主人公コラボのSSです。
Twitterで聞いたネタで書いてみたくなって…
美人さん二人でのこういうショットって素敵ですよね←おい
*attention*
主人公コラボのSSです
ほのぼのなお話です
ヒトラーさんが描く絵のモデルを務めるフィアのお話
綺麗な髪の美人さんっていいですよね、とおもって…←おい
先日のバトンでのヒトラーさんのフィアへの回答も思い出しつつ書いていました(笑)
相変わらず妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
綺麗な青空が広がる、穏やかな午後……
すっかり風は冷たくなったものの、降り注ぐ陽光は暖かい。
そんな部屋の一室に、黒髪の少年はいた。
画材独特の匂いが広がる部屋。
ほぼ無音のその部屋で、真剣に作業に取り組む、黒髪の彼。
手に持っているのは様々な色が乗っているパレット。
片手に握った筆を滑らせてキャンバスに色をつけていく。
そんな彼の前には一人の亜麻色の髪の少年が座っていた。
椅子に腰かけて窓から空を見上げている。
冬の空気に磨きあげられた空を見上げる、海のように深い青色の瞳。
肩に流れる亜麻色の髪は穏やかな陽光に照らされて、きらきらと輝いて見える。
黒髪の彼……ヒトラーはふ、と息を吐いて筆をおいた。
そして顔をあげると、モデルを務めてくれている少年に声をかける。
「ありがとう、フィア。一旦休憩にしよう」
モデルを務めていた亜麻色の髪の少年……
フィアはヒトラーの言葉に頷くと、少し肩の力を抜いた。
ヒトラーの絵のモデルをするのは初めてではないのだけれど、
やはり何度モデルになっても緊張するらしい。
フィアは椅子から立ち上がると、ヒトラーの方へ歩み寄った。
そして、くすりと笑いつつ訊ねる。
「どんな風になっていますか?」
「え、あ……あと少しだ」
完成前のものを見られるのは照れ臭いから、といって、
ヒトラーはキャンバスを伏せようとする。
フィアはそんな彼の様子に目を細めた。
―― と、そのとき。
ヒトラーは気がついたようにフィアを見つめた。
そんな彼のようすにフィアは不思議そうに首をかしげる。
「どうかなさいましたか?」
「いや、フィア、大分髪が伸びたな……と思って」
ヒトラーはそう答えた。
―― そう、フィアを見ていてヒトラーが感じたのはそれ。
以前デッサンのモデルを頼んだときよりも、髪が伸びていた。
以前は肩につくかつかないか、という程度だったのだが、
今は軽くであれば結べそうである。
フィアはヒトラーに言われると少し驚いたように幾度かまばたきをした。
そのまま、少し自分の髪を束ねてみて、ふむ、と声を漏らす。
「そうですかね……
確かに暫く切っていませんでしたから」
フィアはそういうと自分の髪をそっとすいた。
ヒトラーや彼のパートナーであるシストのそれほどではないが、
亜麻色の艶やかな髪は結構長くなっている。
換気のためにと開けた窓から吹き込んできた風に柔らかくその髪が揺れた。
フィアは伸びた髪を弄りつつ、小さく息を吐き出した。
そして、呟くようにいう。
「そろそろルカに切ってもらわないと……」
そう。
フィアはいつも従兄であるルカに髪を切ってもらっている。
初めてそれを聞いたときはヒトラーも驚いたものだ。
ヒトラーはそんなフィアの言葉にフッと笑う。
「少し勿体ないようなきもするな……
前にもいったけれど」
ヒトラーはそういいつつ、おずおずとフィアの髪に触れた。
光に透ける亜麻色。
陽光の下ではその色もいっそう映える。
亜麻色の髪にサファイアの瞳は天使族の特徴なのだと言うが、
その姿はフィアによく似合っていた。
「髪を伸ばすつもりはないのか?」
ふと思い付いたようなヒトラーの問いかけに、
フィアは少し悩むような顔をする。
そして少し笑みを浮かべると、肩を竦めて口を開いた。
「ん……ルカには伸ばせと言われていますけれど……少し悩みますね。
任務の時に邪魔になりますし」
フィアはそういって笑った。
魔獣退治や貴族の護衛等、実地任務が多いフィアにとっては、
確かに動きやすさが最優先だろう。
髪が長いとやりづらい、という彼の言い分もよくわかる。
フィアらしい、といってヒトラーも微笑む。
彼……否、"彼女"の騎士としての誇りや男らしさは、
この騎士団の騎士、ひいては男性にも負けないことを、ヒトラーもよく知っている。
それに、とフィアは付け足した。
「髪が長いのに皆見慣れていますから、
俺が伸ばしたら違和感抱くんじゃありませんかね?」
確かに、ヒトラーが知るフィアの姿はいつも短髪だ。
騎士になったばかりの頃は少しでも男らしくするために、と短くしたらしい。
今は規則的には女性でも騎士団への入団は可能らしいが、
フィア自身、そして彼の従兄や他でもない王女によって、
女性であることは伏せているといっていた。
それならば確かに髪は短くて良いと思うし、
フィアの言う通り長くしたら暫くは見慣れないかもしれない。
でも、といってヒトラーは微笑んだ。
「フィアは長くても似合うと思うけどな」
「ふふ、そうですか?
まぁ、確かに小さい頃には長かったのですけれどね……
騎士団にはいるときにきったので、
大体十才くらいまでは揃える程度にしか切っていませんでしたし」
そこまで言うと、フィアは自分の髪から手を離して、ヒトラーを見つめた。
きょとん、とヒトラーは彼を見つめ返す。
晴れ渡った青空と同じ色のヒトラーの瞳を見つめ返しつつ、フィアはいった。
「そういうヒトラー様の髪も、とても綺麗ですよね……」
宵闇のような、艶やかな黒髪。
長く伸びたそれは背中に流れ、波打っている。
フィアはそっとその髪を撫でて、目を細めた。
「俺はヒトラー様の黒髪も好きですよ。
風に靡く様など、とても絵になりますし」
"残念ながら俺は絵には出来ませんけれどね"といって、フィアは微笑む。
ヒトラーは若干苦笑気味にいった。
「そういってもらえるのはありがたいが……
それは普通女性に言うことじゃないか?」
「ふふ。でも本当に美しいと思いますから、ね?」
フィアはそういいつつひょいとキャンバスを覗き込んだ。
完全な不意打ちで、キャンバスを伏せる暇もない。
ヒトラーはあっと声をあげて、顔を赤くする。
「まだ仕上がっていないのに……
フィアは、時々そういうところが強引だよな」
「ふふ、すみません……それにしても……」
フィアはキャンバスに描かれた絵を見た。
柔らかく着色されたその絵。
窓から空を見上げて微笑む、"天使"の姿……――
それを見つめたままのフィアを見て、ヒトラーは少し不安げな顔をした。
自分の実力に自信があるわけではないためだろう。
「す、すまない……素人の絵で、あまり上手く描くことは……」
「いえ、自分がモデルだと言うのが信じられないほど綺麗なので……」
そういって、フィアははにかんだように笑う。
"ありがとうございます"と礼を言われて、ヒトラーも照れ臭そうに笑った。
―― 光に透け、風に揺れる ――
(解けた髪が背中に広がる
柔らかな陽光に煌めく艶やかな髪は美しくて)
(風に揺れ、背に流れる波のようで。
そんな言の葉を紡いだのはいつのことだったか)