エソラゴト

prof bkm

チルドレン [読書日記]


話題:読書

※ネタバレ注意


数日前に、伊坂幸太郎の「チルドレン」を読み終えました。

バンク、チルドレン、レトリーバー、チルドレンU、イン、

5つの物語が収録された短編集です。

「短編集のふりをした長編小説」ということで、

すべての物語の時はバラバラで、チルドレンとチルドレンU以外は語り手もバラバラなのですが

すべての物語に陣内という男が登場します。

伊坂作品といえば他作品とのリンクも見どころの一つです。

私はまだ全ての作品を読めていないので気づかなかった部分もあるかもしれませんが、
この作品はあまり多くなく、わかりづらかったようにも思います。


バンクで起こった銀行強盗事件。

あれはラッシュライフで豊田がタクシーの中で聞いた

お面をつけた銀行強盗の事件のことだったんですね。

他には見つけられませんでした。



伊坂作品では結構人が死ぬイメージが強かったんですが、

この作品では人が死ぬようなことは起こらず日常感のある、

全体的にあたたかい作品であると思います。

登場人物に永瀬という青年がいます。

彼は全盲で、生まれた時から目が見えないんです。

生まれた時から目が見えないというのは私には想像もできない世界です。

「白ってどんな色ですか?」と聞かれてどう説明すればいいのでしょうか?

レトリーバーでは永瀬に通りすがりのおばさんがお金を渡して去っていくシーンがあります。

それを知った陣内と永瀬の会話を少し紹介します


「何で、お前がもらえて、俺がもらえないんだよ」

「たぶん、僕が盲導犬を連れているから、じゃないかな。目も見えないし」

「は?」と唖然とする陣内。

「そんなの、関係ねえだろ」

そして「関係ないっつうの。ずるいじゃねえか」と喚く陣内。

そんな陣内に顔をほころばせる永瀬。

ここは私は結構好きでした。

永瀬にとって目が見えないことはもはや「当たり前」で、

可哀想だなんて思われることではないのかもしれませんね。


陣内という男は無責任で無茶苦茶なことばかりしでかす奇人変人ですが、

彼のような人は友人にいるとすごく心強いと思います。

この作品の中にはそんな陣内がたくさんの名言を残しています。

チルドレンUの居酒屋でおっさん達に絡まれたあたりも好きです。

「駄目なガキは駄目なんだ」と言うおっさんに対して陣内が見事に反論し、

最後には「そもそも、大人が恰好良ければ、子供はぐれねえんだよ」

っていうシーンは最高に恰好良かったです。


続きを読む

14.3.29 11:21 Sat / comment 0


<< newer top older >>



<< 2024年05月 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

-エムブロ-