*大変だ!(攘夷)晋助が一部記憶喪失になっちゃった!*
*しかもその“一部”ってどうやら新八くん関連のことらしい!*




お前どんだけ攘夷達に萌えてんの?って話なんですけど、とある攘夷晋助が一部分の記憶、てか新八くんの記憶だけをごっそりすっぽりと喪失してしまったらどうなるか……という萌えを検証します。そうさな、晋助はある日の戦の最中で頭を強打し、昏倒から目覚めてみれば新八くんの記憶だけがごっそり無かったということにしよう。そうしよう(ご都合展開)
この場合の攘夷高新は既にできてる設定です。


そしたら晋助は起き上がったお布団の傍らに涙ぐんで座ってる新八くんをふと見て、翠のお目目をパチクリと瞬かせ、

「っ……高杉さん!!良かった!!本当に良かったです、高杉さんの意識が戻って!」

今にも泣き出さんばかりに喜ぶ新八くんを改めてじっくりと見て、

「テメェ誰だ」

至極あっさりと言うことでしょうな(晋助)。そしてそれに愕然とする新八くん。

「……はっ!?だ、誰って僕ですよ。高杉さん、僕ですよ!?どういうことですか、もしかして記憶喪失……」

お顔を真っ青にして布団に詰め寄り、晋助ににじり寄るも、思わず伸ばしかけたお手手をバシッとすげなく振り払われ、新八くんはひどくびっくりした。なんたって新八くんを邪険にした晋助の目つきがとんでもなく冷えてたからです。まさに得体の知れない他人を見る目。
新八くんが晋助から決して寄越されたことのなかった、その眼差し。いつだって意地悪で高飛車で傲慢で驕慢で、でもいつだって晋助の新八くんを見る目にはある種の熱があった。想いがこもってた。
今みたいに冷たく見られる事なんて決してなかった。


「あ?だから誰なんだテメェは……埒があかねえ。ヅラか銀時は居ねえのか」

やおら晋助は訝しげにキョロキョロとする。そうなのです、晋助は桂さんや銀さんのことは全然覚えてるの!しかも、

「ヅラや銀時でなくてもいい、辰馬のバカならその辺に居んだろうが。連れてこい」

もっさんの事まで覚えてるのに!なのに新八くんのことは綺麗さっぱり忘れてしまってるのですよ(萌え)

そしたら新八くんも混乱しつつ、ようやく状況が飲み込めてきて、

「高杉さん。ねえ、僕のこと……本当に覚えてないんですか?」

震える声で再度問いかけるも、

「テメェ……いい加減にしやがれ。俺ァお前なんざ知らねえ。鬼兵隊に居るツラでもねえしな」

マジで冷たく言う晋助ですよ。呆れ果てたような、更には見下げ果てたような眼差しで新八くんを見てるだけだという。
新八くんはそんな晋助を見て、晋助の言葉を聞いて、冷水を浴びせかけられたように愕然としますけども、

「(嘘でしょ高杉さん!僕のこと思い出せないんですか、違うでしょ、だってアンタ僕のことを好きだって……僕とアンタは、あんなに、)」

などと、自分たちは既に好き合っている二人だという固定概念故にますます今の状況に傷付くんだけど、
何とか気持ちを立て直して、

「……分かりました。今、銀さんと桂さんを呼んできます。待ってて下さい」

唇を震わせながら気丈に告げる新八くん(萌え)。

そしたら晋助の意識が戻ったとの朗報に駆けつけてきた桂さん、銀さんも共にびっくりするだろうねえ。何しろ晋助がこの有様だしさ。その憮然とした様子も尊大な態度も怪我する前と何もかも変わっちゃいないが、何せ晋助は新八くんの事だけ忘れてるからね。

桂さんとかマジでビックリして、

「高杉……お前正気か?お前が新八くんのことを覚えてないのか?何ならもう一度、俺が鈍器でお前の頭を殴っていいか?」(←だめだろ)

思わず漬物石を両手で抱えて、晋助の頭を狙っていきますよ(どんな幼馴染か)。そして銀さんに止められているという。

「ちょ、オイオイやめろってヅラ。てか俺ら戦の最中っつー設定なのに、その漬物石はどこにあったの?つーかそれで殴ったらマジで今度こそ高杉も死ぬから、いよいよやべえから」

銀さんも必死になって桂さんを止めるよね(ほんとに必死なのかよ)。でもどう見ても新八くんのことを覚えてない晋助を見て、確認はしてみる。くるっと晋助に向き直り、

「なあ。高杉お前さ、マジで新八のこと覚えてねーの?」
「しつけえんだよ。俺ァこんなガキなんざ知らねえっつってんだろうが。殺すぞ銀時(イライラ)」
「えええええ、いやいやいや……マジか。だっておま、あんだけさァ。あんだけ新八と、新八のこと……そんで俺とも何やかんやあったじゃねーか。あの頃の俺らなんて凄えブチ切れててお互い目も合わせなかったのによ、新八居なかったら確実殺しあってたのに、なのに……お前それ、」

モゴモゴと実に語りにくそうに、でも大事なことをぽつぽつと銀さんは語る。でも途中でやはり口ごもる銀さん。
そんな銀さんを見て、さすがの晋助も頭にクエスチョンマークを浮かべた。

「俺とお前が?このガキのことで?……俺とこのメガネに何かあったのか。教えろヅラ」

ここで銀さんじゃ埒があかないとばかりに桂さんに問うも、

「何かあったどころじゃないぞ高杉。新八くんに関して、お前はよっぽど先生に顔向けできない所業を積み重ねているんだぞ。その、なんだ、まあ色々と(モゴモゴ)」

桂さんも桂さんで言いにくそうにしてますので、晋助と新八くんが皆に内緒で色々あった事は既にバレてるんだけど言いにくい事は言いにくいので(完全に身内のゴタゴタですので)、
だけれども晋助の前で迂闊に『先生』と口に出してみようものなら、晋助なんて咄嗟に目の色を変えるよ?この頃の晋助の目の色を変えるのは簡単ですよ、先生の事を口に出せばいいのですよ(単純かよ晋助)

「あ?よりによって俺が、この俺が先生に顔向けできねえ?しかもこんな訳の分かんねえガキの事でだと?……ふざけんじゃねえ、誰がそんな事するか」

よりによって自分が師の教えに背くなんて、晋助には到底信じられない。だから真っ直ぐな目で鋭く桂さんを睨みつけております(知らないって凄い)。

そしたら銀さんもあーあって顔をして、

「……あーもういいよ。もうめんどくせーよ、そのうち自然に思い出すんじゃねーの?放っとこうぜ」

はやくも放置を決め込む(本当に早え)。でも悄然とする新八くんの肩を抱き、

「まあそう落ち込むなよ新八。アイツも馬鹿じゃねーよ、いや馬鹿だけど。すげー馬鹿だったけど、今回のことでそれが証明されたけど、でもアイツ高杉だぞ?お前のことは絶対ェそのうち思い出すって」(←慰めてるのか否か)
「だって……でも、」
「じゃあお前がアイツの身の回りの世話してやればいいじゃん。何か思い出すかもしんねーし」

助け舟出してそうですよね。あくまでも銀さんにとっての晋助はライバルではあるんだけど、新八くんを獲った憎い野郎ではあるんだけども、悄然とする新八くんがあまりにもかわいそうで思わず仏心を出すという。
銀さんはそういう男である(誰にも知られないヒーロー)


んー、そしたら奇妙な感じに高新生活が始まりそう。何が奇妙ってアレ、今の晋助は新八くんの事を一切どうとも思ってないからね。今まではあれほどお前は俺のもんだの、テメェどこにも行くなだの、お前は絶対ェ銀時にやらねェだのと熱心に口説いてたくせに、口説くだけじゃなくしつっこく手ェ出してたくせに、今じゃすっかりとそれも忘れ、新八くんの事なんて単なるモブ扱いですよ(ほんとヒドイ)
でも新八くんも敢えてそれに甘んじているというか、すごく切ないし苦しいんだけど、毎日せっせと欠かさず晋助の包帯とか取り替えに来そうなんだよね。


「テメェまた来たのか。もうテメェの世話なんざ要らねえんだよ」

なぁんて晋助に素気無く言われても、

「ダメですよ!包帯巻きっぱなしにしてたら治るもんも治らなくなりますよ、患部は清潔にしてなきゃ。さっ早く見せてください」

辛い気持ちを隠して晋助の世話をキリキリ焼くのである。本当に健気な子なんですよね、こうなった時の新八くんはね。
何かどんだけ素気無くされても晋助の着替えとか手伝ってそうだもん。そんで晋助の裸体に久々に肉薄して勝手にドギマギとしてそうだものな。

そしたら晋助も微妙〜に、本当に微妙〜に新八くんに心を開き、

「(おかしなガキではあるが……悪くはねェ。こいつの飯はまあまあ食えるしな)」

などという上から目線な感想を抱く。てか『まあまあ食える』じゃないでしょ、新八くんのメシは絶対美味しいでしょ?!何言ってんのマジで、だって晋助は気に入らなきゃ絶対食べないでしょうよ、それを毎回完食してるんだから確実に好きな味なんだよ。記憶の上では忘れてても味覚は、てか本能の部分では新八くんをちゃんと覚えてて、だから新八くんの作ったメシをめっちゃ美味しく感じてるのにねえ。

ったく、何言ってんだコイツは(全く)


高新の奇妙な生活はそんな瞬間の積み重ねですよね。新八くんの甲斐甲斐しいお世話の甲斐もあって、晋助の怪我はすぐ良くなっていきそうだけど、でも肝心の記憶はあまり戻らなそう。しかし以前のような警戒モードも新八くんに対して抱かなくなってきた晋助はと言いますと、とりあえず新八くんに触れてみると思う。

ある日の晋助はふと思い立ち、目の前を横切る新八くんの手首を唐突にはっしと取ってみた。でも最初からそうしようと思ってた訳でもなく、ましてや新八くんに触りたかった訳でもなんでもなく、本当に咄嗟にしてしまった事だった。本能がそうした。

「っ……た、高杉さん?」

新八くんはびっくりしてお目目を見開くけど、晋助はまだ手を引っ込めなかった。新八くんの手首をさらに引き寄せた。引き寄せて引き寄せて、間近に見た新八くんの瞳に何かを思い出しそうになり、でもそれが何かは分からなくて、そんな自分にイライラしてたまらなくて、もどかしくて、

「あの、高杉さん?どうし……」

オロオロする新八くんの唇を見ているうちにそのもどかしさが頂点に達し、簡単に沸点吹っ切って、何故なのかガブリと噛み付く勢いで新八くんにチューしてみた、みたいな(ケダモノなのだろうか)(頂点に達すると唇奪いに行くのかお前は)

新八くんはそりゃあ驚くでしょうな。だって自分とのラブな記憶を失った筈の男に急にキスなんてされてね、びっくりして声も出せなんだが、当の晋助なんてそれ以上に驚いてるからね。

「テメェ……もう一回させろ。今何か掴みかけた。何か分かるかもしれねェ」

今度は新八くんの両肩をぐわしと掴みしめ、新八くんの答えを聞く暇もなく、また新八くんにキスしてますからね(だからあの、ケダモノなのでしょうか)

そしたら二人は何故かそのまま雪崩れ込むように肉体関係を……って待って、何ですぐそこへ行くのか!?(自問自答)

うーん、やっぱりアレですかね、今は新八くんに関する記憶は複雑に絡み合った意識の奥底に隠れてるけど、本能はばっちり新八くんを覚えてるからね。だから本能の赴くままに行動してみたらば、そりゃあ新八くんの上に乗っかってみるのだろうな。だって思い出してよ、晋助の脱童貞は新八くんですよ?初回から三回ヤって、あの日の体液は全部新八くんにぶちまけた晋助ですよ?(言い方)

それを深層心理で忘れる訳がねーよ。だから抱いてみたんだけど、不思議と新八くんも嫌がらなかったから、やっぱりどうして晋助の抱えたモヤモヤは大きくなるばかりだったけどね。


(コイツは妙に俺に慣れてやがる……)

とか、

(慣れてるどころじゃねえ、コイツそもそも男に抱かれて平気なのか?いや待て俺も俺だ、むしろ何で俺は男に欲情した?何でやり方知ってんだ俺ァ)

とか、

(どうなってやがる……もしかして俺とあのガキは互いを互いの性欲の捌け口にしてたのか?分かんねえ……)

とか、晋助の抱える疑問もどんどん募ってくだけでしたけども(晋助の純粋な疑問)。ねえ、だって疑問は疑問でしょ。全然覚えてない筈なのに身体は正直でしたもの。顕著に反応したし、新八くんも抱かれて確かに悦んでた。

晋助にとっては謎が深まるばかりだけども、でも新八くんも晋助の事をやはり甘やかしてるのでね。何たって今の晋助は一部記憶喪失だし、治ってきたけども怪我をしてる訳だしで、
だから明くる日からの晋助が黙って新八くんの着物の袖をギュッと引いてきても、目で何かを熱く訴えかけてきても、

新八くんはかの日の晋助の事を思い出して、むしろ脱童貞したばかりの頃の晋助を思い出して懐かしい気持ちすら持っちゃって、

「高杉さん、もしかして……したくなっちゃったんですか?」

などとヒソヒソと聞いてしまって、それにはひどく逆上した晋助に、

「ち、違ェに決まってんだろうが!おかしなこと抜かすんじゃねェ」

違う筈ないのに気恥ずかしくてツンツンする晋助に、ふふっと少しだけ笑いかけ、

「あの、今皆さんの分の着物をお洗濯してますからね。終わったらいいですよ」

晋助の手を逆にそうっと包んでヒソヒソと約束してくれます。そしたら晋助も今度はコクリと比較的素直に頷くよ?だって朝からくるくる家事をして働いてる新八くんを、本当はずっと独占したかったのだもの。

前のように四六時中側に侍らせておいても良かったのに、今だったら側にいても鬱陶しくは無くなってきたのに、
けど昏倒から目覚めたばかりで身体も自由がきかなかった時はあれだけ新八くんのお世話が嫌だったのに、窮屈だったのに、いざ怪我が治ってきて新八くんが少し遠のいたら急に心に隙間風が吹いたような、ほんの少し物足りない感覚を覚えてきていた晋助だったんですもの。
その気持ちがよく分かんないから、更にイライライライラしているという。

それが誰かを想うという感覚なのだと、晋助の深層心理は知ってるのにね。晋助はなんだかんだと御託並べるけど、本当はただ、恋しい相手に側にいて欲しいだけなのに。

それを晋助が知るのは、むしろ思い出す瞬間はきっと目前にまで迫ってる気がするけど……




──って待って?ねえ、ちょい待って、一回冷静になれよ自分。どうして攘夷高新はこうなるのか?何かどう問題を提起しても、しまいには晋助の記憶を一部喪失させてみても、最終的には何故か高新はくっついて行くという。どんなにトラブルを設けても最後はハッピーエンドに彩られていく、どんな問題を起こしても最終的には二人はラブラブ。凄いよね、何この怒涛の予定調和は何。

え、何?もしかして高新は神に愛されてんの?照橋さんばりに神からのご加護を受けてるの?キューピッドからして高新の仲を取り持つの?

神から愛されし二人のラブは誰にも邪魔できないということ?(照橋さん比較対象って凄えな)