『ラグナロク・トライアル -新・封神裁判-』
多宇部貞人


封神裁判の二巻目です。なんでタイトル変わってんですかね?
内容は一巻の続きですので、読んでないとキャラの関係などがわかりにくいんじゃないかなーと思いました。

ストーリーはテレビ局で殺神事件、アスガルドで監禁事件、果ては神界を巻き込んだ大規模テロ計画と、大掛かりな話になってきました。
神々の黄昏を未然に防ぐ為に奔走する主人公達。やはり熱いです。


序盤から、主人公とヒロインが敵味方に別れてバトルロイヤル裁判をするというのも驚きました。あと超絶雑なフォルセティ検事神の偽者。
裁判は、相変わらず時間も証拠も足りない、ほぼ詰み状態から始まります。
たまにはじっくり調査させてあげて、と思います。(短編でいいので、普通に民事裁判するフッキ弁護神が見たいです。コメディで、ちょっといい話でしめる系をお願いします)

中盤はアスガルドで調査です。ほのぼのとしたフッキ弁護神と菊理姫のやりとりが微笑ましいです。主人公とヒロインが互いにフォローし合って、良い影響を受け合う関係なのが非常に良いです。
一緒に羽衣にくるまったりとか、一緒に寝ましょうかのくだりとか、可愛すぎですか。このコンビについては要約すると可愛いという単語しか出てこないです。
このコンビといえば、個人的に一巻の懸念材料だったフッキ弁護神の食生活が、菊理姫の加入により大幅に改善されたのが良かったです。神様とはいっても毎食コンビニ弁当は心配になりますからね。また菊理姫の手料理がおいしそうなのです。本当に良く出来た女神様ですよ…。

今回は北欧神話がメインということで、ライバル的立ち位置のフォルセティ検事神の過去についても触れられました。
個人的に前巻から地味に気になっていたバルドル神との関係については、あえてああいう形にしたのかなと。(てっきりロキが煽ってくるかと思いきやそんなことはなかったです)
無事だろうと踏んではいましたが、彼の無事を確認するまで息がつけませんでした。

ジョカお姉様も格好良かったです。めさめさ男前なのに、神農様のことで飛び出して行くあたりが乙女でキュンキュンしました。こういうギャップに弱いです。
いつか崑崙山が舞台になった時、神農様登場しませんかねー。どんな神様なんでしょう。

その他、ガネーシャ弁護神がツボりました。「〜ゾウ」って、キャラ作っているんでしょうが癒されました。可愛いなこの神様。

オーディン様は外見がジジイじゃなくてびっくりしましたが、中身も物騒すぎてびっくりしました。この神様については壮絶で悲しい。
ラストの主神の対比は良かったです。でも流れは早かったような。もっとじっくりやるかと思いました。
トール様も悲しいです。ネタバレなので伏せますが、信じる云々の以下略。神器の激突は燃えました。


その他のネタとしては、
ヒミンビョルク・テレビ局の建物に丸いアレが付いていたり(虹の橋の近くにあるヘイムダル神の住まうヒミンビョルク宮殿ってそういう…)、
二神合体ヴァーリさんとか(合体シークエンスはロマンです。ええ、ロマンです。というか元の二柱をそう使いますか)
そんな元の神話のアレンジ具合が良かったです。ストーリーへの絡ませ方が巧みだと思いました。

被害神はヘイムダルと聞いて、「どうせ真犯神はロキだろう?北欧神話的に」と高を括っていた自分を叱ってやりたいです。


次巻は(ネタバレ)神話ですか?続き待ってます。
魔探偵ホームズの続巻でもいいので早く読みたいです。