空想(兵きり)
白いうなじに後ろから手を伸ばす。
君は気付かずに他の男と笑っている。
そのまま、僕は僕以外の男まで惑わす細い首を絞めていく。
力を込めれば、こんな首くらい簡単に折れるだろう。
折る?
……間違えた。僕は別に君を殺したいわけじゃない。
僕はただ、君を誰の目にも触れないところへ閉じ込めたい。
僕はただ、君を僕だけのものにしてしまいたい。
あぁ、だったら首輪なんてどうかな。
君は色白だから、真っ赤な首輪が似合う。
ほらね。君にぴったりだ。
それを嵌めて僕は笑う。
と、君は振り返った。透明な視線で僕を見る。
「兵ちゃん」
「なぁに」
「何考えてた?」
見透かされている。思わず口角を上げた。
嵌めていたはずの首輪も、伸ばしていたはずの手さえも、塵と消える。
残ったのは君と僕の僅かな距離と、欲望。
「俺を捕まえたい?」
薄く笑って君は首を傾げる。
「…どちらかと言うと、閉じ込めたい」
「そっか」
僕達は永遠が欲しかった。
終わり。
兵きりは狂愛な感じ。