冲方丁


まさしく「卒業」の物語でした。

開幕からソードマスターカゲロウが始まって、三人くらい刀で串刺しにしているという凄惨な場面なのに『ギャグマンガ日和』の絵柄が浮かんできて本当に駄目でした。テンションが乱高下します。

日向が乙を横抱きにするのを見た陽炎達が羨ましがるシーンが好きです。
当人達にカップリングの意識が無いのに周囲が観測することで発生するカップリング要素という個人的ツボです。

白露さんと繋がった時の言葉に『オイレンシュピーゲル』三巻を思い出して、その後の展開が悲しくて悲しくてに泣いてしまいました。
まさか太公望さんがエキサイト翻訳煽りをするようになるなんて思いませんでした…。雛とのコンビも良かったですね。だからこそ「ウイルスを入れた」発言で泣いたのですが…!
畳み掛けるように砂漠の天使の絵のくだりで泣いて、泣いて。
今回泣いてばかりです。

正直蛭雪は男の趣味が悪いと思っていたのに、段々陸王の好感度が上がっていた自分に気付きました。おうちに帰ろうって言っていた秋水も…。だって彼らの家は兄弟まとめて電子レンジに突っ込むような家ではないですか。その家に帰りたいって、胸が詰まります。

戦闘は最終巻ということもあって今までよりもあっさり目な印象でした。その分残党狩りで悪辣なものを見てしまった気分です。逮捕された三人、その誰もが「自分は直接手を下したわけではない」「そんなに悪いことをしたと自覚がない」という醜悪さ。お前らのせいで何人死んだと思っているのでしょう?特にHHH。グスタフさんや白露さんの下りで泣いた身としては「こいつさえいなければ…」という気持ちでいっぱいです。

ともかくMPBもMSSも皆が報いと決着を付け、未来が見える終わり方で良かったです。
旅立つ仲間、残る仲間。あのシーンはまさにミリオポリスからの卒業式でした。

長らく続巻を待ち続けたシリーズが完結して嬉しいです。作者様に最大の感謝を。そして、登場人物達の未来に祝福のあらんことを。