※黒バス OPトレス

『黒子のバスケ』
黛千尋


超滑り込みですがお誕生おめでとうございます。

バスケをしているちひろさんが好きです。ということでOPトレスです。

画材はシャーペンと色鉛筆です。

一次創作小説「友達とおしゃべりしたいフランの話D」

 ラツィはくすくす笑いました。
 広場の一角、いつもの場所で、青年はいつもよりも愉快そうに笑いました。
 フランはやけっぱちになって言いました。

「ラツィお兄ちゃん、お兄ちゃんはまほうつかいだよね!? まほうでわん太とお話することってできる!?」

 ラツィの笑い声はいよいよ大きくなりました。

「いいえ、違います。僕は魔法使いでは有りません。抑々(そもそも)本物の魔法使いが今の時代に何れだけ居る事か」

 フランは自嘲を滲ませた笑みには気付かず、目をまんまるにしました。

「お兄ちゃんがまほうつかいじゃないってウソでしょ?」

「本当ですよぅ。お兄さんは雨の代わりにキャンディーを降らせる事さえ出来無いんですよ」

 フランは額を押さえ、ちょっと考えてからラツィに向き直りました。

「じゃあ、ラツィお兄ちゃんがたまにわん太に話しかけてるのはなんなの?」

「だってラザさんは此方の言葉は理解出来ますから。人間の言葉は話せませんが、代わりにほら、耳や尻尾を使って精一杯伝えようとして居るでしょう?」

 わん太は尻尾を揺らしました。フランはその頭を撫でました。フカフカした毛並みは優しくフランの指先をくすぐりました。

「フランさん、貴女は今日随分と色んな方に聞いて回った然うですね? でも、一番大事な方には聞きましたか? 肝心要のラザさんの気持ちを確認しましたか?」

 ラツィに言われ、フランはハッとわん太を見つめました。

「あたし……あたし、そうだ、自分がおしゃべりしたい気持ちばっかしで、わん太がどう思っているか考えてなかった! しゃべれなくてもわん太はわん太なのに!」

 わん太はフランの頬に鼻先を寄せました。とたんにフランの腕がわん太の首に回りました。

「それなのに、わん太はあたしにつきあってくれた。あたしの後をついて来てくれた。ありがとう……。あたし、すっごいわがままな子だった」

「まぁフランさんが嫌な性格なのは今に始まった事では無いのですが――」

「水をささないで」

「――ラザさんに関してはきちんとして居たと言いますか、其の汚濁した性格の悪さを発揮して居ませんでしたからねぇ。珍しい事も有る物ですと思って居たのですよ」

 フランはバツの悪さを誤魔化すためにわん太の首筋に顔を埋めました。

「……生活があんていして来たから、気が大きくなっちゃったの。ごめんね、わん太。反省する。だから友だちのままでいてくれる?」

 わん太は答えませんでした。人間の言葉を喋ることが出来ないからです。その代わりにフランの頬を舐めました。

「くすぐったいよ」

 言葉が無くても、不思議なことに、フランはわん太の気持ちがはっきりとわかりました。

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