元々「フェンデルク」とは、広く大陸北方を指す地名だった。


昔々。大陸中央部から西方にかけてを支配した、エスペラント王国という国があった。
その国にはある優秀な騎士がいた。元は平民だが、実力で騎士の名誉を得た男だった。
武勲を上げた騎士が賜った領地、それは雪と凍土に覆われた、フェンデルクという名の土地だった。
「平民風情にはその程度がお似合いだ」とエスペラント王国の貴族達に笑われもしたが、騎士はなんとかその土地でやっていこうとする。
しかしその地は寒く、作物が育たない。あるのは鉱山、そして泥炭。
彼の配下も、農奴も、これでは生きていけない。騎士は実り豊かな土地を手に入れるために戦うことを決意する。
最初は騎士同士で領地を取り合い、近隣の異民族とも戦った。
騎士は戦の天才で、交渉術にも長けていた。
山あいの交易都市(現在のユリウス)を手に入れ、貿易の拠点とし、鉱物資源を輸出して農作物を輸入した。
あっという間に領地は広大になった。
やがて騎士は領地をまとめ上げ、王国を作り、独立宣言をする。この新しい王国の名前をフェンデルクと言う。
この騎士は、後にフェンデルク王国初代国王フェンデルク一世と呼ばれるようになった。

で、木材資源を求めて東に領地を広げ、アルナーを植民地化するわけだ。


フェンデルクの国民が異民族入り乱れて多様性に富むのと、それぞれの都市の名前に統一感が無いのは、以上の歴史から。

ちなみに、一般的なフェンデルク人とは、白い肌で寒色系の髪色をしていて長身だったりする。でも混血が進んでいるから、こだわる人は少ない。