スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

オレの帰る場所

昨日、仕事中に思いついたSS+イラスト。






****************************






「もう、御堂さんなんて知りません!」

仕事から帰宅した克哉はそう言い捨て玄関のドア
を後ろ手で閉め、御堂の家を出て行った。
どうして、わかってくれないんだろう。
克哉はどこへ行くでもなくただがむしゃらに
街の中を走っていく。
もう、克哉が住んでいたアパートは引き払ってしまった。
だから、帰る場所は他にはない。
なぜ、こんなことになったのだろう。
あんなことさえなければ、今頃二人で甘い時間を過ごしていただろうに。
いつもなら許せたはずのことなのに、今日はどうしてか許せなかった。
別段、仕事で何か上手くいかないとかあったわけでもなく、いつもと変わらない一日を過ごしていた。

「どうしてなんだろう…」

走らせていた足も段々と速度を落とし、とぼとぼと俯きながら
歩きだす。
明るい街を抜け、住宅街へと足が進んでいく。
ふと、気がつくと以前住んでいたアパートの近くのあの公園に来ていた。
ここが全ての始まりの場所。
今の御堂と克哉の関係となったのも、あの日この場所で起きた
出来事のお陰だった。
あの頃が、少し懐かしいと思った。
またあの思い出が愛しいと思う。
克哉は公園へと入り傍にあったベンチに座った。
そして、地面を見つめながら深いため息をついた。

「御堂さん・・・」

しばらく、克哉はその場で考えていた。
夜が深くなればなるほど、段々と冷え込んでいく季節。
おまけに、走っていた克哉は汗で更に寒さが増した。
御堂のもとから勢いで飛び出していたものの、克哉は財布はおろか
携帯電話も何も持っていなかった。
そして、克哉に追い打ちをかけるかのように空からは
雨が降ってきて、あっという間に地面を濡らした。
泣きっ面に蜂とはこういうことだと心の中で思った。
克哉は重い腰を上げ、仕方なく恋人のいる家に戻ることにした。
帰って、謝ろう…オレが、悪いんだし…
他に帰る場所なんてないだから。
その帰る場所すら果たして、帰っていいものか分からない。
御堂さんにとって、オレって一体なんなんだろう。
卑屈になる気持ちがまた嫌な気分にさせる。
克哉はまたため息をつき重い足取りで来た道を戻っていくと、
なにかの声がした。
克哉は気になり、その声のする場所へ行くと、着た時には気づかなかったが、まだ生まれてから数か月しかなっていないだろうと思われる、
子猫が弱々しく小さな声で鳴いていた。
きっと親猫と離れてしまったのか、はたまた捨てられたのか、
なぜか子猫をほおっておけなかった。
克哉は腰を降ろしゆっくりと子猫を抱き上げると、子猫は小さく震えていた。
よぉし、よぉしと子猫の体を温めるように撫でる。

「どうしたぁ、お前置いてかれちゃったのか?」






克哉は子猫に話しかける。
子猫は克哉の言葉に返すかのように、にゃぁ〜と鳴く。

「そっかぁ。置いてかれたのか・・・
帰る場所がないんだな・・・
お前を連れて帰ってあげたいけど、きっと御堂さんは
嫌がるだろうからな・・・だから、ごめんな」

せめて、子猫が寒くならないようにしてあげたいと
思った克哉だったが、何も持っていない。
なら、子猫の震えが止まるくらいまでは温めてあげることにした。
その間、克哉は子猫にいろいろと話をした。

「どうして、御堂さんはわかってくれないんだろ。
オレは、御堂さんだけなのに・・・
浮気なんてしない。ただ、本多と帰りにたまたま会って、少し
飲んで遅くなっただけで・・・
オレ、御堂さんに信用されてないのかな・・・」

克哉は御堂に信用されていない。
そう思ったとたん、無性に泣きたい気持ちになった。
自分はこんなにも御堂の事を想っていて、信用もしている。
でも、御堂は違かった。
どうせ、雨が降っているんだ。
今、ここで泣いていても雨で誤魔化せる。
だから、張りつめていた心をそっと解いた。
解いた瞬間、すっと流れる涙。
克哉は涙を流しながら愛しい人の名前を何度も呼んだ。


「オレは、御堂さんだけを愛してるのに・・・
オレには御堂さんだけがいればいい。
御堂さんの変わりなんていない。
御堂さんしかいらない。

孝典さん、孝典さん・・・孝典・っ・・

愛しています・・・

だから、オレを・・・嫌いにならないでっ・・・――」


すると、さっきまで冷たく体を濡らしていた雨が止んだ。
でも、雨の音は聞こえる。
克哉は自分の周りだけが雨にあたっていないことに気がづいた。
空を見上げようとして、上を向くと、そこには紺色の傘が目の前を覆っていた。
どうして傘が・・・
克哉は抱いていた子猫を下して慌てて後ろに振り向くと、そこには、御堂が立っていた。

「ど、う・・・して、み、どうさんがここに・・・」

「克哉っ・・・」

克哉は言葉を言いきる前に、いきなり御堂に抱きしめられる。
抱きしめる腕は力強く、まるでもう離さないというかのようだった。

「すまなかった・・・」

御堂は克哉を抱きしめたまま謝った。

「御堂、さん・・・」

克哉は御堂の体を抱きしめ返そうと腕を背中にまわすと、
彼の背中は傘をさしていたというのにびっしょりと濡れていた。
きっと、濡れることも構わないくらい自分を必死で探していたんだと
思うと胸に愛しさが溢れた。
克哉は目を閉じ、御堂の体を抱きしめ返した。

「オレが愛してるのは御堂さんだけです。
           だから、浮気なんかしてません・・・」

「ああ、わかっている。ただ、時折不安になるんだ」

「えっ・・・」

「私は、君より7つも歳が離れている。だから、常に飽きられるんではないかとか考えてしまうんだ・・・」

「そ、そんな飽きるなんて!!」

飽きるわけなんてない。
むしろ、克哉の方が飽きれられて捨てられるんじゃないかといつも不安でいっぱいになる。
それが、御堂も思っていたなんて思わなかった。
きっと、互いが愛しいと思っているから。
愛しさの隣にはいつも不安があり、鬩ぎ合っている。
それがあるからこそ、愛しさを倍増させているんだとさえ思った。


「それに、克哉。私は、君を信用してないわけではない。心配なんだ。君に悪い虫がつくんじゃないかと・・・」

「御堂さん・・・」

抱きしめ合っていた体を少し離し、お互いの顔を見合わせた。
一体、いつから御堂は克哉の話を聞いていたのだろうか。
まさか、話を御堂に聞かれているとは思わず、克哉はその場でたじろいた。
克哉は御堂から目線を反らし、頬を赤く染める。

「あっ・・あのう、一体いつから居たんですか・・・」

「んっ?あぁ、子猫を拾った時からだが・・・」

全部、克哉の話は御堂に聞かれていた。
克哉は恥ずかしさのあまり、その場から逃げだしたくなった。
しかし、それは、叶うこともなく御堂に腕を掴まれ阻止される。
そして、その腕を強く引き寄せ、甘い言葉を残し克哉の唇を奪う。

「愛している、克哉・・・」

咬みつくようなキスは、角度を変えながら次第に深く濃厚なキスへと変わっていく。
克哉は先ほどまでの恥ずかしさを忘れ、応えるかのように克哉もまた御堂の唇を奪った。

「んっ・・ぁ・・・」

唇と唇の間から吐息にも似た喘ぎが零れる。
ここが外だということを忘れるほどに、克哉は夢中になって御堂から
くれる愛と甘いキスを味わう。
名残惜しそうに、克哉は御堂から唇を離し、肩で息をしながら笑顔で御堂に言う。

「オレも・・・
    御堂さんを、御堂さんだけを愛して・・・ます」


「あぁ・・・」

二人は微笑み合うと、どちらから合図することもなく再び唇を重ねた。
今度は触れるだけの軽いキス。
続きはまた家でな、っと御堂が克哉の耳元で囁く。
克哉は再び頬を赤く染めながら頷き返す。
気がつけば、子猫もいなくなって、あんなに降っていたい雨は止んでいて、月明かりが二人を照らしていた。


「帰るぞ、克哉」

「はい。孝典さん」


克哉は笑みを浮かべながら、短い返事を返した。
少し前を歩く御堂の手にそっと触れて、克哉は手を重ねた。
御堂も何も言わずに克哉の手を軽く握る。
一緒に帰るのがこんなに嬉しく思うなんてきっと、
御堂だけにしか思わない。
オレは、この人だけいればいい。
オレの帰る場所。
それは、愛しい人のいる場所。

〜FIN〜


more...!

いつの間に・・・

知らないうちに寝ててビックリしました。
でも、ちゃんと布団で寝てたからよかった。
ふと目が覚めて、ボーっとしてだんだんと
意識がはっきりして一気に血が引いた。
仕事があると勘違いして…
一体、何時に寝ちゃったんだろう・・・?


せっかく、7時に早く起きたので朝から
掃除して、料理して楽しんでました。
落ち着くね。
やっぱり、心を落ち着かせるには掃除と料理が一番だ!!
もちろん、御堂さんヴォイスを聴きながら♪

今からサイトでも更新するためにイラストでも描きます。
しかし、最近サイトを全体的に変えたいんですよね。
どうも、気に入らなくて・・・
もうちょっとシンプルな感じにしたい。
でも、思うようなサイトにできないのが悩みだ。
私に技術があればいい話ですが。

prev next