全国的に有名な、あの‘大島’ではなく、私の家からいつでも見える同名の島である



干拓されて今は陸続きだ



石灰山



中腹は大きく削られていて、私たちは幼い頃からその姿を眺めながら育った



街の中心には城跡があり、その石垣は石灰岩による



今では普通の石垣と変わらないが、築城された当時はその見事なまでの白い石垣に‘白鷺城’の別名がついていたという



これまた、かの有名な白鷺城とは別物である



もし、タイムマシンがあったら是非、この眼で当時の城を拝見したいものである



その石灰岩も大島のような山から切り出されたものだろう



今、大島を眺めると、もれなく石油コンビナートが目に入る



大型タンカーの着岸する港があり、こんな田舎に似合わぬ広い道路も出来た



やがて春



桜の開花も大島が教えてくれる



削られた山の中腹には公園があり、桜の咲く頃には私たちの住む平野を眺めながら花見も出来るのだ



私たちはそんな大島を見ながら育ったが、大島はその遥か昔から、身を削られようが、海を失おうが何も云わず、私達人間の暮らしをただ、じっと見続けているのである