話題:今日見た夢




地球によく似た環境の星の調査に訪れていた。

地球によく似ているといっても、生命爆発した頃の地球と大体同じような環境らしい。
一応マスクを着けているが大気中に有毒な成分は無く、酸素も十分にあるようなので宇宙服を着なくても行動出来るが湿気が多く蒸し暑い。

乗ってきた宇宙船を開けた所に停めると、調査隊の拠点へと向かう。
拠点となっているのはとある山の岩肌に口を開けた洞窟で、入り口では先輩調査員が私を迎えてくれた。
軽く世間話をした後、拠点を案内すると言うのでその後について行く。

先輩曰く、洞窟の一部はこの星の生き物の住処となっているそうで其処は環境的にかなり危険な所らしい。
何故そんな所に拠点を置いたのか疑問になったが、この生き物を調査するのに都合が良いし、その生き物は自身が棲まう環境から離れられないようなので問題無いそうだ。

洞窟の奥へと進むと道が二手に分かれており、片方は拠点施設、もう一つは件の生き物の生息区域に通じる通路だそうで此方は後で案内してくれるらしい。
拠点施設に向かうとゴツゴツとした岩肌しかなかった周囲が、滑らかなコンクリート壁へと変わった。

施設内部は想像していたよりもかなり広く、多くの隊員が忙しなくしていた。
これから調査へ向かうのか重装備をした隊員達が移動用のバイクを引いていたり、この星のサンプルを調べているのか機械の前で何やら作業している隊員も居た。

先輩が言うにはサンプルを集めたり環境や生き物の生態を調べる調査班と、サンプルの解析をしたりする研究班に分かれているそうで、私は調査班に入るのだそうだ。
危険な任務であるが、未知の世界を調査するのが楽しみだと言うと一緒に頑張ろうと先輩が笑った。

ある程度施設内の説明を受け、仲間になる調査班のメンバーへの挨拶もそこそこにすると、次は例の生き物の所へ案内してくれるそうだ。
施設を出ると、岩肌剥き出しの天然の通路を下って行く。
ライトの灯りがなければ足元が見えないほど暗いが、暫くして辺りが薄明るくなってる事に気付いた。
先輩がライトを消すように私に言う。
その言葉に従いライトを消すと青白い光がぼんやりと辺りを照らし出していた。その光は洞窟の奥深くから漏れているようで先輩曰く、この光はこの先を棲家にしている生き物が発してるものだそうだ。

此処から先はマスクとゴーグルを着用し、出来るだけ音を立てないように行動しろとの事でその通りにする。
奥へと進む程、辺りを照らす青白い光は強くなり遮光性のゴーグルを着けていても目がチカチカした。
例えるなら、大量の青色LEDを目の前に押し付けられているような眩しさだ。

そんな事を考えていると目指す所に着いたらしく、先輩が物陰に私の腕を引いた。そして指をさす。
その指の先に目をやると、青白い光の筋を幾つも身体に這わせた巨大な何かが身をくねらせていた。
アメーバ状のそれは縦横に身を収縮したり、触手のようなものを出したりと実に忙しなく動いている。
よく見れば表面はヌメヌメとしていて、粘着質な音が耳に障った。
更に奥の方を見ると同じ生き物が数体見える。
先輩が言うには得体の知れない見た目ではあるが攻撃的ではないらしい。
ただ、この生き物の発するガスが有毒である為、調査以外では立ち入り禁止にしているという。
この生き物が外へ出てくる事はないのか訊ねると酸素に弱いらしく、自身が発するガスで自らが棲める環境を作っている彼らは密閉もされていない外界へ出る事は出来ないとの見解であるらしい。

施設に戻ると早速調査に行くとの事で、装備一式を持つとバイクに跨り先輩と共に出発した。

私達は海側の調査を任されているそうで、バイクで宙を駆り先へと進んだ。
空は地球と同じ青色をしていて、くっきりとした形の雲はまるで綿菓子のようだ。
足元にはジャングルの濃い緑が広がっている。

暫くすると空よりも更に濃い青が見えてきた。日の光に反射して輝く其処は目指していた海だ。
先輩の指示に従い、海面に着水する。
これから水中の生き物をサンプルとして捕獲するらしい。
このバイクは水中に潜り走行する事も可能らしく、モードを切り替えると車体からシールドが出てきてちょっとした潜水艦のようになった。

海に潜ると青い世界が広がっていた。

様々な生き物達が泳ぎ回っている。
全身節だらけの平たい生き物や、円錐型の殻を背負ったイカのような生き物、棘のような脚が大量に生えた前後の分からない生き物…未知の生き物達が其処には居た。

原始的な姿の生き物達に感動しつつもそれらを捕獲する。
バイクからアームを伸ばすと捕まえてはケースに格納していく。夢中になって捕まえていると、ふと辺りが暗くなりシールドの外へ目をやった。

私達の頭上、海面近くを巨大な魚のような生き物が水中に差し込む光を遮り悠々と泳いでいる。
この星の海に暮らす、上位の生き物だと先輩が教えてくれた。
それが此方へとゆっくり迫ってくる。

鯱のような鯨のような面立ちをしたその生き物は何処か優しげな、そんな眼差しを向け、私の乗るバイクを海中へと引きずり込んだ。