ログイン |
岸田文雄首相(自民党総裁)は7日、茂木敏充幹事長と公邸で会い、10日実施の内閣改造・党役員人事をめぐり協議した。これに先立ち、萩生田光一経産相とも会談した。急逝した安倍晋三元首相の側近だった萩生田氏は、続投か政調会長など党の要職で起用する案が浮上している。一方、「政界屈指の親中派」である林芳正外相は留任させる方向で調整に入っているが、台湾問題などで米中対立が激化するなか、地雷にならないか。
「新型コロナウイルスや、物価高への対応、ウクライナ情勢、台湾情勢などさまざまな課題を考えると、できるだけ早く、新しい体制をスタートさせなければいけないと考え続けてきた」
岸田首相は6日、広島市内で記者会見し、内閣改造・党役員人事について、こう語った。8日午後に党臨時役員会、臨時総務会を開き、役員人事の一任を取り付ける。
これまでに、党では、麻生太郎副総裁と茂木氏の続投は固まった。福田達夫総務会長と高市早苗政調会長は交代が有力視されている。
閣僚では、松野博一官房長官と鈴木俊一財務相、斉藤鉄夫国交相は留任。岸信夫防衛相は健康状態を考慮して、金子原二郎農水相と二之湯智国家公安委員長は参院選に出馬せず民間人になったため交代させる方向。
岸田首相は冒頭の記者会見で、「私の内閣では新たに指名する閣僚だけではなく、現閣僚も含め、(旧統一教会との)関係を点検してもらい、結果を明らかにしてもらう。そのうえで適正なかたちに見直すことを指示したい」と語っており、関係議員を閣僚から外して局面転換を図る可能性がある。
こうしたなか、岸田首相は、林外相を留任させる方向で調整に入っている。「外交の継続性」を重視したというが、中国に毅然(きぜん)とした外交姿勢をとっているように見えない林外相に対しては、ネット上で批判や不満が噴出している。
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「中国が軍事的圧力を強めて米中対立が激しくなるなか、日本には中国に厳しい態度をとる外相が求められる。『親中派』とされる林外相は適任ではない。林外相を留任させ、岸防衛相を交代させ、対米関係を重視してきた萩生田経産相を党要職へ配置換えする話も出ている。誤った配置にすれば、安倍政権以来の『岩盤保守層』は離れ、岸田内閣の支持率はさらに下がりかねない」と語った。