拍手へのお返事ができず、皆様すみません。
長く停止していたのに、見てくださる方々がいてくれて、嬉しいです!

というわけでそろそろ子豚が佳境に入ります!こちらがひと段落したら子竜の続きに移ります〜


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闇の沼から抜け出すと、そこは古めかしい廊下でした。
ティカルはぞわっとしました。なんだかここは今までの場所とは違うように感じたのです。
エンも同じように感じているのでしょうか、廊下の先を見据えて、じっと黙っています。

「!」

廊下の向こうに何かの影が見えて、エンはぱっと柱の影に隠れました。ティカルはエンに抱えられたままだったので、いっしょに隠れます。エンが息を止めているようだったので、つられてティカルも息を止めていました。

誰かが、廊下をスタスタと歩いていきます。後ろ姿しかよくみえませんでしたが、おでこに何か、あの煉鬼という人からも生えていた角があったように見えました。

十分に通り過ぎて、エンが「あいつは…」と小さく呟きました。もしかしてエンは、角の生えた人を知っているのかしらとティカルは思います。

エンはゆっくりと、誰かがいるような誰もいないような廊下を、さっきの角の人の後を追うように進んでいきました。ティカルも鼻を鳴らさないように気をつけながらついていきます。途中で、中からうなり声のする扉を通り過ぎて、ティカルはぶるっとしてしまいました。

しばらく進むと、大きな扉から出てくる角を見つけました。そしてこちらに背を向けて、去っていきます。とても大きな扉です。ティカルは、プラムの部屋の扉も大きかったなぁと思い出して、そうすると、この扉も偉い人のいる部屋なのかしらと思いました。
エンは扉の前まで来ましたが、なかなか開こうとしませんでした。手を握ったり開いたり、ドアノブに手を伸ばしたかと思えばひっこめたり、迷っている様子です。

ティカルが、また角の人が来たりしないかな、とヒヤヒヤ周りを見渡していると、なんと、扉がひとりでに開きました。
「!!」
「ブヒっ」

「これは珍客だね。なぁルエド?」

部屋には男の人が二人いました。細身の男の人はこちらを見て微笑んで、奥で窓の外を見ている人を「ルエド」と呼びます。

「呼んでいないから、客ではない」

ルエドと呼ばれた男の人は面倒そうに振り向きました。ティカルは首をかしげて、どこかで見たような人だなぁと思いました。
エンは部屋に入ったものの、一言も話しません。
「ひどいな。じゃあ僕も客じゃないってことかい?」
細身のほうがクスクス笑って、ルエドという人に「そのとおりだ」と言わんばかりの視線を向けられていました。

「ではお邪魔そうだから、帰るとしよう。くれぐれも未来の自分を、消さないようにね」

ティカルが、えっと思う暇もなく、細身の人はクルンと回って、いなくなってしまいました。

未来の自分とは、どういうことなのでしょう。


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