そんな可愛い理由で僕と手繋ぎたくなかったの?」
少し呆れたような、それでいて嬉しそうな声でそういいながら、
フォルは抱きついている自分の腕をはずそうとしているスターリンの手を包み込んだ。
ぎゅっと。
強く、けれど優しく。
彼の言う通り、スターリンの手は冷たい。
フォルはたしかに寒がりで低体温だが、
ずっとポケットに手を突っ込んでいたためか、暖かい。
「ほんとだ、書記長様の手、冷たいね」
「っ、だからいったのだよ……」
だから繋がないって、とフォルにいいかけた時。
フォルはスターリンの体を離した。
そして彼に向かって"こっち向いてくれる?"と訊ねた。
スターリンはなんだ?と思いつつ彼の言う通りにする。
フォルはまっすぐにスターリンを見つめた。
深い、深い青色の瞳で彼を見つめつつ、フォルは言う。
「僕は確かに寒いの嫌いだけど、
書記長様と一緒にいられたらそんなの全然気にならないの。OK?
むしろ、書記長様とこうして手を繋いでた方が暖かいの」
そういいながらフォルはスターリンの手をしっかり握った。
「ね?あったかいだろ?
僕は、書記長様と手を繋いでいられたら寒さなんて忘れるの。
ほっとするんだもん。君に触れていることで」
子供っぽい顔をしているわりに大きな手。
それに包まれていると、暖かくて……確かに安心する。
それを認めて口に出すのは気恥ずかしいから、絶対にしないけれど。
スターリンが口をつぐんだのを見て、フォルは笑う。
うまく納得させることができたかな、と。
「だから、手を繋いで帰ろう?書記長様」
「……フォルが、そうしたいのなら……
勝手に、すればいいのだよ」
スターリンは照れ隠しにか、そんな風にそっけなく言う。
そんな彼の心情がわかっているフォルは、嬉しそうに笑う。
そのままスターリンの手を握った手にぎゅっと力を込めた。
―― 繋がる手と、伝わる体温と ――
(手を繋ぎたくない理由はお前を冷やしたくなかったからで)
(でもその思いは空回りだよ?君に触れられない方が余程寒くて寂しいんだから)