引き寄せられる。吸い込まれる。
そして消える。消え失せる。一ミリも残さず。
だから、わたしは紫がすきだ。飲み込まれたいから。
なくなったあとにわたしは赤色を残したい。決して黒に染まらず、鮮やかな赤でありたい。
だから赤くなるように物を摂取する。それはいま食べたラーメンにラー油を入れたように。赤色。
たしかにイチゴジュースを見つけたときに妙に興奮したのは、赤色だったから。
気づけば赤いパンツ。上にグレーのセーターなんか羽織るから、中途半端なんだよ。
振り切れ、極地へ。
さようなら紫。明けたら赤におはようさん。
傘越しに見る水滴は透明だった。
映像とはいえ、人が手首を切る映像は初めてみたかもしれない。
だからといって何かが変わることはない。
淡々と呼吸するだけ。からだのどこかで叫び声が聞こえたような気がしたけれど。
昨夜から食欲が消え去り、きっと台風一過で全部元通りになるという楽観視。湯船で半身浴をして生を謳歌する錯覚。
覇気はなく吐き気はする。世界にか、自分にかはわからない。
瞼が開くとき、狂気の箱が私を見つめる。正面からにらめつける紫に打ち克てるほど、強くはないんだ。気づいたときには、染め上げられているだろう。
途切れ途切れの血に愛を込めて。
たくさんお酒を飲んで、すぐ風呂に入ると臨死体験になる。ふわあと広がる温度が体に染み込んで行くのがたまらない。
それにしても、突き刺さった映画をみた。わたしを槍でめった刺し。
『パーフェクトレボリューション』
峯田の歌声。全部受け入れるクマ。突っ走るミツ。全部全部。
自分の為の映画だと思った。だから、最高だった。
まだ生きていたい。そう思うことができたのは映画の中だけ。映像の中だけ。
でも。
現実は残酷に語りかけてくる。
サヨナラの色は、紫だけていいのに。