こんな日常




※二人は出来てます。





朝、目が覚めると土井先生はもう起きていて、だけど大抵は俺が起きるまで一緒に布団の中。
俺の顔を見て、朝日の中で微笑む先生はとてもきれい。でも…人の寝顔を眺めるなんて趣味が悪い。

先生はおはようと言って温かい手で俺の頭を撫でる。
俺もおはようございますと返して、先生の腕の中からそそくさと抜け出し、長屋共同の井戸に向かう。

冷たい水で顔を洗って家に戻ると、布団を畳んだ先生が入れ替わりに井戸に行く。
その間に俺は着替えて、ちょうど帰ってきた先生に声を掛けて新聞配達のアルバイトへ。

それが終わって帰ると、先生も洗濯を終わらせて、家で待っている。
お腹減ったーと甘えてくる先生に、はいはいと笑って粥とかを作る俺は、結構健気な妻してると思う。

それから一緒に朝飯を食って俺はまたアルバイト。
先生は本を読んだり俺にアルバイトを押し付けられたり。

夕方にはちゃんと引き上げて腹を空かせた先生に晩飯を作る。

なんだか俺、先生を餌付けしてるみたい。


でもこれが、俺達の日常。


そう。だからお願い。拗ねて背中を向けないで。
いつもみたいに笑って。

アルバイトに忙しくて最近ろくに先生としゃべらなかった。置いて貰ってる身として俺は少し反省した。
…反省したってば。

「先生、いい加減に機嫌直して下さい。ご飯冷めちゃいますよ? 一人で食べちゃいますよー?」

こう言うと、先生は読んでいた本をそっと置いて渋々こっちを向いて食事に手を出す。
余程一人で食べたくないんだろうな。先生ヘタレだから。

俺はそんなヘタレな先生を慰める。

「今日はちゃんと先生の相手しますから」

すると先生は不機嫌を上機嫌に変えて、いきなり俺を襲ってきた。

「あ、待って! そ、そういう意味じゃ、ない…違うってば…んっ!」


やっぱりこれも日常かも、と早くも痺れる頭で俺はぼんやり考えた。





終わり。
きりちゃん襲われ落ち3連発目(『休日』と『女装』と『こんな日常』)でした。












-エムブロ-