「うわぁっ」

「ブヒ!」

ドスンと尻餅をついて、エンは「イテテ」と腰を摩り、お腹をつかまれていた手を離されたティカルもコロコロと草の上を転がりました。

「すまん空豚。おぉ、今度は濡れなかったぞ」

隣を見ると大きな川が流れていました。なんとなくうれしくなるエンです。
ティカルもようやく起き上がって、エンに近づきました。

「ここはどこだろうなぁ」

無意識に魔の雰囲気とやらを感じようとしているのでしょうか。エンは遠くを眺めてじっとしています。今はそっとしておいてあげようかしらと、ティカルは近くを散策してみることにしました。

キョロキョロしてみますが、民家は近くにないようです。お互いに見える範囲なら大丈夫だろうと思った矢先でした。
エンの目の前に、風のように、見たことのない服を着た青年が現れたのです。

「何者だ」

「え!俺はただの旅人…っ」

「人なわけがあるか。何しにきたかしらないが、すぐに立ち去れ」

どこから出てきたのだろうと驚くエンを他所に、青年は人差し指と中指をそろえて、唇にあてると何かをボソリと呟きました。

するとまたも風のように青年の横に男の人が現れたではありませんか。こちらもヒラヒラした謎の服を着ています。さらに狐のような黄色い大きな尖った耳が頭についていました。

「いや、悪いことをしようってわけじゃ…ッ」

「ピギー!!!」

「!?
空豚?!」

ハっと辺りを見回すと、必死に駆けていくピンク色の塊と、その後ろを追う、茶色の塊が見えました。しかし追いかけようとしましたが、目の前の二人が通せんぼするのです。

「仲間なんだ!助けに行かせてくれ!!」


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