「いまいち話が見えないわね。ケトルがそのムキムキじいさんを気にかけていたってのが、なんでイコール女性に興味ない疑惑につながるのよ?」

テロルはコップのフチを指先で弾く。
するとミーナは険しい顔で、卓上に身を乗り出さんばかりに勢いこんだ。サイードがさりげなく水差しを避難させる。

「ケトルさん、昨日のお仕事の後もずっと『あの人めちゃくちゃカッコいいよな……。名のある冒険者なのかな……。カッコいい……』とか『冒険の話聞きたいな。でもいきなり話しかけたら怪しいかな!? どうしよう!!』とか『あの人のことが知りたい……』とか熱視線を! 向けていて! わたしが『踊り子はどう思いますか?』って訊いたら『ん? ああ、あの腰のチャクラムって珍しい武器だよな。使うところ見てみたいな』って言ったんですよ!!」

「そ、そお……」

あまりの剣幕に、ついテロルの腰が引ける。

「ま、まあ。ケトルは元々英雄マニアなところがあった、から、その延長では、ないのか?」

サイードがたどたどしくフォローを入れる。

「そうなのでしょうけれども……」

「よーするに嫉妬ダロ?」

なおも唇を尖らせるミーナとは対照的に、リャオはケラケラ笑った。