記念切手

小学生の頃から記念切手を集めていた



記念切手の発売日には同級生と競って並んだものだ



発売日、郵便局のおじさんはいつもより早めに開けてくれていたが、一度だけ遅れて学校に遅刻したことがある



真冬の校庭に裸足で立たされた



発売日が過ぎると郵便局のおじさんは入り口に貼ってあった記念切手のポスターをくれた



収集した記念切手は今はほとんど残っていないが、無くした訳ではない



彼女との文通に使ってしまったのである



当時彼女は看護学校の寮にいたが、綺麗な手紙が来る、と寮生の間で話題になっていたそうである

文通

ケータイが普及し‘文通’は今や限りなく死語に近い



字や文章が下手な私は何時間もかけてやっと二枚の手紙、片や彼女からの手紙は常に四、五枚あった



神奈川〜大阪間はおよそ500q



週に二往復の文通は約半年続いた



〜花の散ったサクランボに早くも青い小さな実が付いています〜

すれ違い

彼女からの手紙を受け取った私は、その内容が私の手紙の返事になっていない事に気付いた。当たり前である



手紙をポストに入れたのは昨日なのだ



返事を書かなければ、そう思った私は、急いで手紙を書いた



電話番号すら聞いていない。手紙を書く事しか出来ない私だったが、それは彼女も同じ



という訳で



お互いに初めての返事がすれ違ったのも、これまた言うまでもない
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