back eyes



読み終わりました。
以前本屋で表紙買いしたけれども、なんとそれは下巻だったといざ読もうと判明してから読むに読めなかったやつ(笑)←粗忽すぎ
上巻がなかなか見つからなくて結局アマゾンで注文しましたとさ。
しかも、本屋でコミックになってるのを見かけて……ああ、漫画の方を先に読んじゃおうかな……いやいや、もうすぐ上巻届くんだしほら……とかいう葛藤も経て(我慢した)ようやく読みはじめられたわけで!

小説を読みはじめる時って結構勇気が要るものです。漫画は垣根が低いんですが、書き手の世界観と語りの文章から受ける印象に、慣れるのが大変な時ってないですか? 特にミステリってクセが強い気がして。
これもやっぱり読む前に、よし、読むぞ! と気合いを入れたわけですが、予想外にストンと読みすすめられました。なんというか読み当たりがなめらかというかソフトというか……処方されたのは苦い漢方薬ばかりかと思っていたのに実は糖衣薬だった感じです。例えが下手で泣けてくる。
語り手の登場人物が作者当人っていうのも、なんだかしばらく見ない手法で懐かしかったです。

寝る前に上巻読んで、起きてから下巻を読んだんですが。
上巻の第一章の「オグロアラダ」にぞーっとしました。主人公が聴いた(恐らく霊の)言葉の一部なんですが、意味不明すぎて何かの呪文かとか反対から読むのかとか考えながら読んでいったら……ドギャンときました。早々に主人公がその言葉の意味に気付くのですが、思わず居住まいを正しちゃったくらいにぞわーと。おおお。
上巻と下巻の間に睡眠を挟むのが大変でした。続きが気になって仕方なくて。

昨今のホラーやミステリは頭に衝撃的な事件や現象を持ってきて、結局なあなあな雰囲気で終わるのが多いような気がしてたんです。残虐さに後付けされたような動機と無理くさいトリックとで釈然としない読後感。そういうのをハズレを読むと胃もたれしたような気分になります。
今回のは当たりだったようです。
何でだろうなー。読み当たりの滑らかさが不思議で考えていたら、多分、怨みつらみや呪いごと、そういう人間の負の心情の深く直接的な描写が少ないからだと思い当たりました。そういうものを書くと、同調したり異常な狂気に当てられて陰鬱な気分になってしまうものなので、ホラーやミステリなんかだと心情吐露はアリアリなのですが、これにはそれがない。
読み当たりの滑らかさは、人の心の暗い部分を書きすぎないから、なのかしら。これはこれで新鮮。

心霊現象の絡まるミステリもの。
一応事件はそれなりに解決するんですが、登場人物サイドがあまり像が結べないなと思ったらシリーズものでした。←
「骸の爪」も探して読もうと思います。