🎩名探偵ホームズ1 深夜の恐怖
2013/08/18 09:15
こちらは偕成社から出ている全22巻の名探偵ホームズ全集の1巻目です。
児童向けのホームズ物語も読んでみようと思い図書館から借りてきました。
ちなみに「深夜の恐怖」の原題は『A Study in Scarlet(緋色の研究)』です。
「ランスさん、あなたは、おきのどくですが、警察では、あまりえらくなれそうもありませんね。あなたがたすけおこしてやったよっぱらいこそ、こんどの事件のなぞをとく男だったのです。」
「えっ、あのよっぱらいが?」
「そうです。ぼくや、レストレード君たちが、やっきになってゆくえをさがしている男だったのです。いまごろ、かれこれいってもしかたがありませんが、とにかくあなたは、またとないチャンスをにがしてしまったのです。――じゃ、ワトスン、帰ろう。」
ホームズは、ランス巡査に金貨をわたすと、ワトスンをつれて、馬車のほうへひきあげた。ランス巡査は、戸口につっ立って、ぽかんとした顔つきで、ホームズたちを見送っていた。
馬車が走りだすと、ワトスンがいった。
「ホームズ。あんなまじめそうな男に、なぜあんなひどいことをいったんだ。かわいそうに、出世するのをただ一つのたのしみにして、毎日つとめているのだろうに。」
「まじめかもしれんが、まぬけすぎるよ。あんなすばらしいチャンスをのがすなんて……。あの、よっぱらいさえつかまえておけば、ランス君は、巡査部長になれたろう。」
ホームズとワトスンの出会いの辺りは全面的にカットされていて、トビアス=グレグスンからの手紙が届くところから始まっています。
そして、ワトスンの一人称ではなく三人称になっています。
ホームズもどことなく丸くなっているような?
“背の高い、そばかすだらけの少年”というふうにベイカー・ストリート・イレギュラーズのウィギンスの見た目も書かれていて驚きました。
延原謙訳にはそんなこと書いていなかったぞww
同じ作品を翻訳しているのに訳者が違うだけでこうも大きく変わるのか・・・
特に昔の児童向けが面白い(°∀°)!
手元にある新潮社から出ている延原謙訳(旧版ではなく表現・表記の改訂された)ものと比較しながら読むのも楽しかったです。
01)深夜の恐怖
02)まだらの紐
03)消えた地獄船
04)影なき怪盗
05)四つの暗号
06)赤毛連盟の謎
07)悪魔のダイヤ
08)白銀号事件
09)ブナ屋敷の怪
10)恐怖の谷
11)姿なきスパイ
12)赤い輪の秘密
13)呪いの魔犬
14)謎の人間猿
15)運命の指紋
16)吸血鬼
17)踊る人形の秘密
18)覆面夫人
19)顔のない男
20)まぼろしの王妃
21)恐怖の金庫室
22)ミイラ館の謎
タイトルだけではどの作品なのかちょっとわかりにくいf(^_^;
※久米元一・野田開作・武田武彦・福島正実など翻訳者は一人ではありません。
※『深夜の恐怖』の翻訳者は久米元一です。
まだ読んだことはないので詳しくはわかりませんが、同じ偕成社から出ている柴田錬三郎訳の少年少女世界の名作11『名探偵ホームズ』には、ワトスンが出てこないかわりにベイカー・ストリート・イレギュラーズのウィギンスが活躍するみたいです。
このことを知って図書館で探してみたのですが、こちらの作品は残念ながら置いていませんでした。