愛に撃ち抜かれて飛び出た血がきれいなのは、空が青いから。
僕たちは瑠璃色に恋をする。
緑柱石に嫉妬する。
飲みほしたウイスキーが体を半周したころ、ほしたちはため息をはく。
銀と澱みを虚空に灯して。キスをして。
起きたら全てが終わっていますように。
楽観でも絶望でもない。
褪せる色を破りたいだけ。
びりびりと。その瞬間、きっと草は歌う。
「嗚呼。咲きたい」
彼らが眠る頃、わたしたちは終わる。
だから、なにも思わない。ただ、ただ、終わる。不可思議な摂理を隅におしやり、抱きしめて受け入れよう。
紫も赤も。
青の琴線に詞をのせて。
嫌気がさすので、カチャカチャしてたらマトリックスやってた。
珈琲のみながら、湯船につかり外は嵐のような洗濯機の音。
「風呂場に鋭利なものは置かないこと」
死に際のセリフが、キスして、だなんて。
現実世界ならその遺言めいたキスをされても、明日には感触は残らない。
だから刹那、宇宙、光。そんな言葉がその残らない感触を救う。
「珈琲が赤い。これは血か?それとも聖女の涙か?」
「晴れた空を、見たかったのに」
「きみは流れてくるんだろう?」
「…」
「安心して。分解されたあとは養分になるんだ」
「………」
「踏んだところで鳴り響かない」
「叫びたいのに、口がない」
「もう一度」