Twitterで東条さんの絵を拝見して久々に絡ませていただきたいな、と思って…
穏やかで上品な東条さんと子供っぽいフォルと、
そんな彼をうまく諌めるスターリンさんとの絡みが好きです←おい
相変わらず勝手にすみませんでした;;
*attention*
東条さん&スターリンさん&フォルのSSです
ほのぼのなお話です
東条さんとフォルとの絡みが多めです
落ち着きがあって博識な東条さんと子供っぽくて好奇心旺盛なフォルが書きたくて…←
スターリンさんはフォルの扱いが少しずつ上手くなっているだろうな、という星蘭の妄想です(おい)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
「ふぅ……」
久しぶりにやって来た異国の地の空気を吸い込み、黒髪の少年は伸びをした。
空間移動魔術の連鎖で漸く辿り着ける、この地。
暇をもらえた時に訪ねてくるこの国だが、
彼……東条が此処にやって来るのは久しぶりだった。
本国での職務は無論あるわけだし、
一日二日の休みでは他国、しかも遠く離れた大陸の国に来るのは不可能に近い。
魔力の浪費になってしまう。
ここ数日少し余裕が出来たために久しぶりに、
此方の国にいる仲間の顔を見ようとこうしてやって来たのだった。
荷物だけ先に部屋に置いて、それから此方での所属先である雪狼のトップ……
ルカに挨拶にいこうと思っていたのだが。
荷物を置くと同時、ひょいと誰かに眼鏡を盗られた。
すでに気配は感じていたし、どのタイミングで声をかけようかと思っていたため、
彼はさして驚きもせず、ひとつ息を吐く。
そんな彼の藤色の瞳を覆うように被せられた、白く冷たい手。
「誰でしょーか」
「フォル殿……久しぶりであるな?」
東条があっさりとそういうと、後ろで小さく笑う気配。
東条の目を覆っている手が少し震える。
「ふふ、久しぶり。
あまりに久しぶりすぎて気配やら声やら忘れられてたらどうしようかと思ったよ」
そういってくすくすっと笑うと、東条の目を覆っていた少年……
フォルは彼から離れて、眼鏡を返した。
そして小さく首をかしげて、訊ねる。
「今来たところ?」
「うむ。これからルカ殿のところへ挨拶にいこうと思っていたところぞ」
「へぇ……それより先に僕のところに来てくれないの?」
少し拗ねたように唇を尖らせる彼。
相変わらずの彼の様子に東条は小さく笑う。
「ふふ……私が行かずとも、
そなたが先に気付いてこうして訪ねてくるであろうと思っていたのだ」
そんな彼の返答にフォルは目を丸くする。
そして、おかしそうに吹き出した。
「あはは、正解だった、って訳だね」
流石よくわかってるよ、といってフォルは笑った。
確かに、東条の気配を感じてすぐにこうして訪ねてきたのだから、
彼の予想は大当たりである。
東条はそんな彼に笑みを向けると、きょろきょろと辺りを見渡した。
彼がいつも一緒にいるであろう浅緑の髪の騎士の姿が見えない。
「スターリン殿は?」
「書記長様は今お仕事。結構前に出ていったからそのうち帰ってくると思うよ」
だから退屈しててさ、とフォルは肩を竦めた。
一人で部屋においていかれるのはやはり、退屈なものなのだろう。
ただでさえ快楽主義者で退屈を嫌う性格の彼だ。
と、フォルは東条がおいた彼の荷物の方へ視線を向けた。
荷物といっても彼の武器である刀と少しの生活器具くらいなのだけれど。
なにかをまじまじと見つめているフォルに、東条は不思議そうな顔をする。
そして、訊ねた。
「?何か気にかかるものが?」
「え、あ、うん。これ」
そういいながらフォルが指差しているのは東条の武器である刀。
青い瞳を瞬かせつつ、彼はそれをしげしげと見つめている。
そして東条の方へ視線を向けると小さく首をかしげて、いった。
「異国の騎士様の剣って珍しい形してるからさ……
カタナ、っていうんでしょう?これ」
「確かにフォル殿達の武器とは少々異なるな。我が国特有の武器ぞ」
自分が持っているそれやスターリンのそれとは違う形状の武器。
それがフォルにとっては珍しいのだった。
彼が戦う姿を見た回数は決して多くはないが、強いことはよくわかっている。
抜刀の素早さや派手ではないものの洗練された太刀筋には息を飲むものがある。
魔術があまり強くない分、剣術でカバーすることが多いのだろう。
フォルは彼が戦う姿を思い出してほうっと息を吐くと、
フォルは東条の刀を見つめつつ、呟くようにいった。
「やっぱり遠くの国だと僕らが知らないこともたくさんあるねぇ。
もっと色々知りたくなったよ。また君の国にもいきたいな」
「刀に関してはルカ殿も興味を示しておったな……」
「あぁ、そうだろうね。あの人、珍しい武器とか好きそうだから」
そういってフォルは苦笑する。
境遇上というか経験上仕方がないだろうが、
彼はルカのことが好きではないらしい。
"あの人"という呼び方に刺が含まれていた。
と、東条は時計を見上げた。
もうすぐ昼だ。
午前中の任務に出掛けた騎士たちはそろそろ帰ってくる時間帯だろう。
「そろそろスターリン殿も帰ってこられるころ、か?」
「あ、そうかも。今日はあんまり遅くならないっていってたもの」
そういってフォルは窓の外に身を乗り出す。
恐らく、スターリンを探しているのだろう。
フォルは結構視力が良い方だといっていた。
他人に姿を見られてはいけないはずの彼なのだが、こういう大胆な行動をよくとる。
東条はそんな彼の服を軽く引っ張って下がらせようとしつつ、いった。
「あまり身を乗り出してはならぬぞ、フォル殿。
落ちたら危ないし、他の者に姿を見られてはならぬのであろう?」
「多少なら大丈夫だよ。書記長様も異国の騎士様もちょっと過保護」
彼の言い方からして、スターリンに注意されたことも多々あるのだろう。
それでも"平気だよ"といって堕天使は笑う。
単に考え無しなのか、スターリンや東条と一緒にいる間に警戒心が薄れていったのか……
恐らく、両方だろう。
後者はそれがよいことか悪いことかは別として。
と、その時フォルがパッと顔を輝かせた。
"帰ってきた"と無邪気に笑う声。
流石に外にまで迎えにいくことは出来ないため、おとなしく部屋に引っ込む。
「異国の騎士様も一緒にお帰りなさいいいにいこう?」
「そうだな……それから挨拶にいくとしようぞ」
東条がそういってうなずいたところでドアがノックされた。
感じる気配から東条もフォルも、それが今話していた"彼"のそれであることを悟る。
東条が"開いておるぞ"と返事をして、フォルがドアをあけにいく。
案の上そこにたっていたのは浅緑の髪の少年……スターリンで。
「お帰り、書記長様!こっち直接来たんだね!」
フォルはそういいながらスターリンに抱きつく。
スターリンはそれを引き剥がしにかかりつつ、東条の方を見た。
「ただいま、なのだよ。東条も来てたんだな」
「うむ。スターリン殿も元気そうで何よりぞ」
そういって東条は穏やかに微笑む。
スターリンはそれに"お前もな"と返してから、フォルに向き直った。
「というか、お前は馬鹿かフォル!?
下から丸見えだったのだよ!
他の人間に気づかれたらどうするつもりなのだよ……」
「あれ、見えてた?」
フォルは少し驚いた顔をしてそういう。
スターリンはそんな彼のリアクションに怒る気力も失せたのか、呆れ口調でいった。
「上見上げたら余裕で見える。ったく……」
そんなんじゃいつかばれるぞ、と呟く彼は心配そうだ。
そんな彼の思いを知ってか知らずか、
ごめんってば、といってフォルはスターリンにぎゅと抱きつく。
煩い離れろ、というわりに本気の拒み方でないスターリンを見て、東条は微笑んだ。
自国で自分が尊敬敬愛する人の為に働く時間も無論好きだが、
こうしてやり取りをする仲間たちと共に過ごす時間もかけがえのないものだな、と思って。
そして、堕天使を引き剥がそうと躍起になっている彼に訊ねる。
「スターリン殿、もうルカ殿のところに報告には行かれたのか?」
「いや、まだなのだよ。東条は?」
「私も今からいこうと思っていたところ故、共にいかぬかと声をかけようと」
「あぁ、そうだな……どうせいく場所も同じなんだから、いくか」
スターリンは頷く。
どうせ任務完了の報告にいくのだ。
彼もいくのだから、東条も一緒にいけばよいだろう。
「えー、二人ともいっちゃうの?」
フォルはむくれた顔をする。
せっかく帰ってきてくれたのに、と拗ねた顔の彼に、スターリンは苦笑しつついった。
「すぐに戻ってくるからおとなしくしてるのだよ」
「はぁい……早く帰って来なかったらお仕置きだからね二人とも!」
そういったあと、笑顔で"いってらっしゃい"と見送る辺りは、やはり子供っぽい。
ドアを閉めると、東条とスターリンは顔を見合わせて笑いあった。
―― With… ――
(仲間と過ごす穏やかで賑やかな時間
それもかけがえのないものなのであろう)
(さて、我儘な堕天使が機嫌を損ねる前に急いで報告を終わらせようか)