2011-11-12 12:39
久しぶりに12時まで寝てました。何回か起きたりごろごろはしてたけども…まあ昨日3時だったしな、うん。
追記から遅れたけど佐久鬼です。
星屋さんの佐久鬼が素晴らしかったのでその佐久間視点。
*体育の時間、佐久間は教室から自分を見る鬼道さんに口パクで愛の言葉を言っている。
なんかこれ元の佐久鬼見なきゃわからないような文になっているような気がするんですがすみません、ただの自己満足でした(^O^)
あとあんな素晴らしい佐久鬼に私が泥を塗らないかかが非常に心配なところです…
いつからかは覚えていないけれど、外に出る授業の時は必ずと言っていいほど鬼道のいる教室に目を移していた。
ほぼ習慣になっているそれは、はじまりは至って単純なことだった。俺と鬼道はクラスが違っているため、当たり前だが授業中は相手が何をして、何を考えているのかわからない。(まあ、鬼道に関して言えば間違いなく授業に集中してるんだろうけれど)(これは予想じゃなくて確信だ)
それでも鬼道がどうしてるかが気になって、ふと体育の時間に鬼道のいる教室を見上げたのが最初。それがこうして、今では体育の授業内容よりも俺の注意を引いている行為となっていた。…とはいえ今まで鬼道に気付かれたことも、それ以前に鬼道の姿を見たこともないんだが。
「(――あ、)」
けれどあの場に鬼道がいるという事実と、いつか鬼道の姿が見えるかもしれないという淡い期待を胸に見ていた。そう、見ていた。
俺の幻覚だろうかと疑ったそれを、現実にしたのは何度か瞬きを繰り返した後だった。若干乾いていた目は潤いを取り戻したようで、より鮮明に視界が広がった気がする。
いつも通り見上げた教室の、俺からギリギリ見える窓側の席に、俺がずっとずっと心待ちにしていた鬼道がいた。
「(鬼道が、見える)」
周りの生徒が霞むほど鬼道の存在は俺の中で大きくて。鬼道の真剣に授業に取り組む表情とか、相変わらずの姿勢の良さとか、たまにノートを取るために顔を下げる様子とかが全て俺の目に映った。
思わず喜びを隠さず口角を緩ませてしまった事に気付いた俺は冷静さを取り繕おうときゅっと唇を閉じたけれど、ゆるゆるとそれがほどかれていったのは云うまでもない。
***
「二限、見てくれてありがとうな、鬼道」
「……ああ」
少し間があった後に答えられた鬼道の声色はいつもと同じ、よりも少しだけ堅いように感じた。その理由にはいくつか心当たりがあるが、どれが鬼道の中で大きいかは最中ではない。ただ一つ言えるのはその理由の中に俺がした行動が入っていたら良いのに、ということだけだ。
授業よりも俺を優先してくれたことが嬉しくて純粋に頬の筋肉が上がっていた俺は、目の前の鬼道が俺を真っ直ぐ見ずに微かに顔を背けている姿に、二限の時の鬼道を思い出してにまにまとした笑みを作ってしまう。
鬼道が顔を背ける時は大方照れている証拠だ。ほんのり赤くなっていた頬や耳を俺が見間違えるはずがない。今の鬼道は健康的な肌をしているが、こういう態度を取っている辺り、少なからず俺の影響を受けているんだろう。鬼道が俺を思っているこの現状でニヤけるなと言う方が無理な話だ。
「何を笑っているんだ」
「悪い、つい。」
ムッとして俺を見る鬼道が可愛くて仕方ない。
ゴーグルの奥ではじとっと目を細めて俺のことを見ているんだろう。そんな事を考えると余計に頬が緩んでしまうけれど、これ以上やると鬼道の機嫌を損ねてしまう可能性があるからぐっと我慢する。我慢したとしても完全に口が元の状態に戻ることは決してないけど。
外から鬼道の姿を発見した悦びの衝動で行った事だが、やって良かったと心から思う。ああやって鬼道が俺を見てくれたんだし、何より赤くなる鬼道が見れたことだしな。
そこから思ったことも一つあったけど、それは。
「佐久間」
「なん、……!」
ぐいっと胸ぐらを捕まれて引っ張られた先にいたのはゴーグルの黒の中に視える赤色の瞳。視界いっぱいに広がったそれが遠退いた時、俺は外から鬼道を見つけた時以上に目をぱちくりとする羽目になった。え、今、鬼道。
「仕返しだ」
一気に熱くなった頬の俺を見て、鬼道はニヤリと笑った。
(眺める距離より触れられる距離)