僕がとてもお世話になった先輩が卒業する。
先輩は父子家庭で、最近はお父さんとの関係がうまくいってなかったようだ。
家では会話らしい会話もなく、共通の趣味で始めたテニスも、今はラケットが悲しく転がっているだけになっていたらしい。

「なんか、ちょっと寂しい気がするんです」

そんなことを僕は生意気にも先輩に言った。
先輩は辛そうな顔をして、僕にぽつりと言った。

「そんなもんなんだよ」
「他人の家庭なんて、他人から見れば寂しいようなもんなんだよ」

そう言った先輩の背中が、とても悲しそうだったことを今でも覚えている。


僕の学校では、卒業式の後に塔に登る習慣がある。
いつから始まったかは知らないが、親子で登り塔の頂上で今までの学生生活を振り返るのだとか。
その先輩も、しぶしぶお父さんと登り始めた。
なぜか、僕も一緒に。
先輩の家に遊びに行ったときに、顔見知りではあった。
だけど、この塔に一緒に登るような関係では間違いなくないのだ。

「どうして僕なんですか」
「…なんとなくだよ」

頂上まで、先輩とお父さんの会話はなかった。
僕と先輩、僕とお父さんの会話はあったから、二人とも話すのが嫌いというわけではなさそうだ。
ここまで仲が悪くなるような出来事でもあったのだろうか。
そこまで踏み込む勇気は、僕にはなかった。


頂上につくと、先輩がお父さんにむけて言った。

「ありがとう」

短い言葉だったが、とても想いがこもった言葉だった。
実際お父さんは泣いていたし、僕も泣いた。

「ありがとう」

繰り返した先輩も、泣いていた。


僕はこのままじゃいけない、と思った。
思ってしまった。
気付いたら二人の手をとって、塔を降りていた。
二人の質問には答えず、目的地に向かって歩いた。
今日ばかりは勝手に使っても、学校側も怒らないだろう。
そんなことを考えながら、僕はテニスコートへ向かった。

「最後なんですから、思いっきりテニスやりませんか」

部室に転がっていたラケットを先輩とお父さんに渡す。
コートの隅に転がっていたボールは、先輩に押し付けた。



















…って夢を見たんですよw
一体どんな夢なんだ、と。

僕が通っていた小中高、今通っている大学にも塔に登るような習慣はありませんwww
てか、そんな習慣がある学校ってなんだよwww

ただ目が覚めた時はボロボロ泣いていました。
なんか、来るものがありましたよ。

僕の拙い文章では、伝わらないと思いますが。

それに父子家庭の先輩がいたことはないし、先輩とそこまで仲良くなったこともないです。
なぜこんな夢をみたのか…