朝起きると、オレンジに触れたくて、気がついたらウイスキーを飲んでいた。


自意識に八つ裂きにされたい。欲をいえば串刺しにされたい。


もう嘘ばかり。自分が悪者になるのも飽きた。エゴの塊をローストしたらわたしの出来上がり。


炭に溺れて、網をつかみ、ひっくり返る。


転んだ先には薔薇の茎。


二階堂奥歯が、人が死ぬのは20メートル以上つまりマンション7階〜8階の高さが必要だと言っていた。時間は2秒。

たった2秒。刹那。煌めき。紫。


4階だからきっと1秒だ。そんなことを考えながら紅茶を飲んでいる。アッサムの熱さが限界の自己を保ち、荒れ狂わなくて済む。

僕は生きていることには向いていないのかもしれない。


コップを額に押し当て、一抹の生を噛み締めながら。