月の出に囁く嘘が
一番綺麗と云ったのは
蒼白い頬で俯く君の
顔が見たかったから

棘のない手のひらでは
触れるのはとても簡単だ
角のない額と額 合わせ
ぬかるんだ言葉たち

愛し逢いたいだけなのに
小さな瓶は満たされない

優しく手を繋ぐたびに
心は渇いてゆく
些細な日々を重ねるだけの
幸せを享受できなくて
この指先に針をもって
君の心臓を 射抜けたらいいのに
そんな思いを隠しながら
僕はこの恋に溺れている

神様がもしいるのなら
月の出を待たずここへ来て
金色の繭でそっと包んで
僕を質してほしい

愛し遭いたい切望で
焼けつく胸に 早く雨を