話題:今日見た夢



家の近くを散歩していたら、見た事のない道があるのに気付いた。

こんな所に道があっただろうか?

そんな事を考えながらも興味本意で足を踏み入れる。
車二台がギリギリすれ違えるかといった幅の通りを幾つかの角を曲がり、道なりに進んでいくと拓けた場所に出た。
入り口?にはアーチ状のゲートがあり、『××商店街』と書かれた看板が取り付けられている。
生憎、商店街の前に書かれた文字は色褪せて読めなかったが、どうやら此処は商店街らしい。
賑わっているわけではないが、かといって閑散としているわけでもなく、人の姿や車の通りが疎らにあった。
軒を連ねている店はどれも古びた看板や壁に貼られた色褪せたポスターや値段表、設備が古かったりと年季が入っており、所謂、『旧き良き時代』がそのまま現代に取り残されている、そんな感じの印象だった。

一通り店を覗いて回り、商店街を抜けると元来た道を戻る。
狭い道を進み、幾つかの角を曲がる…逆向きではあるが行きと同じ道を歩いているのに、いつまで経っても見知った道に出る事が出来ない。
道を間違えたのかとも思ったが、商店街の入り口までほぼ一本道だったのを考えると、その可能性は低いだろう。

持っていたタブレットのマップで現在地を確認すると、自宅の近くに居るのは間違いないようだ。
だが、幾ら歩いても一向に知っている道に出られない。
遠くに見える景色は知っているのに、近付く毎に知らない景色になっているようだ。
改めてマップを確認する。
さっきまで正常だったそれは住所が所々文字化けしている挙句、マップ自体もモザイクをかけたようになって完全に使い物にならない。
誰かに道を訊ねようにも誰かとすれ違う事はなく、静まり返った道に自身の靴音だけが反響していた。


それから休む事無く歩き続けたが、帰路に着けないままさ迷っていると、いつの間にか日が暮れ始め、辺りは茜色に染まっていた。
暗がりに向かって伸びる影を目で追いつつ、何がいけなかったのかと思い返していると、商店街を出た辺りから車や人と一切すれ違わなくなった事に、ふと気付いた。




マップの文字化けやバグ、幾ら歩いても見知った道に出られないだけの夢だったが兎に角、不安になる夢だった。

目が覚めて良かった。