二次創作SSサイト
》きみとどの幼馴染みメイン
》妄想・捏造が苦手な方はお引き取り下さい
》原作者様や各関係者様とは一切無関係です
拍手(返)
〒:yume
以下SSまとめ
16部屋掃除
千鶴はしばらく掃除を怠り散らかっていた部屋の片付けを龍に手伝わせていた
部活が休みで寝ていた龍は今日はついてないと溜め息を漏らしながら連行させられた
しかし今現在、千鶴は龍を掃除に連れ出したことを後悔し、龍は断らずに来てよかったと心の中で自分自身を褒めていた
「これは?」
「知らない」
「俺の名前書いてあるけど」
「………」
「なんも用意してねーって言ってたよな」
「だ、だって!龍がアホだから!!」
龍は付き合って1年目の日のデートを頭の中で浮かべて、そういえば最後の方ケンカしたかも……?と振り返った
千鶴は龍の右手にある袋を恨めしそうに見る
龍に渡そうと一生懸命に作ったが、意地を張って渡せなかったクッキー。捨てられずにいたらいつの間にか千鶴自身もクッキーの存在を忘れてしまった
龍が、どう言い訳をしようか焦っている千鶴を楽しげに眺めていると、千鶴が龍の左手に視線を移したので龍も見る
今の暑い季節とは不釣り合いな表紙の雑誌。
ところどころ付せんが貼られていて、それがどのページかはすでに確認済みである
これも千鶴が忘れて適当に放っておいた物だ
龍は女性雑誌には興味がなかったが、表紙の煽り文と付せんに何かを感じ、パラパラと雑誌を開いた
そこから今の状況が始まった。
「もういいだろ……返せよ」
千鶴は手を差し出し龍を睨む
龍は千鶴の睨みに首を傾げなんで?と言った
「あたしの!」
「借りる」
「は!?」
「参考にするから」
「さ、参考って」
龍は千鶴が雑誌を奪おうと心構えたのを感じ取り腕を天井に向けて伸ばし表紙を仰ぎ見た
「……クリスマス、カレと行きたい10のスポット…」
「よよよ読むな!!!バーカバーカ!!」
奪い返すことにあっさりと失敗した千鶴はその場で低レベルな暴言を吠えることしかできなかった
「なんで言ってこなかったんだよ」
「別に……」
付き合って初めてのクリスマスは、遠出するわけでもなくのんびりと近場で過ごした
それでも十分過ぎるほど満足した龍だが、千鶴に行きたい所があったのならやはりそちらを優先したかった
「今年はちゃんと考えるから」
「い、いーよ!」
恥ずかしくて誘えなかっただけだし、と千鶴は心の中で呟き、先程まで龍を睨みつけていた視線を龍と目が合わないように彷徨わせる
「……とりあえず掃除再開するか」
「!!!自分でやるから帰っていいよ!!」
「手伝う」
「帰れって!」
掃除開始時とは真逆な心境の2人の攻防は続き、その日部屋が片付くことはなかった
END
二人でする30題「雲の空耳と独り言+α」
15買い物
プールに行った帰りに、デパートに来た
日焼けした腕にクーラーの風が当たってヒリヒリする。龍の赤くなった腕を軽く突いてみたら、龍はビクリと反応して眉間に皺を寄せてムッとした顔をあたしに向けた
あたしはなんでか嬉しくなって、へへっと笑う。龍は今度は呆れた顔をして「なにが楽しいんだよ」とため息をついた
なんだろーな?
自分でもよくわかんないや
笑いながらまた龍の腕に指を伸ばそうとしたら、ゴツい手がそれを止めた
龍のくせに生意気だ!って怒るあたしの手を掴んだまま龍は「だめ」って言って微笑んだ
ころころ表情変わって忙しーやつだな
「あれ、アイス屋なんてあったっけ?」
カフェやクレープ屋の並びにカラフルな店があるのが見えて、龍の顔を確認するとあたしと同じことを考えてるのがわかった
足がアイスクリーム屋へ向かう
「千鶴のおごりな」
「は!?なんでだよ!」
龍と文句を言い合いながら歩いてたらすぐに店の前に着いて、出来立てのきれいな外観に感心をする
うまそーだなー店ごと欲しーなー
「本日カップル限定で一段サービスしております。いかがですか?」
ガラスの中のアイスを指さして「これとこれにしよー」って言ってたら優しそうな店員さんに声をかけられた
「一段サービス!?ダブル頼んだらトリプルになるの!?」
「はい。……カップル、ですか?」
店員さんはニコりと笑ってから龍を見て控え目に質問をしてきた
………違う
だって、龍は幼なじみだし。
トリプル食べたいけどしょうがないか…
仕方なく「違います」って言おうとしたら、さっきから黙ってた龍があたしの手を取って握った
「龍?」
「もう一段、どれにすんの?」
「えっ、でも」
もう一段サービスはカップル限定だぞ?
「どうぞ、もう一種類お選びください」
状況が掴めないあたしに店員さんがニコリと笑いかけてきた。顔は笑ってるけどなんかさっきより声が低くて早口な気がする……気のせいかな
龍はすでに注文をしてサービス分も頼んでる
「千鶴は?」
「えっと…………あ!」
ここまできて、龍があたしとカップルのフリをしてくれてるんだってことにやっと気が付いた
「あたしはそれとそれと、あとバニラください!」
疑問が解けて、無事に注文をしてアイスを受けとって店をあとにした
「あそこ座って食べよー」
「ん」
トリプルだから歩きながらだと落としそうだしね!
「なに笑ってんの」
「龍が笑ってるから!」
「え、笑ってたか?」
「笑ってない」
「……意味わかんねーな」
「笑ってないけど、嬉しそーだから」
そう言うと龍はちょっと驚いた表情をしてからあたしの顔を覗きこんで笑った
イスに着いて並んで座ったところで、まだ手を繋いだままなことに気付いた
いまさら恥ずかしくなる
「あ、ありがとね!」
「なに?」
「カップルのフリ」
「……ああ」
龍の表情が少し曇ったように見えたけど、恥ずかしさが先行して「どうしたの?」とは聞けず、腕を引いて繋いでいた手を離した
「あ、あのままだったらもう一個もらえなかっただろーね!」
龍は何も言わない
さっきまで、嬉しそうだったのに
「龍それうまい?」
「ん」
龍は怒ってるような悲しんでるような、あたしでもわからない難しい表情をして先に続かない返答をした
龍の横顔をモヤモヤしながら眺める
アイスを舐めると口の中に甘酸っぱい味が広がった
END
二人でする30題「雲の空耳と独り言+α」