ちょっとした裏設定その13。


ポケアミ特別編で登場したアルくんやユキちゃんなどなどについての設定をしばし。




アステル

マリー博士とレイの1人息子。愛称は「アル」。
事情が事情だけに人工子宮で生まれたけど、それを知らない周囲には
要らぬ弊害を避けるため、母親は自分を産んだ後亡くなったと説明をしている。

無表情っぽいけれど感情がまったくないわけではなく。

早い話がクーデレみたいなもの。後、涙もろい。

そこそれクーデレ?って言えるのっていう突っ込みはナシで。

性格はマリー博士似で毒をめっさ吐く。

(これは多分ヴェルソーの教育のせいだな……。)

特別編でひらがな表記にしたのはまだ園児ということもあって、
漢字とかを使うのはちょっとなー、と。

(いろんな意味で)将来が楽しみ。



オフィユキュス

モデルは「へびつかい座」。愛称はユキちゃん。
タイプは「ゴースト・ドラゴン」と。ギラティナと一緒。

ユキちゃん自体の体長は0.8cmほどだけど、ユキちゃんを囲むような蛇は
ジャローダと体長がそんなに変わらない3.3m。
(ちなみにこの蛇はリング状にするとフーパと同じように空間移動ができる)

なので、ぱっと見た感じは「捕食者に襲われている」(!?)

マリー博士の魂が分裂したポケモンの1体。
だけど、彼女の無意識から生まれたようなものなのでマリー博士は
13匹目がいたことを自覚していなかった。

古い時代においては13星座の一員だったけど、13と言う数字が
アストルとオセアンの両地方では不吉なものとして扱われたので忘れられた存在となった。

マリー博士の記憶を引き継いでいるヴェルソー達と違い、
ユキちゃんが引き継いだのは感情。

マリー博士の[こうしたい]という一面が具現化したので特にその影響が強い。

『普通の生活を送りたかった』とか『子供に名前をつけたかった』とかetc……。

周囲から存在を忘れられた、というよりも気づかれなかった、ということについては。
まったく恨んでない。

死者を蘇生させる力を持っているけれど、それはとてもハイリスクで
たった1人の命を蘇生させるために何百人もの命を代償とするえげつないもの。

来るタイミングが違っていたら、
世界が滅ぶ原因の一端はユキちゃんが背負っていたかもしれない。

この能力からすると、かえって忘れられた方が良かったかもしれないとのこと。(本人談)


ケルノス・ミスティア



常世を統べるポケモンと死後の世界にやってきた命を裁くポケモン。

タイプや専用技などはまだ考えていない。
ただ、ユキちゃんの死者蘇生能力を封じるだけの力はある。

ケルノスは自然の摂理に割かし厳しいけど、ミスティアには頭があがりません。

でも夫婦じゃないんだぜ?

ミスティアはユキちゃんの申し出に感涙し、ケルノスに打診するなど
思いやりがあるけれど、ケルノスが唯一逆らうことのできないポケモンでもあるので
もうミスティアが常世を統べてもいいんじゃないかな、と(笑


コメントのお返事。

追記よりけいさんへコメントのお返事ですっ。
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Fate/Gardener  ACT:6(13)

「……というわけで今日1日だけ、
編入前の下見ということで体験入学をすることになった
ローゼスフィール・フォン・アインツベルンさんです。
仲良くしてあげてください。」
4年A組の教室で瑠樹は教え子達にローゼスフィールを紹介した。
彼女は少し照れた様子で瑠樹の横に立っていた。
「ローゼスフィール・フォン・アインツベルンです。
名前が長いので、ロゼと呼んでください。」
自己紹介をした後、ペコリと頭を下げたローゼスフィールに生徒達はパチパチと拍手をした。
「席は姫宮さんの隣でいいでしょう。
休み時間にでも校舎を案内してあげてください。」
「はーい。」
軽く手を振って答えた満月に瑠樹は彼女の後ろにいる和火に視線を向けた。
それで大体を察したのか、和火は無言で首肯した。
HRが終わった後、同級生は一斉にローゼスフィールの元に集まった。
「ねぇねぇ、ロゼちゃんって何処から来たの?」
「ドイツよ。姉と2人で日本にやってきたのだけれど、
運悪く事故に巻き込まれて亡くなってしまって。
だから早くに死別した両親の人づてを頼って、
満月の家に身を寄せることにしたの。」
その話を聞いた女子児童がローゼスフィールに質問をした同級生を肘でつついた。
事情を知らない彼女達にローゼスフィールは心の中で謝罪した。
和火と深雪は後から聞いたのだが、
ローゼスフィールは姉と2人でドイツからやってきたものの、
入国した後に姉が運悪く事故に巻き込まれて亡くなってしまった。
1人残された彼女は死別した両親の人づてを頼って
満月の家に身を寄せた、という設定で
校長に説明をして編入前の下見として1日入学体験をさせて欲しい、と話をした。
厳格者だが、そういったことに涙もろい校長は二つ返事で了承してくれた。
魔術抜きとはいえ、半分ほどは真っ赤な嘘である。
校長室を出た後にローゼスフィールは
人を騙したことに肩を落としていたが、魔術は隠匿しなければならないことと
別に全部を嘘で丸めたわけではないのと極めつけにそれ以外で
校長を納得させるだけの説明をすることができるのか、と満月に諭されたので
それ以上は言わないことにした。
「ロゼちゃんってドイツ語は喋れるの?」
「ええっと、それについては―――……。」
返答に困ったローゼスフィールは満月に助けを求めた。
「ロゼの両親は親日家で日常生活は
全て日本語で会話していたそうだから、あまり自信はないって。」
「ええ、そうなの。」
一時限の授業が始まるまでの短時間でロゼは4年A組にすっかりと溶け込んでいた。
休み時間になり、満月と和火は次の授業を行う特別教室へ向かうべく、
ロゼと一緒に廊下を歩いていた。
「授業の方はどう?理解できた?」
「シスター達の説明がとてもわかりやすくて、
十分に理解することができたわ。
知識は刷り込まれているけど、最初からそうされているのと
自分で得るのとでは違う感じがしてとても新鮮。」
「それは結構で何より。」
「歩行も落ち着いているし、健康面は問題ないみたいだねぇ。」
「満月の能力のおかげよ。
意外だったのは庭師の如雨露(カラドリオス)にある水を
固体にして錠剤にしたことかしら。」
「液体を固形物にする術式で固めただけだよ。
そのまま飲んでもいいんだけど、
どちらかというと錠剤の方が都合はいいかなと思っただけだから。」
その時、廊下の向こう側から体育の授業を終えたB組の女子生徒達が歩いてきた。
「あ、姫宮さんじゃん。ごきげんよう。」
「ごきげんよう、剣崎さん。これから着替え?」
「そ。この後、音楽の授業があるから。移動してばかりだと疲れるよ。……そっちの子は?」
「ローゼスフィール・フォン・アインツベルン。
編入前の下見で今日1日だけ体験入学をしているんだ。」
「へぇ、ミカエルに編入するんだ?珍しいね、
今の時期に編入って。でもこの学校はいいところだよ。
充実した学校生活を送れるし。校則はそこそこ厳しいけど、
シスターに比べたらまだ優しい方だから。」
「結局のところはルールよりも人間の方が恐ろしいってことだね。」
「香夏子―、早く行こう。」
「あ、ごめんごめん。今行くよ。
悪いね、引き止めて。姫宮さん達も移動なんでしょ?」
「全然。大丈夫よ。
……それより遠坂さんの姿が見えないんだけど、後片付けでも?」
「百m走の記録が遅かった人達は後片付けをするように、って
体育担当のシスターに言い渡されたからね。」
「……あー、あのシスターは確かに鬼教師だもんねぇ。」
「それはご愁傷様。」
「まったくだよ。だって50m走でさえ13秒ほどかかっていたから。」
「…そりゃ…確かに後片付けをよろしくねと言われてもおかしくないタイムだね。」
「そうだ、シスターが姫宮さんに陸上競技大会に
ぜひ出場して欲しいとか言っていたよ?」
「……え、嘘。聞いていないけど。」
「後でとっ捕まえられるんじゃない?
姫宮さんのタイム、平均よりも速いって言っていたから、
是非にって。陸上競技部に所属している私としては、
助っ人として参加してくれると
すごく嬉しいな。」
「け、検討はしておくよ。」
「じゃあ、またね。」
そういって香夏子は軽く手を振ると、同級生と共にB組へ戻っていった。
「満月ちゃん、足速いもんねぇ。
100m走、10秒を切っているって話だったもん。」
「それだけ速いと、確かに出場して欲しいと懇願するのも無理はないわね。
魔術はまったく使っていないのでしょう?」
「それはそうなんだけど……出場選手が根負けしちゃうから
公式大会とかには出たくないんだよ。
陸上競技に情熱と努力を注いでいる人達に失礼に当たるっていうか。
足が速いのは単に機動力が高いってだけで。
そういうのを平和的な陸上競技に活用するのはどうかな、と
思ってしまうんだよね。」
「剣崎さんは参加してくれることを純粋に喜んでいたけど?」
「陸上競技部にいる部員達が剣崎さんみたいな性格をしているとは限らないからね。
人間の妬みとかって恨みに次いでタチが悪いから。」
「人間のマイナス面な感情って幽霊よりもタチが悪いもんね。」
「まだ幽霊とかだったら、
状況によりけりで強制的に成仏させることで追っ払うことはできるけど
生きている人間はそうもできないからね。」
「マイナス面の感情が行き交う環境の中にいたら、私は耐えられない。
押し潰されそうな感覚に襲われてしまうかも………。」
「人間っていうのはそういう生き物なんだよ。
特に金銭と人間関係は世の中で後味の悪いものばかりしか残さないし。」
「ホントに面倒だよねぇ、そういうのは。」
「そういうのも含めて、ロゼは学校で色々と学んでいけばいいよ。
ここには様々な考えを持った人達が教育を受けているから。」
満月の言葉にローゼスフィールはそうね、と呟いた。
「刷り込まれた知識だけでは得ることのできないことを
この学校で経験することができるんだもの。
嫌な事とかもあるかもしれないけど。
……せっかく生かされた命だもの。精一杯生きなければね。」
ローゼスフィールの言葉に満月と和火は互いに笑い合った。
そこで満月はハッとする。
「と、急がないと授業に遅れる!4人揃って廊下に立たされるのはまずいっ。」
「あのシスターは時代遅れの罰を平気で出すからねぇ〜。」
「ええっと、それはつまり水の入ったバケツを持って立たされるということ?」
「……大体そんな感じだと思えばいいよ。」
予鈴が鳴り出す前に4人は次の授業が行われる特別教室に急いで向かった。
その様子を体育館からB組へ戻ろうと階段を歩いていた小百合は目撃した。







                                                                                              続く。
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ポケットモンスターアミティエ 〜Special Act〜 (18)   (終)

 


―――――そして。それから数日後。


エルナトさんが現像してくれた写真をアルはロケットに入れて首にかけるようになった。

「……やっぱりユキちゃんがいないと、ちょっと寂しいわね。」
「ほんの少しの間しかいなかったからな。
……賑やかと言えば賑やかだったが。」

プールサイドでみずポケモン達の健康チェックをしていた私は
手伝いをしてくれているヤマトと1週間ほど前の出来事を思い出していた。

「………。」
「アル、どうしたの?」
「……ユキちゃん、げんきでやっているでしょうか?」
「あのハイテンションポケモンなら、元気でやっているだろ。」

ボケッとした様子でプールサイドに座るアルとレイさんに私とヤマトは
ほぼ同時にため息をついた。

「ユキちゃんのおかげで花嫁衣装と花婿衣装の写真を撮影することができたしな。
今思うと、とんでもない奇跡だったな。」
「……そうね。奇跡っていうよりはマリー博士が報われただけ、って感じですけど。」
「……まあな。多分、マリー博士もそう思っているだろうな。」
「……ええ、きっと。」

―――私達がマリー博士のことを思っていたその時。
ライチュウがピクリ、と耳を動かした。


「すいませーん、そこに墜ちまーす!」


「……は?」
「……い?」
「……へ?」
「………?」

「きゃーーー!!」

……何やら聞き覚えのある声がしたかと思うと。

何かが空から堕ちてきて。ドボーン、と水飛沫がして。

私達は見覚えのある光景にえ、と思ってしまった。


「……ユキちゃん?」

ライライ!?とライチュウが驚くなか、
びしょ濡れになった状態でユキちゃんがプールから出てきた。

「いやー、びっくりしましたー。まったくもう、酷いですねぇ、ケルノスは。」

「……ユキちゃん、どうしたの?」

突然の出来事に目をパチクリさせながらも、私はユキちゃんに声をかけた。

「……あー、いえ。そのですねぇ。お恥ずかしいことにバレちゃいまして……。
常世に戻ってくるな、と現世に突き飛ばされてしまいましてー……。」

てへぺろ、って言ってはいるけれど。ユキちゃん。
……ケルノスにバレた、ってことは……。


「……え、何?解雇されたの?」
「ですねぇ。されちゃいました。」

「………。」
「………。」
「………。」

ユキちゃんの話に私達は何て言えばいいのか、呆然としてしまった。

「……うちにきます?」


アルの提案にユキちゃんはぱぁ、と嬉しそうな表情になる。

「いいんですか?いいんですか!?」

「……まあ、いいんじゃねぇの?
ユキちゃんのおかげでマリーちゃんに再会できたんだし。」

レイさんの言葉が決定的になったのか、ユキちゃんは体をブンブンと振った。

……な、何かちょっと怖いかも。


「では、これからお世話になりますねー!
あ、もちろん研究所のお手伝いしますよー?」

 

「また賑やかになるわねー。」
「……ホントだな……。」

 


――――これから先、アルは苦難の道を歩むことになるかもしれない。

だけど。きっと何の心配もいらないだろうな、と。私は思う。

苦難の道を歩まない命なんてこの世界の何処にも在りやしないもの。

その先に何が待っているかなんて、それは本人しかわからないこと。

長い年月をかけて苦難の道を歩んだマリー博士は
望んでいた死を迎えて、新たな命として生まれるための1歩を踏み出した。


それにマリー博士は1人で道を歩いていたわけじゃない。
ユキメノコ達やレイさんが隣にいたから。

あ、もちろん私達もだけど。

私達がいつ何処で死を迎えるかはわからないけれど。
その時が来るまでは苦難の道を歩いていこうと思う。


だってそれが。人生というものなのだから。

 




 

おまけ。

 


「……でも、現世に突き飛ばされただけなんて。割と結構手抜きなのね。」
「ユキちゃんに対しての処罰、軽すぎないか?」
「……まあ、うっかりしているところがあるんですよねー、ケルノスって。
(ホントを言うとケルノスはミスティアに尻を敷かれているので、
身代わりご苦労様ということで晴れて自由の身になれたー、なんて
言えれませんよねー。)」
「……よくそんなんで長いこと常世を統べてきたな……。」
「………かみとよばれていてもうっかりはするのか……。」

 







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Fate/Gardener  ACT:6(12)

「そういえば、ハイドの事後処理はどうなったんですか?」
「遺体がないからな、被疑者死亡のまま書類送検になるのが通常だけど。
ハイドの家族はもういないし、立件は見送られるな。
尤も、聖堂教会とかの工作が入るから変に思われることはないだろ。」
「ハイドには家族がいるのではなかったのですか?」
「出身国に問い合わせたら、ハイドによって殺害されていたという返答が来た。
2人とも、別の国に逃亡する前に黒魔術を執り行う儀式の生贄にされたとかで。」
「事件は解決できても、裁判沙汰にはできないってことか。
まあ、ハイドはあの生物に食われているから、
遺体確認はできないけど。そこら辺は聖堂教会の工作に任せるしかないし。」
「一応、工場跡地の中に入ったらハイドが
事件で使用していたと思われるサバイバルナイフが1本、見つかった。」
「……連続狩猟殺人犯がこの世界にいたということを証明する唯一のもの、か。
で、ハイドの両親ってきちんと埋葬されているの?」
「そう聞くかと思って、ついでに問い合わせてみたら霊園に墓があるそうだ。
誰が墓の手続きとかをやったのかは知らないけどな。」
「……そっか。」
満月の呟きを耳にして、時雨は外した針を片付けた。
「昨日よりもだいぶ顔色が良くなっているな。
……ふと思ったんだけど、今まで培養槽にいた子がいきなり歩けって言われたら
、歩くことはできるのか?」
「やってみないとわからない。培養槽から出した後だったら、
ちょっと歩くだけでも疲れるけど、
庭師の如雨露(カラドリオス)に入っている水を
原材料にして作った薬剤を注入しているから、
歩き方さえ教えれば後は自力で何とかやれると思う。………多分。」
「……なんかいまいち安心できないが。
きちんと治療しているのなら、特に問題もないだろ。
俺はこれで警察庁に出勤するけど、この子はどうするんだ?」
「どうするって何が?」
「学校とかだよ。」
「……ああ、そういうこと。それについてはまったく考えていなかった。
うん、それは当人と話をして決めるよ。」
きょとん、と首を傾げるローゼスフィールをよそに時雨は満月と会話をした。
「……あ、そうだ。名前、もう決まったのか?」
「この子が自分で考えた。……ローゼスフィールだって。」
「そりゃ、洒落た名前だな。いい名前じゃないか。
……と、俺も自己紹介をしとかないとな。藍堂時雨だ。
いろいろと辛いことがあったかもしれんが、よく頑張ったな。」
そういって時雨はポン、とローゼスフィールの頭を撫でた。
初めて体験する出来事に彼女は自分の頭に手をおいた。
「と、いけないな。俺はこれでもう行くとするから、
嬢ちゃん達も学校に遅刻するんじゃないぞ?」
「はーい。」
「出勤前に様子を見に来てくれてありがとうございました。」
4人に見送られて時雨は部屋を後にした。
それと入れ違いにランサーが中に入る。
その背中にはクー・シーがじゃれついているのかべったりと張り付いていた。
「……えっと、ランサーさん。どうしたんですか、それは?」
「……急に後ろから張り付いてしまって……。」
「いくら妖精と言っても、見た目はでかい犬だからねぇ。本能じゃないの?」
「……クー・シー?人間には決して懐かない犬がどうしてここに?」
「拾ってきて、この家を守る番犬になってもらったんだ。」
「……こ、荒野にあるとされる妖精の丘の番犬的役割をしているクー・シーを?
妖精の扱い方は難しいのに、
きちんと使い魔として使役している貴女っていったい…。」
「それについてはこっちの事情があるからね。
見た目は人間と変わりないけど中身は違うから。」
「………私と同じホムンクルス?」
「いいえ、マスターはホムンクルスではありません。
……その、中身は普通ではないのですが。」
「……中身は普通ではないが、見た目は一般人と変わらない。
深く考えると頭が痛くなる。」
二騎のサーヴァントの意味深な言葉に深雪は頬に手をあてた。
「セイバーさんとランサーさんは事情を知っているんですか?」
「私の方から打ち明けた。バーサーカーとの戦いが終わったら
話す約束を前にしただろう?
その時になったら話すからもうしばらく待っていて。」
「満月さんがそういうなら、その時になるまで待っていますが……。」
「……と、そろそろ学校に行かないと。」
「……学校?」
「子供が集まって年齢に似合った教育を受ける施設のことだよ。
私と深雪はそこに通っているの。」
「……………。」
満月の説明にローゼスフィールは目をパチクリとさせると、胸に手をあてた。
「………どうか、しましたか?」
「学校というものにすごく興味があるの。」
「………それは興味を持っても不思議じゃないね。」
「培養槽の中にずっといましたから、外の世界のことなんて……。」
「……ええ、そう。外の世界のことは知らないの。
学校に行ってみたいのだけれど、ダメかしら?」
「それなら、1日体験してみる?
校長に脅…じゃなかったお願いをしてみるから。」
「……いいの?」
「(今、脅迫って言いかけなかったでしょうか?)」
「……深雪、心の中で何か言った?」
「あ、いえ。何でもないです。」
「魔術抜きの説明をするから、1日体験してみなよ。
気に入ったら、編入だって可能だし。
そこら辺の手続きはこっちの方でやるから。」
「でしたら、授業が始まる前に校長室に行った方がいいですね。」
「シスター達については校長先生から説明してもらうことにするかな。」
「……学校の生徒達は私を変な目で見たりしないかしら。」
「心配はないよ。外国から来た子供も通学しているし。
……まあ、もっとも?何かやらかすようなら、
精神面を痛い目に合わせるけどね。」
くくく、と笑う満月にローゼスフィールは
彼女を敵に回してはいけないと本能的に察した。

 

通学路の途中で待ち合わせをした和火にひとまずの説明をした後、
満月達は聖ミカエル学院に登校すると前庭を抜けて初等部の玄関に入った。
彼女達に連れられて廊下を歩くローゼスフィールは
すれ違う生徒達が自分に視線を向けていることに気づいた。
「……あの、何だか見られているような気がするのだけれど……。」
「まあ、今は1日体験をするシーズンじゃないからね。
おまけに編入も2、3年に1回あるかないかだし。
ちょっと珍しいな、って思っているだけだから。」
階段を登って校長室がある三階にやってくると満月は和火に鞄を渡した。
「校長に話をつけてくるから、先に教室に行ってくれる?
先生にはもう事情を話してあるから、何も言わないと思うけど。」
「うんにゃ、わかったよ。」
「校長先生の説得、頑張ってくださいね。」
深雪の言葉に頷いた満月は校長室の扉をノックして、
ローゼスフィールと共に中に入っていった。
その場に残された和火と深雪は校長の身を案じてそれぞれ合掌とお祈りをした。
「……そういえば和火さんって合掌をしましたけど、家は仏教なんですか?」
「うん。だけどそこまで敬虔な教徒じゃないし。それは深雪も同じでしょ?」
「ええ、そうですね。ミカエルは古くからあるミッションスクールですけど、
どちらかというとお嬢様やお坊ちゃまを育てる学校ですから、
近年入学する生徒達は基督教自体に興味を持っていない方が多いですし。」
「もちろん、中には純粋なクリスチャンもいるけどねぇ。
……それにしても、満月ちゃん。
どうやって校長先生を説得するのかな?」
「……校長先生を脅迫するって言いかけていましたし。
大丈夫ですよ。」
「脅迫するって言ったの?」
満月を心配した和火であったが深雪の言葉を聞いて、
即座に校長の身を案じた。






                                                                                                  続く。

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