Fate/Gardener  ACT:8(6)

――――22時を周り、眠りについた満月に
布団をかけたセイバーは霊体化して彼女の部屋を出た。
庭園にでも足を運ぼうかとした時、
ダイニングキッチンからトレイを持ったジャンヌが出てきた。
「あら、セイバー。ちょうど良かったわ。
これから貴女を呼ぼうかと思っていたの。」
「私を、ですか?」
「ええ。……ランサーも呼ぼうと思っているのだけれど、
何処にいるのかしら?」
「彼なら外の見張りをしていますが―――お呼びしましょうか?」
「じゃあ、お願いね。
庭園のテラスで待っていますから。」
テラスに向かうジャンヌの後ろ姿を見たセイバーは
彼女が自分達を呼ぼうとしたことについて首を傾げた。
……が、ジャンヌを待たせてはいけないと思い、
セイバーは見張りをしているランサーを呼びに行くことにした。
2人が庭園に向かうと、その一角にあるテラスで
ジャンヌは温めたティーカップに紅茶を淹れていた。
彼女は2人に気づくとやんわりと微笑んで、軽く手を振った。
「ごめんなさいね。こんな時間に呼び出して。」
「マダムが気にする必要はありません。
我々はマスターから魔力を充分に供給されているので
睡眠を取ることがないのです。
……戦闘などで著しく魔力などを消耗した時を除いて、ですが。」
「まあ、そうなの。……立ち話もなんだし、
2人とも座ってくれるかしら?
子供達の手前ではあまりできなかったお話を
しようかと思って声をかけたの。」
ジャンヌの言葉に2人は一礼をすると大理石のベンチに腰をおろした。
「……それで、お話というのは?」
「………満月が言っていた、英霊の座についてのこと。
あの子は直接、座に干渉して力を使いたい英霊の
情報を切り取って引っ張り出す、と
言っていたのだけれど―――。
聖遺物を触媒にして召喚された貴女達も
英霊の情報を切り取られて引っ張り出された、と認識していいのかしら?」
「そういう認識で間違いないかと。
私達は座にいる英霊本体の情報を切り取られたコピーのようなもの。
……それでもマスターは私達が
私達であることには変わりない、と言っていましたが。」
「ええ、あの子はそういう性格だもの。
―――私が聞きたいのは、切り取られたその情報は
人格を有しているのではないかということ。
コピーと言っても、貴女達にも人格がある以上、
あの子が座から情報を切り取った時点で
人格があってもおかしくない。……実際のところはどうなの?」
「……主から聞いた限りでは、
情報を切り取った時点で確かに人格は発生します。
それが欠点でもあると。切り取った情報の6割ほどの力は
人格を内側に抑えるために使用しているので、
実質使えるのは残った4割ほどです。
我の強い英霊の場合だと、
呑みこまれてしまう危険があると言っていました。」
「……そうよね。ノーリスクなんてものがあるわけないものね。」
ランサーの返答にジャンヌはティーカップを両手で
抱え込むように握りしめた。
……微かにその手は震えている。
言わなければよかったか、と彼が後悔した時、ジャンヌは口を開いた。
「……アルトリアの方はどうなのかしら。
宝具の出力を全開にすると人格に呑みこまれるの?」
「彼の騎士王については、
人格に呑みこまれる心配はありません。
肉体及び人格の主導権はマスターが握られている。
騎士王が表に出てくるのは、
彼女が自身の意思で表に出ようとするか、
マスターが意識を失った時のどちらかですから。
……お互い、意志を尊重しあっているというのもありますが。」
「そうなの?」
「はい。………かなり変則的な契約をかわしてはいますが、
私達と同様にパスが繋がっているので。
事実上、3騎ものサーヴァントを抱えているということになります。」
「彼女も、召喚しようと思えば可能というわけなの?」
「ええ。触媒となる聖剣の鞘を保有していますから。
……とはいえ、今回の聖杯戦争で騎士王を召喚してしまえば、
いろいろと面倒ごとが起きるので彼女を召喚しませんでしたが。」
「まあ、無理もない話だったもの。
仕方がないといえば仕方がないわよね。
……鞘もさることながら、聖剣もかなりの威力があるって聞いたわ。」
「確かに聖剣は最強クラスの威力と攻撃範囲を持っていますが、
あの聖剣は複雑な構造になっています。
それに幾つもの誓約がかけられているので、
それに反してしまえば魔力放出が削がれてしまう。
すべての誓約を解いた一撃など、
生涯で1度あるかないかとマスターは話していました。」
「聖剣に誓約がかけられているというのなら、
全て遠き理想郷(アヴァロン)にも誓約はかけられているの?」
「いえ、誓約がかけられているのは聖剣の方です。
鞘については本来の持ち主から魔力供給をされなければ、
その効果を発揮することはできませんから。」
「それなら、使用することはできないんじゃなくて?」
「マスターの肉体には本来の持ち主である騎士王の情報が
刻まれているので、使用するには問題がないそうです。
……その、鞘が魂と融合したことで自然と
彼女の情報が表面上に出た、と言った方がいいのでしょうか。」
セイバーの返答にジャンヌはティーカップをソーサーに置いた。
「………そう。あの子は全て遠き理想郷(アヴァロン)の効果がないと、
過剰な魔力が体に負担をかけてしまうのね。」
「……はい。」
「でも貴女達がこの世界に限界し続けているだけでも、
かなりの魔力が持っていかれているの?」
「そういうことになります。
ですが、私達が存在することでマスターの過剰な魔力は
私達の限界をするための供給に持っていかれるので、
体にかかる負担はある程度軽減されます。」
「確かにそれはそうかもしれないけれど。
………倒れてしまったら、元も子もないわ。
満月は本当に昔から、自分の弱いところを
誰にも見せないようにと意地を張っていたもの。
余計な心配をかけさせたくない、というのはわからないわけでもないけれど。
1度も心配しない日はなかったもの。
――――セイバー、ランサー。どうかあの子を守ってあげて。
自分のことを気遣わないあの子を支えてほしいの。
私達は日常生活でしかあの子を支えてあげることができない。
こと戦闘になれば、私や夫は足手まといでしかないわ。
……あの子が倒れても、その体を支えられるように。」
「もちろんです。我が剣はマスターを守るためにある。
最後の1組になるまで戦い抜き、
聖杯を修復または破壊をするのが主の悲願。
我らの剣や槍が幾ばくかの力になるのなら、
全霊を持ってマスターの力になりましょう。」
セイバーの言葉にランサーも首肯する。
その誓いを聞いたジャンヌは穏やかに微笑んだ。
「誰が何と言おうと、あの子は私が産んだ愛娘で
あることには変わりないわ。
今までも、これからも。拒絶をしたり、
過保護になりすぎたりしたらあの子は
この家を飛び出して1人で生きていこうとしてしまうから、
そんな思いはさせたくないもの。
親としてあの子にできることをしていかなくちゃ。」
ジャンヌの言葉にセイバーとランサーは静かに頷いた。
「此度の聖杯戦争も大詰めの局面となってきています。
既に3騎のサーヴァントが脱落し、
残るは我ら2騎と、二陣営のサーヴァントのみ。
最終的には我々は聖杯の泥をどうにかしなければならないでしょう。」
「下手をすれば、大規模な災害を発生しかない要因ですものね。
一部の人間のために関係のない市民の命や財産が危ぶまれるのは、
あの子としても放っておけないものね。
……魔術は隠匿するもの、だったわね。
ならばそれを抜きにして、
他の人達を安全圏に避難させる方法を考えないと。」
「……ええ。極力他者への被害は回避したいと、
マスターは仰っていましたから。」
「あの子らしいわね。それについては藍堂さんと話をして、
手を打ちましょう。……2人に聞いてもいいかしら?」
「何でしょうか?」
「2人は本当に聖杯にかける望みはないの?」
「我らが願うのは生前叶わなかった忠義を果たすことのみ。
故に召喚された時点で半分は叶っているようなものです。
……ランサーは元々別の人物に召喚されていたのですが
キャスター陣営に殺害されてしまったので、
マスターと再契約を果たすことで消滅を回避して、
改めて忠節を誓いました。
………その、マスターは以前の契約者であった
オックスフォード夫妻との相性を気にかけておりました故。」
「あらあら、そうだったの。
………大変な思いをしたのね、ランサーは。」
静かに微笑むジャンヌにランサーは少しだけ言葉に詰まったが、
首を横に振った。
「確かに前のマスターはキャスター陣営によって
殺害されてしまいましたが、
私が忠義を果たすところをみたいという主が願ったことで
再契約をもちかけ、それに応じただけです。」
「2人がいてくれれば、とても心強いわ。
……これからも、あの子のことをお願いね。」
「はい。無論です。」
セイバーの返答にジャンヌは満足げに頷くと、ベンチから立ち上がった。
「さて、随分と長い時間を取らせてしまったわね。」
「いえ、お気になさらずに。」
「………どのような結末を迎えるにしても、
あの子が自分の役割をきちんと果たせることができるように。
たとえ、世界を敵に回してもあの子を守れる剣でいてあげて。」
「お約束いたします。騎士の名にかけて。」
「それが騎士としての務め。如何なる者も障害として阻むのであれば、
薙ぎ払うことを誓いましょう。」
2人の誓いにジャンヌは微笑んだ。
その笑みにセイバーはかつて仕えていた主君の面影を重ねた。







                                                                                                      続く。
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Fate/Grand Order プレイ



水着イベント、昨年の復刻と第二部。

……まあ、これも。うん。個人的にはテンポとかそーいうの悪かったかなぁ…と。
話が無駄に長かったとか、云々とか。まあそれは私個人の意見なので。


知らん間に妹の翡翠がメイドオルタさんを引きあてていたり、
不夜城のキャスターもお迎えしていて、しかも宝具Lv2と。

い、いつの間にみたいな。


ちなみに私は目当てのキャラお迎えできませんでした!


でもって、何とかのイベント出展記念イベントで土方さんと沖田さんのピックアップが
開催されることになって。

とりあえず不具合とかの詫び石でガチャを回したら。


土方さんが来てくれた!

この間のぐだぐだ明治維新の時はお迎えできなかったので。

やったよ、兼さん!


でも寝惚け頭だったので、演出見忘れた……oz


その後、テンションあがったので刀ミュの曲を聴いていた(笑


育成用の素材がたんまりとあったけど、あっという間にスカンとなってしまいましたまる(笑笑


デビューに向けて、いざ出陣!<3> (終)


『舞台監督の不知火さんに、お話を伺ったよ!』

マスコットキャラの言葉に、瑠樹達はテレビ画面に視線を向けた。

『刀剣男士役に女の子を投入した理由は。』

『理由はそんな難しいものじゃないですよ。
刀剣男士を女の子がやっちゃいけないとか、
自分と性別が異なる役をやったら駄目、っていう決まりが
別にあるわけじゃないので、
この間公演した百花繚乱でゲスト出演した縁もあって、
今度は阿津賀志山異聞で刀剣男士をやってもらおうかな、と
思って投入しました。

ああみえても彼女、殺陣がすごく上手で大人の我々も
舌を巻くほどです。
それを舞台で活かさないでどうするんだ、っていうのもありますが。

彼女はまだ子供で年齢的にも若いです。
でも、そんな発展途上の彼女だからこそ、
舞台で何を得て、それを糧として今後の人生にどう活かすのか。
先達としてはそんな若者の成長を見るのが楽しみなんですよ。』

 

不知火の話にマスコットキャラはありがとうございました、と伝えた。

『今回、出演する六振りの刀剣男士達はチーム名が
team三条 with加州清光とのこと!
公演が待ち遠しいね!』

マスコットキャラの締めくくりで舞台裏特集は終わった。

瑠樹がテレビを消すと生徒達はザワザワと話をした。

「何ていうか、奥が深かったよね……。」
「うん、深かった……。」

 

「今度の公演は連休にやるっていうから、観に行くかなぁ……。」
「また全員で行って驚かせるか……。」

「……また姫宮さんが吃驚しますよ。」
「いいじゃん、センセー!」
「人生には驚きが必要だよ!」
「確かに驚きは必要でしょうが何事も適度が1番です。」

 


「ま、確かに子供はまだ若いし、発展途上っていうところもあるなぁ。」

「?」


岩融役を演じることになった柊和彦の言葉に満月は首を傾げた。

「姫宮が世界に及ぼす影響はかなり大きい。
それ故に、外部から親の七光りで劇団に入ったとか言ってくる奴も
少なからずあるだろう。」

「親の七光りと言われても……。
権力と実力は別モノです。
お父さんの築いた功績はお父さんだけのもの。
何もしていないのにその恩恵を受けるのは、
私自身のためにならない。
それにも関わらず、そういうことを言ってくる人達がいるのなら、
実力をつけて、そのつけた成果で黙らせます。」

「それだけしっかりしていれば、上等だ。
姫宮の人間だからといって特別扱いはしないし、
間違ったことをすれば、先達が叱る。」
「それが普通ってもんですよね。
私にとって学校とこの劇団は、私自身が普通で居られる場所ですから。
間違った時は普通に叱って欲しいです。
権力に怯えて、叱ることができなくなったら
大人としてどうよって。」

「それはオレもどうよって思うな。
よからぬことをしているのなら話が別だが、
別にそういうやましいことをしているわけじゃないんだったら、
堂々としていろって話だな。」
「ですね。」


「和さんちょっと、オレの妹に何話しているんですかー!?」

「落ち着け、お小夜!」

「おーちーつーきーなーさーいー!
満月ちゃんのことになると何で暴走するのよ!?」
「とんだシスコンだな!」


「……いや、続柄は従兄弟でしょ?」

「それよりも、稽古………。」


稽古場で騒ぐ満月達を見た不知火と祐一はボソッと呟いた。













――――そして。公演初日。

舞台を公演する劇場で、囲み会見が行われた。

 


記者から意気込みを聞かせてください、という質問に。

 

「前回の公演では至らなかったところがありますので、
今回は前回時以上の三日月宗近を舞台で表現できればと
思っています。」

「前回の公演とはまた違ったドキドキがあるので、緊張しています。
でも精一杯、今剣を演じたいと思っています。」

「オレが刀剣乱舞のミュージカルに参加するのは
今回が初めてですが、
前回の公演よりも深く重い作品にできたらな、と。」

芳樹と満月、小夜はそう返答した。

 


「team三条 with加州清光をよろしく!
せーの……!」

「「「決めポーズ!」」」

 

意気込みを語った後、ポーズを取った6人を
複数のカメラが撮影した。




                                                  終わり。

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Fate/Gardener  ACT:8(5.5)

大浴場とも言っていいくらいの広さを持つ浴室で満月は
ジャンヌに髪を洗ってもらっていた。
顔を俯かせたままの娘にジャンヌは苦笑する。
「そんなにも落ち込むことだったの?予想外の帰国に。」
「……予定では再来月か何処かそこらかなぁ、とは
思っていたんだけど。
それまでに片付けるものも片付けた上で、話をしようかと。」
「昔から、満月は周囲に頼ろうとしないで自分で
何でもやろうとする癖があるもの。
甘えてもいいのに、そういう素振りをまったく見せないし。
自分のせいで周りが傷つくのが怖いから、
話をするのは全てが終わってからって決めていたぐらいだし。」
「……それについては悪いことをしたな、って思っている。」
「小さい頃から、貴女は優しかったものね。今回の聖杯戦争だって、そう。」
「………正義の味方気取りでやっているわけじゃないんだけどね。」
「それでもいいのよ。正義や悪だなんて、
個人の解釈次第で立ち位置が変わるもの。」
「………………。」
「こういうところはダンマリを通すんじゃなくて、
何か言うべきよ。
満月が何も言わないと、ママは困っちゃうわ。」
にこやかに笑うジャンヌに満月は思わず肩を落としそうになった。
「……でも、本当にね。
何も言わないっていうのは、
私達からしてみればとても辛いの。
内緒で大きなことに立ち向かって、
それで命を落としてしまったらどうして
こんなことをしていたのかって、嘆いてしまうわ。」
シャワーで泡を洗い流した後、
ジャンヌは満月と一緒に湯船に浸かった。
「……ねえ、満月。貴女は誰かに言われて戦っているの?
それとも自分の意思で戦っているのかしら?」
湯船に肩まで浸かった満月はガラス張りの天井を見上げた。
そこには満天の星が夜空に広がっている。
「……私は自分の意思で戦っている。
いろいろとキャスターから託されたものもあるし。
自然消滅を待って静かな眠りについていたところに
望まない戦いに呼び出されて、
自分の能力に制約をかけられて。
聖杯の本質に気づいて破壊しようとしたのに、
志半ばで消滅せざるを得なくなって。
……その無念さはとてつもなく大きい。
最後の1組になるまで戦えば、
あらゆる願いを叶える万能の願望機を
手に入れることができるなんて謳ってはいるけど、
実際には世界の外側にある根源へ至るための
孔を穿つ茶番劇でその目的を果たすために犠
牲者を出させるなんて、それは間違っていると私は思った。
これが世界のあらゆるところで
起きるようなことになってしまえば、
当たり前な日常を送っている今の生活が
がらりと変わってしまう。
そうなれば、何も知らない人達は
聖杯戦争に参加しているマスターやサーヴァントを
糾弾することになる。
始まりの御三家については当事者なんだし、
糾弾されても仕方がない。
……でも、外来の人達は聖杯戦争が
茶番劇だということを知っているかはどうかはわからない。
もし知らなければ、聖杯に翻弄されたことになるだろうし。
知っていれば、同じように糾弾される。
そしてそれが争いに発展してしまい、
最終的に悪循環へと陥ってしまう。
当たり前のように生きて、当たり前のように死ぬ。
そんなことができなくなる世界に
なってしまうのは1番嫌だ。」
満月の話を最後まで聞いていたジャンヌは
静かに頷くと、彼女を抱きしめた。
「……そうね。それはとても辛いことだわ。魔術を用いたものであれ、
近代兵器を用いたものであれ、
戦争が大規模なものになってしまえばこうして
お風呂に入ることも皆で食事をすることも、
学校に行くこともできなくなるものね。
聖杯戦争は確かに止めなければならないものだけど、
そのために満月が自分の命を賭けて戦いに赴くのはもっと嫌。
できることなら、私が変わってあげたいぐらい。
シュウイチも同じことを言うわ。」
「父さんも母さんも、魔術は使えないから
きっとすぐに叩きのめされちゃうよ。」
「でもね、満月。今の貴女には私達もそうだけれど、
セイバーやランサー、藍堂さんや草摩先生、
深雪ちゃんやロゼちゃんがいてくれるじゃない。
………それにアーサー王――アルトリアも。
何もかも自分1人で抱え込もうとする必要はないわよ。
今の貴女は1人じゃないんだから。
だから、もう少し――周りを頼りなさい。
何も貴女に全部責任を押し付けるわけじゃないもの。」
自分の鼻をつついたジャンヌに満月はすまなさそうな顔をした。
「……何ていうか、ホントにごめん。聖杯戦争が終わって、
全面的に落ち着いたら何もかも話すつもりだったから。
もしかしたら、戦いに巻き込まれて命を落とすかも
しれないっていうリスクが―――。」
「大丈夫よ。満月やセイバー、
ランサーが全力で守ってくれるのでしょう?
貴女や、貴女に忠節を誓っている騎士を信頼していたもの。
シャルルマーニュがローランを厚く信頼していたように、
私も貴女達を信頼しているわ。
貴女が自分の意思で決めたのなら、
最後まで責任を持って戦いなさい。
決して死ぬことのないように。
どんな結末を迎えようとも、
私達は自分の娘を信じていますから。」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
ジャンヌの言葉に満月は顔を赤面させると
湯船から勢いよくあがった。
「の、のぼせそうになるからもうあがる!!」
パタパタと軽やかに脱衣所に向かう満月にジャンヌはクスクス、と
笑って自身も湯船からあがる。
寝間着に着替えた満月が脱衣所から出ると、
ドライヤーと櫛を持ったセイバーが待っていた。
「マスター、顔が赤くなっているようですが……のぼせてしまったのですか?」
「そんなんじゃないっ、のぼせてなんかいないからっ。
ドライヤーと櫛、貸してっ。」
「あ、マスター!せめて髪の水気は充分に取ってからにしてください。」
顔を赤くしたまま自室に向かおうとする満月をセイバーは追いかける。
その様子がおかしくて、
ジャンヌは穏やかに笑ってそれを見送った。
「私がいない間に我が家は随分と賑やかになったものねぇ。」
うふふ、と手を頬にあてたジャンヌは踵を返すと、
台所に向かった。








                                                                                                      続く。
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コメントのお返事


追記より美琴へお返事。
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