高みを望めジャック

高く、高く遠くへ行くんだ



「なに、してるんだ?」
「…」

安い照明に手を伸ばしてしるところで、隣の男に静止させられる。名前は聞いていない。お得意様だが、覚える気がない。

「修理は終わったのか?」
「その為に呼んだんじゃないだろ」

俺は横の男の首に腕を絡める。それを良しとしたのか、流れに任せてキスをしてくる。声を漏らせば次へ移る。繰り返しだ。
こんな単調な事はない。気持ちいいと言えば更に次へ。

この男をジャックと思えばなんて事はない。みんな一緒だ。それで修理代なんかよりずっと高い料金が手に入る。

高く遠くへ行け、ジャック
見下ろす事を知らないおまえならきっと大丈夫だ。汚ないモノや見なくていいモノは知らなくていい。

「ぁ、…」

仰向けになりながら安い光に手を伸ばす。その光の先に本当の、孤高の光がある。

見上げる俺をおまえは知らないだろう…
けど、いい…ジャックは自分の道を、まだ綺麗な俺だけを知っていてくれ

「…きれいだな」
「?」

胸に噛み付いていた男を強く抱き締める。おまえは見るな。あの孤高の光を、綺麗なジャックを…


人間なんてみんな一緒だろ?
なあ、ジャック…?


だが、おまえは違う。

神にも等しい…俺の……