冲方丁


再読。


君の腎臓を食べたい。

一巻と同じくそれぞれにスポットを当てた短編×三、貫くテーマは初出撃時の記憶――「仲間殺し」――そして「レベル3」とは。

『スプライトシュピーゲル』ではお馴染みの犠脳体兵器がこっちでも登場。しかも遠隔操作でハッキング系というのが厄介です。涼月でなくともああなりますよ…。
登場するたびに吹雪の献身の凄まじさが明らかになっていくの、純愛で済ませて良いのかわからなくなりました。
陽炎と未成年娼婦のやり取りが良いです。名前も出ていないのに良いキャラすぎます。
夕霧が恋をして、凄くお似合いのカップルで、可愛いー可愛いーってしたいのに不穏さが積み上げられていくのがひたすらに辛かったです。恋した夕霧の視点から見る世界は一面にロマンチックな幸せであふれていたのに…。文章がふわふわした書き方になっているのも個人的にはポイント高いです。

今回はなんだかいつもよりも恋愛要素が強めでした。
今回は三人一緒なのに別のことを考えていることが多く、ばらばらで、だから最後のシーンが…。何故彼女達はチームなのか、ケルベロスは三頭の犬であるの訓示は何のためのものなのか、その結びつきの必要性を示してきた巻でした。

巻末のおまけでどんな顔すればいいのか。触手とはマニアックだな吹雪君。というか解説役としての陽炎の汎用性が高すぎます。