スネ夫サブとの二日目。この日もまた台風前の土砂降りでしたが、男性社員と男性派遣さん５人＋わたしの総動員体制でお店に立ちました。みんな手が埋まっていて、ずっと忙しい一日。

わたしは三組くらい接客して、最後のおじさんがめちゃくちゃ長くなったのです。二時間近くになっていたのかな。結局それだけ長引いて即決させられないって、自分の営業力が足りないってことなんです。

途中でバックヤードからスネ夫サブが出てきて、いいところで間に入ってくれました。そしたらもうさっきとお客様の反応がぜんぜん違う。サブが何か言うたび「えっ！？」って食い付き、目の色がぜんぜん。

だから前日に引き続き、ああやっぱりこの人には追いつけないなあって感じたのですよね。

それから修理の研修をやることになったのですが、昨日のクレームについて、新卒くんたちへのお説教タイムが始まってしまいました。その場にいるのが気まずすぎてじっと息をひそめていると、新卒くんたちの態度がなかなかに飛んでいて、どんどんスネ夫サブに同情する気持ちがわいてきます。

スネ「昨日、修理の料金表も申込み書も印刷されてなかったのどういうこと？俺、最新のメールで届いてるから印刷してカウンターにおいとけって言ったよね？」
新１「言いましたね。まあやろうとはしたんですけど、途中で忘れただけです。だから謝るのは無理です」
スネ「それで回ると思ったの？実際昨日テンパってたよね？ハウさんが、申込み書のフォーマットが旧式だから使えないって言った時も、おまえわかってなかったでしょ？最新のメール読んでないの？」
新１「いや読んでます。読んだけど人間だから忘れることもあるじゃないですか」
スネ「そもそも段取りが悪すぎんだよ。結局タスクリスト作っても全部中途半端に手をつけて終わらないじゃん。昨日だって、昨日やらなくてもいい仕事から始めてさ。在庫数えるのなんて今日でいいんだよ、今日なら６人も稼働してんだから手が12本あるでしょ。そしたらすぐ終わるじゃん」
新１「いや手は12本ないです。人間は2本しかないです」

もうずっとこんな感じで。なんだか先月までご一緒していた新卒の女の子を思い出してしまいました。サブが「おまえらの片方どっちか来月で切るわ」とまで言っても「別にいいっすよ、こっちはサブと違ってまだ若いんで仕事いくらでもあるんで」なんて反応なのですよね。

スネ「俺が入社したときの会社は新人いじめもパワハラもあったよ。俺○○に住んでるけど、帰宅は午前１時だったよ。でもそれが問題になって組織の顔ぶれが変わって、今めちゃくちゃクリーンな会社になった。おまえらは新卒でも社員として扱ってもらえてるでしょ。新人だからって先輩の送迎とかないでしょ。他のサブも店長もみんな優しかったよね？環境に恵まれてるってなんで気づかない？」
新１「恵まれてるとは思わないです。スネ夫サブはこうやって理不尽に怒るじゃないですか、でも前のサブや店長は、新卒はなにもしなくていいって優しかったですよ。今の環境はストレスでしかないです」
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結局研修は残業としてやることになりました。さすがにこの一連の流れを見たら、なにも教えずに定時であがりますとは言えませんでした。

サブ「どうやって彼氏候補探すの？」
ハウ「うーん？派遣先の社員さんはみんな結婚してるし派遣元はもう男の子いないし。となると……あっ、おしゃれなバーとか！」
スネ「なに、カウンターで女ひとり寂しく飲むんだ笑」
ハウ「そうそうそう」
スネ「で、自分を餌にして男を引き寄せると。はあ……笑」
ハウ「どうして首をかしげるのですか。大丈夫ですよ、なんとかなりますよ。ふふふ」
スネ「ほんと、どこからその自信が出てくるんだろうな。あれ、家はどこどこの方でしたっけ？」
ハウ「なになに駅ですね。ここから3駅くらい」
スネ「マジで？じゃあ2月に俺らがブースでやってたとき、家から遠すぎて結構きつかったんじゃない？」
ハウ「地獄でしたね。往復４時間かかるし、スネ夫サブのお説教も２時間コースだったし。でもあの洗礼があったから、ここまで図太くなれました。ふふふ」

スネ「まあ正直あのとき、ハウさんを俺の店に置いて教育したかったんだよね。でも販路違ったじゃん、だからそっちのコワモテサブがハウさんは出さないって離さなかったんすよ。俺はあのときはただの店長で、サブ以上の発言権はなかったから。今なら全然こっちに置けるんですけど」

ハウ「そっか、だからわたしはずっとコあそこのエリアにいられたんですね。コワモテサブと中国人店長に教育してもらえたことは本当に感謝しかないですよ。あの人たちのことが大好きだし、なにがあってもふたりの背中を追いかけようって決めていたから。でもスネ夫サブの下で働いていたら、それはそれでまた成長できてたんだろうなあって思います。今日、ひさしぶりにサブのお仕事を間近で見られてよかったです。ありがとうございました」

お店の閉め作業を終え、新卒くん２とさんにんで退勤しました。

続く

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