注意書き
・直接な描写はないけどえろ
・卑猥な単語が出てくる
・えつらんちゅうい












よきですか
よきですねっ














家に行くまでの道中で寄ったコンビニ。その隅っこにある2つの箱。
数字が違うから、何がどう違うのか気になった。

「実弥ちゃん実弥ちゃん」

「あ?んだよ、欲しいものでもあんのかァ」

「ちょっとこっち来て」

「?おう……」

「これ」

「って、ゴムじゃねぇか。まだ家にあるから買う必要ねぇよ」

「ちがうちがう、よく見て」

「よく見て、って」

「0.02と0.03があるの」

「……まァ、そう、だな」

「何が違うの?」

「何が違うって、0.01ミリ違うだろォ」

「そうじゃなーい!つけ心地とか、挿れた感覚とか、なんか色々あるじゃん!」

「んなの、いちいち確認して買わねぇよ」

「家にあるのは?」

「知らね。0.01とかじゃね」

「0.01って、これとこれより薄いってこと?」

「お前……数学教師目の前によくそんなポンコツなこと言えるな?」

「まあまあ。んで、やっぱり違う?0.01って」

「だから知るかァ!いちいち厚さ薄さを確認して買わねぇって言ってんだろ」

「じゃあ一番厚い0.03のやつ買って確認しよ」

「……は?」


好奇心は誰を殺す?
(わたしか、それともあなたか)(もしかしたら共倒れかも)


そんなわけで、なんだかんだで
お互い準備万端で、あとは確認するだけで。

両手にある
ふたつの、違う隔たり。

「……つーかこれ、俺、2回出さなきゃいけないわけ?」

「ちょっと挿れて、諸々確認したら外して、次のやつつければいいじゃん」

「……まァ、そうだけどォ」

「どっちから確認します?」

「別にどっちでも」

「じゃあ薄い方から」

「……」

「はい」

「……あんま変わんねぇと思うけどな」

「やってみなきゃ分かんないでしょ」

「つーかなんでそんな乗り気なんだよ」

「だって気になるじゃん!もしかしたらこの知識がどこかで生かせるかもしれないし」

「……」

「あー、なんだかドキドキしてきた。わたしも違いを感じられるのかなあ」

「ムードもへったくれもねぇな……」

「それ、今更」

「はぁ……ったく、挿れるぞ」

「はーい」

「……」

「……」

「……」

「……どう?」

「……いつもと同じだな」

「うん、わたしもいつもと同じ」

「……」

「……動いてみて?」

「……」

「……ん。うん、普通。はい次、厚い方」

「オイ!はい次って言われてはいそうですかってなるわけねぇだろ!」

「あっ!ねえ、バカ!ダメだって!」

「いってぇ!おい、変に動くな!折れる!」

「本格的にするのはこの次でいいでしょ!」

「はー……。分かった、取り替えればいいんだろォ」

「分かればよろしい」

「……」

「……つけたげようか?」

「結構です。お前にやらせると真っ二つに折られそうだし」

「ひどーい」

「どの口が言ってるんだか。ほら、挿れるから足開け」

「うん」

「……」

「……あ!ねえ、ちょっと違うかも!」

「マジ?……違いが分かんねェ」

「なんか挿れた時に引っ掛かりがあったと言うか、重たい?というか、摩擦を感じるというか、」

「なんだそれ、濡れてねぇんじゃねぇの」

「えっ、どう?」

「いや俺が聞いてんだけどォ……」

「分かんないよ、自分が濡れてるかどうかなんて」

「んじゃ動くか」

「そうだね、お願いしまーす」

「……」

「……ほら!なんか違う!」

「言われてみりゃあ、なんか違和感はある……か?」

「えっすごい、なんか感動。小数点以下の厚さでも違いが分かるんだ」

「そりゃ数字が違うから当たり前だろ」

「ね、どっちがいい?」

「どっちがって、どっちもそんなに変わんねぇよ、俺は」

「わたし0.01の方がいい」

「……まさかもう一回取り替えろ、とか言うんじゃねぇだろうなァ」

「言ったらどうする?」

「ぶち犯す」

「いやーん。優しくしてっ」

「へいへい、優しくすりゃいいんだろォ……」

「……あっ!」

「なんだよ!」

「薄い方がいいってことは、0ミリのナマってヤバそう」

「ナマ」

「うん」

「……言っとくけどよ、0ミリではしねぇぞ」

「それはそうでしょ」

「気になるからやってみて、とか言うのかと思ったァ」

「気になるけどね。実弥ちゃんはナマでしたいの?」

「そりゃまあ、ナマ中出しは男の夢っつーか、憧れっつーか」

「あこがれ、」

「どんな感じなんだろうな、とは思うなァ。めちゃくちゃやべーんだろうな、とか、最高に気持ちいいんだろうな、とか」

「ナマ中出し、したことあるの?」

「ねーよ。んな無責任なことしねェ」

「意外と真面目だよね。ヤンキーみたいな怖い顔なのに」

「おい、」

「うそうそごめん実弥ちゃんってば優しくてイケメンで素敵でかっこいい」

「調子乗ったことばっか言ってると、どうなるか分かってんだろうなァ」

それからふたりは、いつものように。
かさねて、つないで、まじりあって。

たった小数点以下の膜が
わたし達を、ちゃんとふたつの個体にしているのが不思議で
わたし達の距離がゼロにならない限り
きっとずっと、ひとつにはなれないんだろうな。
揺れる視界に身を任せながら
そんなことを、考えた。


(それがさみしい、ってわけじゃないけど)

(さすがにそれは、ケジメつけてからだな)