これは私が地獄に堕ちるまでの物語である!!

『左門くんはサモナー 1巻』
沼駿


天使で仏な少女、天使ケ原桜の前に現れた、捻くれ者のサモナー左門召介。彼は彼女の善性を偽善と決めつけ、化けの皮を剥がして地獄に落とすと宣言し――!?
みたいな感じで始まる悪魔まみれの日常コメディ。
作者のデビュー作『モロモノの事情』も収録。


今週間少年ジャンプの連載の中で一番好きな漫画です。
台詞回しでぐいぐい読ませてくる系のコメディで、絵柄がシンプルかつポップで可愛いです。
やっていることは確かにアレなこともありますが、そこまでシリアスにならないように、また、読者が不快にならないように、凄く気を使っている印象です。
でも主人公は片目の視力や寿命を悪魔に取られている疑惑があり、ヒロインは地獄行き確定、友人は二人ほど悪魔のせいで命の危機に陥ったこともあり、この見え隠れするほの暗さがたまりません。

…とはいえ、この漫画、とても感想が書きにくいです。それは一話ごとに主人公の印象が変わっていくからかもしれません。

主人公の左門くん自体に目立った変化は(そこまで)無いのですが、一話ごとのエピソードが彼の印象をどんどん上書きしていきます。左門くんは依然としてゲスのままなのに、一話の頃の余裕はどこへやら、弱点ばかりの圧倒的弱者としてしか見れなくなってしまったのです。

作者のキャラクターメモによると左門くんは「弱さの象徴」であり、対するヒロインてっしーは「最強キャラ」とのこと。
確かにてっしーは最強キャラです。
クラスメイト男子のゲロを素手キャッチして即座に相手を気遣えるくらい、ぐうの音の出ないくらい、天使(しかし彼女のメンタリティはあくまで普通の女子高生、その範疇を逸脱していないのです!)
そんな最強てっしーに立ち向かうザコオブザコの左門くんという構図は、正しく少年漫画かもしれません。

ところで、行きつけの書店に行ったら特典ペーパーが付いてきました。期待してなかったから思わぬラッキーです。


追記で男女カップリングの話をしてもいいですか?
さもてしです。