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Many Classic Moments9 (攘夷高新)


Many Classic Moments1
Many Classic Moments2
Many Classic Moments3
Many Classic Moments4
Many Classic Moments5
Many Classic Moments6
Many Classic Moments7
Many Classic Moments8



*続き*





お堂を飛び出た新八くんがどこに行くかと言いますと、やっぱり先に出て行った晋助の事が真っ先に気になるでしょ。だから廃寺の中から外から、丁寧に探したの。
そしたらねえ、晋助なんてお寺の外門の下の石階段に腰掛けてね、ひとり夜風に吹かれて黄昏てましたからね。綺麗な星空見て物憂げに煙管ふかしてますから、ほんっとコイツどんだけシチュ気にすんの、どんだけ厨二患ってんの大好きって話なんですよ(最後)


「……高杉さん。こんな所に居たんですね」

さっきの晋助の様子を見ていた新八くんなので、最初から回り込んでみたりせず、まずは後ろからそうっと声をかけます。晋助を威嚇させないよう、フーッと逆毛立てさせないようにそうっと近付き、優しく優しく……って何?もう新八くんってばナウシカ並みの動物愛護精神持ってんじゃん、もう晋助なんて軽くテトじゃん。

『怖くない……怖くない……』

と初見のテトに声をかけているナウシカを彷彿とさせるな、こんな新八くんは。そんで万が一でもテト晋助にカプッと指を咬まれようとも、いや晋助はテトよりはまだ大きいので(まだって)、

首筋とかカプッと咬まれて血が少し滲んでも、

『だ、大丈夫ですよ高杉さん……怖くないですよ』

などと澄んだお目目で囁いてくれるので、そんな聖母を見たテト晋助はたまらずにナウシカ新八くんを押し倒し、本能のままにその唇を貪るんですね全くよく分かりました(分かるなよ)

ナウシカはミツバさんだけど(中の人的に)、やはり新八くんになぞらえてもおかしかないですね。その優しさと、柔軟性に富んでてしなやかな強さを持ってるところがね。



だから晋助にそうっと声を掛けた新八くん。晋助はその声には気付いただろうが、まだ何も言わない。ふう、と無言で煙管の煙吐いてるくらいのもんで。
けど何も言われずとも拒否の反応は感じなかったので、新八くんも少しずつ少しずつ距離を詰めていくの。そして最後は晋助の座る階段の上に立って、

「もう、僕探しちゃいましたよ。でも高杉さんってここ好きですよね。最初からここに来れば良かったなあ」

と話しかけるんだけど、まだ晋助はツーンと顎を逸らしたままで、新八くんに未だ返事をしないのであった(お前ェェェ新八くんの気遣いをっ)

もうね、晋助はどんだけお姫様?って話ですよね(真顔)。さすがにアラサーになれば女王然とした貫禄もつき、新生鬼兵隊をその剣技と才覚とイケメンさとカリスマオーラでまとめ上げる奇跡のテロリストと呼ばれるにまで美しく気高く成長しますが(いや私の中で呼ばれてんの)、
この頃はまだまだお姫様っスよ。もう鬼兵隊の隊士達に蝶よ花よと甘やかされた、生粋のお姫様童貞なんですよ(だから何その種別)

だからそんなお姫様デリケートな晋助には、ふう、とおもむろにため息を吐き、やはり優しく囁く新八くんなのであった。

「……銀さんのこと、許してあげてくださいね?別に悪気があって言ってるわけじゃないと思いますよ」
「……フン。テメェのお人好しには呆れらァ」

ここでようやく目と目を合わせる高新。新八くんがさりげなく晋助の横にそうっと腰を下ろしてね。

晋助も今は誰とも話したくない気分満載なんでしょうけど、やっぱり新八くんだけは別なの。だから己のテリトリーにそうっと入れてあげるのです。

そしたら煙管をふかす晋助の横顔を見ていた新八くんが、

「……あの、高杉さん?」
「あ?」

何だか言いにくそうに、でも話したい感じで口を濁すものですからね。

「えっと、上手く言えないんですけど。でも高杉さんも男の人だし、あの……行ってもいいんじゃないですか?」
「あん?何の話だ。はっきり言いやがれ。テメェらしくもねェ」

新八くんの釈然としない口ぶりに、晋助も眉を訝しげに顰めております。そしたらそれに押された新八くんも、えいやっとばかりに話し出す。

「だから……ゆ、遊郭っ!とか……行ってもいいと思います。僕」

でもこんなん申してますけど、晋助とは目を合わせないのね。さっきとは違ってね。何か無理してる感がすごいあるの。目の瞳孔もぷるっぷるしてるし、何なら声音も震える感じで、ようやく声を絞り出せたような。
晋助は新八くんの発言には瞬時にまたイラァッとしたけど、どうしたことか言い出した当の本人の方が辛そうだったので、何なら少し泣きそうな感すらあったので、ここでは怒りが削がれましたね。

「……それはテメェの本音か?」

代わりに、静かに聞く。新八くんの目を覗く。
新八くんはまだまだ言いにくそうに、

「……いや、違いますけど。何か変なんですけど、高杉さんがそういう所行ったら、僕は嫌です。銀さんや桂さんや坂本さんだったら、他の皆さんなら何も感じないけど、何か、それは……いやだ」

着物の胸元をぎゅっと片手で握り締めながら、声を絞ったのです。
本当は嫌なんですよ、新八くんも。晋助にそんなところに行って欲しくないんです、でも自分には晋助を縛る権利がないと思ってるからね。だから晋助がもし女に興味があるんだったら自分に遠慮せず銀さん達と遊んでくればいいしと、気を使ってこんな嘘を吐いた。

でも、万が一そうなったらモヤモヤし過ぎて眠れんだろうな、新八くんは。そんで、そうなったらもう高新の関係は切れるよね。
女とも遊ぶけどテメェも抱いてやらァ、的な晋助になっちゃったら、いやそれも果てし無く萌えるけど(もはやどんなパターンでも高新ならイケる)、この高新の場合だとダメになるよ。もう普通の幼馴染の関係に戻りますよね、しかも以前よりもっと距離感持った関係にね。

でも晋助を縛っていいもんかどうかも、新八くんの中では分からんのですよ。晋助はがんがんに新八くんを束縛してくるんだから、銀さんに敵意剥き出しなんだから、新八くんが少しくらいカワイイ嫉妬したところで何ともないと思うけどね。見てるこっちはね!童貞メンタルくん達を見守ってるこっちだけは!(ハアハア)



まあ晋助もですね、そんな素直な新八くんの言い分にはフッと笑みをこぼして。

「なら最初からそう言いやがれ、阿呆が」
「ハイ。ごめんなさい、高杉さん」

石段の上に置かれた新八くんの手を、おもむろに握ったりしてますよ。上からね。まだ恋人つなぎとかできないもんでね、ふふ。
重なった手と手に視線を落とし、新八くんは再度続けます。

「変な話なんですけど。さっき銀さんが、高杉さんに好きな女の人が居るのかって聞いた時……」

そして、また着物の胸元を押さえる新八くん。

「何か、何か……僕のここ、凄くぎゅうぅぅってなりました。胸が痛くて」

切なげに小さな声を振り絞り──って、もう恋ですそれは!間違いないんで!(本当にな)
新八くんったら!晋助に他に好きな女が居ると考えると、それだけで胸が痛くなったなんて!そんなねえ、他の女の想像だけで胸の痛みを感じてるなんてね、引き攣れるように痛んで、ジクジクしたなんて。それは君の初恋ですよ。

恋しちゃったんだ多分、気付いてないでしょう(名曲)




んだけど、生粋の童貞メンタルを有する二人のこと。晋助もまた恋がよく分かってないし、新八くんなんて言わずもがなっスよ。だから新八くんのそんなカワイイ独白を聞いた晋助はと言うと、ふー、と細く長く煙を吐き、


「それは……テメェ、明日にでも医者に行け」

真顔でぽつりと呟く。

……って、お前いい加減にしろやァァァァァァァァァァ!!??あああああああ!!(禿げるまで髪を掻き毟りながら)

何こいつ!マジで!信じらんねーよ、こんな据え膳セリフ食らっておいてからに!医者に行け、じゃねえよ!どうなってんだ攘夷晋助の童貞メンタルってやつはよお!(設定してんのお前です)

でも新八くんもまた童貞だからね!


「そ、そうっスね……明日あたりお医者さんに診てもらいます。マジ僕、どうしたんだろう」

首を傾げつつ答える。

……って君もですかァ!君もなのか新八くんんんんんん!!(涙をこらえながら)
何こいつら!マジで始まんねーよ、セックスばっかりパコパコやってるくせして!信じらんねえ、何でこれが恋だと分かってないの!?何て童貞メンタル!攻めも受けも機能してないね、機能してんのアッチの方だけよね、こりゃとんだ奇跡のコラボレーションだよ、もももも、もうもう、んもう!

攘夷高新が最高潮に今カワイイぃぃぃっ……!!!!(可愛がってるじゃねーか)

フヒィもう最高っスね、この童貞達ときたら!!!マジ神ってるわ大好き。二人がだいすき。
しかし始まらないね。まあ原作から奇跡の童貞神であらせられるキャワワな新八くんはともかくとして、晋助までどうして、どうしてお前に新八くんの胸の痛みの原因が伝わらないのかって、私には生涯の謎ですよ。ねえ晋助よ(真顔で)




これがアラサー晋助ならねえ。新八くんにこんなん言われたあかつきには、

『そりゃテメェ……惚れてるからに決まってんだろう?』

と思わせぶりに新八くんの耳元で囁き、

『えっ?誰が?誰に!?』

と驚く新八くんの顎をついっと掬い、ふっと高飛車に口の端を吊り上げて笑み、

『惚けてんじゃねえよ。テメェの唇に聞いてやる』

って、自分から聞くと言っときながらも敢えて新八くんの唇を塞ぐという、複雑厨二なパターンにも持ち込めるのにな(真剣に)

そして甘ったるいキスの後で、新八くんをふわりと抱き寄せ、


『分かったか?』
『はい……僕、高杉さんのことが好き……(トゥンク)』
『今夜はテメェだけを可愛がってやらァな』
『今夜だけじゃ嫌です。僕のこと、ずっと……高杉さんのものにして』(蕩けたお目目)
『全く……テメェにはきっとこの先も敵わねェ(ふっ)』


って、もう結婚フラグも乱立しまくるのにね!ユカリの中でだけね!

まあこんなふざけた感じのアラサー総督と(ふざけてる自覚はる)、青臭さマックスの攘夷晋助の二人に言い寄られる新八くん、というトライアングルもありですよね。

ってかそれ私しか面白くないと思うけどね(本当にな)






でもね、そんなお色気たっぷりのアラサー晋助にはない魅力もあるんですよ。攘夷晋助には攘夷晋助の、童貞メンタルの良さもある。
だって二人して分かんないながらも、頬を染めて俯く新八くんの横顔を見てるうちに、晋助の中でもたまらないような気持ちが生まれて、

でもそれはセックスする時の下半身膨張における際のたまらなさではなく(言い方)、

確かに今は晋助の胸も痛くて、今は新八くんの横顔を見てるだけ、それだけなのに、こんなにも今どうして胸が軋むのかって、切ないような感慨に心がざわめくのかって、


(お前は俺の何だ?テメェだけが……俺をこんな気持ちにさせる)


他の誰にも、こんな気持ちを持った事はなかったのに。

新八くんが銀さんと一緒に居るのを見るとムカムカして、銀さんの恋慕を何にも分かってない新八くんにもムカムカして、すげえ腹立って、でも腹立つのに放り出してはいけない気持ちを既に自分はもう抱えている。
新八くんに自分だけを見ていて欲しい、という気持ちをもう自分は抱き始めてる。

俺だけのものでいて欲しいと。



(銀時だけじゃねえ……俺以外の誰かのもんになるな)


最初こそ銀さんへの対抗意識から始まったような関係なのにね。でももうそこから一歩踏み込んで、新たな気持ちも見つけた。
それはふわふわしていて不確定で、不明瞭で不鮮明で、なのに芯はひたすら熱い。今の自分を突き動かす、その衝動。



けど誰にも感じた事のないその気持ちを、確かに抱き始めた自分が自分でもよく分からないのですね。だからざわめく心を鎮める為にも、新八くんの細い肩にぐいと手を掛け、

「……オイ、テメェの唇寄越せ」
「え?は、ハイ」

素直に上を向く新八くんに、顔を傾けてちゅってキスするの。一回だけする。そして握った手を再度握り直し、

「お前如きが変な気を回すんじゃねえよ。俺の欲しいもんは、いつでも俺が自分で見つける」

晋助はきっぱりと告げたもんですよ。
そしたら新八くんも少しだけ微笑んで、

「……もう。ほんと高杉さんはどこまで行っても高杉さんなんだから」

ぽすっと晋助の肩に頭を預けるのです。しばらくそうしている。晋助は黙って煙管を吸い、新八くんは晋助の肩に頭を預けて、二人はしばらく会話もなく石階段に座ってました。でもそんな無言も、前とは違って気まずくはなかった。むしろ心地よい気さえした。

そんな二人の頬を、夏の夜風が優しく撫でていく。どこか懐かしいような、切ないような淡い感慨を伴って。




しばしの沈黙を破ったのは新八くんの方ですよ。

「……でも僕、思ったんですけど。僕らの関係って何なんですかね?僕と……アンタの関係って何?キスしたり、その先もするのに、僕はよく分からないんです」

こてんと晋助に頭を預けたまま聞くんだけど、てかそんな可愛いことやってるくせにまだ分からんのか!どんだけウブですか君は、まあ確かに新八くんの恋愛的な事案は銀さんによってすべからく遠ざけられてきたからなあ。
新八くんの初恋が始まりそうだったらその女子は遠ざけられ、知らぬ間に銀さんによって排除されてたからなあ(どんな妨害)


だからイマイチね、新八くんも恋の機微がよく分かんないのね。そう考えると新八くんもお姫様童貞ですね。


「……さあな。俺に聞くんじゃねえ」
「うん……」

同じく姫メンタルな晋助だってね、やっぱり分かってないし。だからコクンと可愛らしく頷く新八くんですよ。

でも急に何かを思い立ったように、パッと顔を起こして。

「高杉さん、今晩高杉さんの部屋に行っていい?僕、内緒で行きます。皆さんが寝静まった頃に、こっそり」

ほんのり頬を染めながら、でもちょっといたずらっ子みたいな顔をして尋ねるの。恥ずかしいけども言わずにはおれなかった風情の新八くん。まん丸なお目目が優しげな半円を描く、その笑顔。
そんな新八くんの笑顔を見てたら、何だか晋助も再度たまらない胸の痛みが込み上げてきてね。

「……。……テメェの好きにしやがれ」
「はい!」

口数少なく、プイッと顔を背け、敢えてぶっきらぼうに言うしかできなかった。本当にね。

だって新八くんの嬉しそうな笑顔をもう見てられなかった。




(他の誰にもこんな気持ちになった事はねえ。なのに……お前だけが、俺を)



さっきの新八くんよろしく、胸をぎゅっと強く押さえてね。何でこうも胸がざわめくのかは未だ不明だけども、晋助はそうせずにはいられなかった。


確かに二人の間で生まれてたものが、きっとそこにはあったから。






*続く*

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