知り合ってから三ヶ月も経とうとしているのに私は未だ電話番号すら聞こうとしなかった
奥手にも程があるというものだ
それほど大切にしたかったこの恋
私は手紙に気持ちを込めた
『五月の晴れた日に会いませんか』
少し洒落た文句に聞こえるが、手紙だけで再会の段取りをする上では、当時の私にとっては重要な事だったのである
私の手紙に彼女の返事は
『yes』
紙に書かれた短い単語だったが、どんな言葉より私の心に深くしっかり届いた
そして五月。私たちは再会を果たす
雲ひとつない青空。大阪城公園のツツジは満開だった