この世界の片隅に。


強く生きるという言葉は大抵無責任だ。生きることだけでも大変であるのに、強くだなんてできっこない。強がって生きることは簡単だけど。


のほほんとしてる女の子の戦時中の話ってあまりないのでは。戦争映画に出てくる女の子は強気で負けん気MAX乙女ばかりな気がする。泣いて笑っての綱引きだったんだが、戦争映画で笑うことなんかあまりないよなあと。トンマッコルとかはわざと面白いシーン入れていて不自然であったけど、この世界の片隅には笑うシーンは人間味に溢れていた。



みんな、つらい、みんな、しんどい。そんな時代の中で垣間見える笑顔は、なんだか最強だよね。娯楽がなくたって、先が見えなくたって。いまをいまだけを生きる美しさは観客にしかわからない。大きいスクリーンは、わかりやすく生きることの美しさを教えてくれた。


悩みはつきもの。自分で影を振り払いながら進むしかないの。髪を切るような感覚でね。落ちてくるものがない現代はなんてしあわせだろう。体に降り注ぐニュートリノを僕たちは感じない。裸の枝に降り注ぐ酸性雨を僕たちは体感できない。それでも生きているのだから、僕たちも枝も最強だ。



最強なんだから弱音に飲み込まれるな!