ろくごまるに御大の作品再読中です。


奮闘編もこれで最後です。
ここから掲載誌が変わり、ドラゴンマガジンから季刊誌のファンタジアバトルロイヤルになりました。
掲載された短編と書き下ろし中編という形式はそのままですが、内容は今までと違って主に仙界編というか、龍華血風録と言いますか。他にも表題作であるファンタジアバトルロイヤルでの最終回や、氷のような目をした女の話や、無限ループを終わらせる話などを収録。


非常に個人的な話なのですが、この表題作の方が長編最終巻よりも最終回っぽく感じてしまいます。何故なら、私が読みたかった封仙の最終回のイメージに近かったからです。やはり物語の決着としては和穂に(ネタバレ)して欲しかった。
長編最終巻でモヤモヤしたのは、この表題作を先に読んでいたからかもしれません。

そして和穂が(ネタバレ)した後の殷雷とのやりとりがもう、お互いを思いやるからこそのものでした。
改めて考えると、この二人の関係って何でしょうね。「カップル」とも「主従」とも言えないような、単純に「道具と使用者」とは割り切れないような、「護衛対象と護衛」と言うには一緒に戦いますし、長編一巻当時殷雷が言っていた「子供とお守り」にはもう当て嵌まらないのです。「戦友」か「相棒」でしょうか。
恋愛感情はあってもなくてもどちらでもいいのですが、でも和穂には殷雷であって欲しいし、殷雷には和穂であって欲しいんですよ。

「それほど戦闘能力の無い」箒の宝貝とは?


今はこんな和穂ですが、殷雷が破壊されたら修羅と化します。
氷のような目をした女となり、立ち塞がるもの全てを容赦無く排除する、非情の宝貝回収者となります。

私は泣けないのに、何故お前は軽々と涙を流せる?

私ちょっと思ったんですが、仮に殷雷が復活したとして、彼女は泣くことが出来るんでしょうか。これでもし涙が涸れ果てていたとしたら、泣けなかったら、と思うと辛いです。


龍華の話だと、書き下ろしの狩りの話が一番好きです。
狩人のスタンス。そして作成されたばかりのあどけない恵潤刀。
龍華は大体何でも力尽くで解決すイメージがあったのですが、実は搦め手や、自分の得意なフィールドに相手を追い込む策士ですよね。こういうキャラクターを書けたらきっと楽しいだろうなと思います。素敵。