冲方丁


これちょっとどうするの?どうなるの?という事態に次ぐ事態の連続で息を吐く暇もないほどでした。
何が凄いって、私の読むペースがどんどん早くなっていることです。まさかこのページ数を二日で読み切るとは思いませんでした。

ついに敵の手に墜ちる鳳/孤軍奮闘の乙/更に追い詰められる雛/父の正体を知る冬真/意識を失ってなお戦う水無月/姿を現す蛍&皇/カール・クラウスに導かれるヘルガ/リヒャルト・トラクルと対面するバロウ神父/どうしょうもない戦場であがく者達――悪意の荊――悪しき繋がり――そして、反撃の狼煙。

乙の「どうして自分はいつもこうなのだろう」に物凄く共感してしまって駄目になりました。泣く。

『スプライトシュピーゲルT』で語られた雛の過去は、本人が更に凄惨な過去を忘れるためにそうであると思い込んでいたものだと明かされるのが、雛の進退窮まった状況も相まって本当に辛くて…。
作者はどうやったらこんなに辛いことを思いつくのでしょう?「キャラクターの凄惨な過去を作ってみてください」と言われてこのレベルの悲惨さをお出しできる人がどれだけいるのでしょう?少なくとも私には無理です。一次創作を嗜む者として、想像力の限界を感じました。
でも雛は「こんな過去がある自分は幸せになれない」と思いながらも愛する人のために行動します。その姿が凄く胸を打ちました。
雛がレベル3を転送する時の口上が滅茶苦茶格好良いので皆様読んで欲しいです。

ところでハリー王子がちょっと格好良すぎません?
しかし現実はと言うと…。

最後の最後でとんでもないツンデレをお出しされた気分です。何故かここだけピンポイントでネタバレを喰らっていたのですが、知らずに読みたかったです。

そして涼宮の頼もしさがたまりません。彼女もこの直前まで心折れていたのを知っていると熱いものがあります。