益者三傑


[2016.12.13 13:05 Tue]
ヴァン+音也+レン

その日のワイの体調は良いとは言えへんかった。いつも饒舌なワイやけど、正直喋りとうないくらい喉は痛いし微熱もあった。

シェアハウスしてるHE★VENSのみんなにも声おかしない?みたいに訊かれたけどなんとか誤魔化して。でも…完璧風邪引いたわ…。


頼るためにはあと少しの勇気が必要です▼



喉の痛みに耐えながらトーク番組の収録を終えたワイがテレビ局の楽屋廊下を歩いとると…向こうから…レンちゃんと…えーっとなんていうたか瑛一とデュエットした…。その子が歩いてきた。

「あ…」

あかん目ぇ合った…!いつものワイなら話しかけるやろうな。いつも通りにせぇへんと。

「…よっ、レンちゃん!久しゅう!と…えーと…お…」

なんや「お」から始まる名前やったような!頭回らへん…これ以上間ぁ開けたらおかしいと思われる…!

「お…おーちゃん!ちゃんと会うのは初めてやな」
「へ?おーちゃんって…えっと初めまして」
「イッキ気にすることないよ」

2人の後方に見える楽屋には「神宮寺レンさま 一十木音也さま」とあって、とりあえず「お」で合うとったことに安堵したけど、名字…読めへんな。絶対「いっき」ではないやろ…。

変なアダ名付けるのが趣味なんだよ、とかレンちゃんがおーちゃんに教えとるけどレンちゃん…その言葉そのまま返すで…。

とかつらつら思いながら2人を見つめていると…。

「…やけに今日は静かだね?ツッコミが来るかと思ったけど」
「…あっ、ちょっと考え事をやな…」

無理矢理喋ったから喉がめっちゃ痛い…手が喉に行きそうなのを堪えた。

「それに…なんか声が掠れてないかい?」
「さっきトーク番組で暴れ回ったんや!せやからちょっと喉…が…」

あかん…痛い…!

「ヴァンさん!?苦しいの?」
「…っ」
「息が出来ないのかい…?」

思わず首を鷲掴みしてしもうて焦った声がかかる。そうやなくて喉が痛いだけなんやと、言いたくても声が出ぇへん…。暫くすると痛みが収まったので、スマホのメモ帳で「大丈夫や!喉が痛いだけやから」と伝えることに成功する。

「でもそんなに痛いなんて普通じゃないよ。オレ楽屋まだ使えるか訊いてくるよ。イッキは連れて戻ってて」
「了解!」

ちょ、なんか大事になってきた…!?急いで「大丈夫やて」と文字を打とうとしたけど、意外と力の強いおーちゃんに引っ張られてレンちゃんたちの楽屋に入った。




「はい、これマスクとのど飴。トキヤにもらったやつ持ってて良かったよ」
「けほっ…ありがとう…」
「ほんとは加湿器とかあればもっと良いんだろうけど…顔も赤いから冷やした方が良さそうだし…」

おーちゃん風邪の対処詳しいなぁ…。弟でもいてるんかな?

「イッキ、楽屋しばらく使っていいみたい」
「ありがとうレン」
「さっきまでは感じなかったけどマスクしてると具合悪そうに見えるね」

そんな気がしてたから局内でマスクせんかったんやけどな…。

「はい氷。タオルももらってきたからこれで冷やすといいよ」
「わ、レン気が利くね」
「レ…レンちゃん…ありがと…」
「無理に喋らない方がいいよ」

ありがとう、と心でもう1度呟くと早速おでこに氷を当ててみた。うぅ…めっちゃ気持ちええ…ちょっと気分は楽になった気がするわ…。

「だいぶ良さそうだね。もうちょっと休んで行ったら良さそうかな?今更だけどヴァンさんは次の仕事大丈夫だった?」

次の仕事は夕方で、時間に結構余裕があるからひとつ頷く。

「これは貸しだね?」

レンちゃんがにやにやと笑いながら言うてくる。まだちょっとしんどいのにからかわれて少しむっとしたけど、事実やなと思い返して…口の動きだけで「せやな」と返す。

「俺今日はもうオフで、この楽屋使い終わったらスタッフさんに言わなきゃだからまだ居ようかな。病人置いていけないし…」
「オレも居ようかな。面白いからね」

レンちゃん…理由おかしいやろ…。

でも、三男坊のレンちゃんが、おーちゃんみたいに年下といるとお兄さんぶってるのはなんかおもろいもん見れた気ぃするな。



結局次の仕事に向かう頃には、全快という訳にはいかんかったけど日常生活に支障が出ん程度に回復した。移動するワイはレンちゃんとおーちゃんとは別れて、2人が見送ってくれているのを背中で感じた。

『貸し』か…。HE★VENSの寮に食事でも食べに来てもらうんはどやろ?でもそしたら2人いう訳にはいかんやろな〜…結局ST☆RISH全員呼ぶことになりそうや。

今日のおーちゃんの手際の良さのことといい、もっとライバル同士互いに知るのも大事な気がしてきた。どうせなら泊まりにしてパジャマパーティーとか…めっちゃ楽しそうやない?みんなの恋話とか…あぁ、はーちゃんの取り合いになりそうやからそれは避けた方が良さそうやな…。

今度の現場では、ギリギリまでマスクをして喉をいたわって、関係者に喉風邪をひいたことを事前に言うて回ることにした。レンちゃんとおーちゃんにちょっと強引に世話を焼かれて…結果として頼ってみて、自分から言うて周囲に頼ることも時には必要なんやと思えた気がする。帰ったらみんなに粥でも作ってもらおかな。そう思って臨んだ仕事は、少しだけ普段と違った景色を見ることが出来たんや。




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ヴァンさんが気になってしゃーないんですっていうリハビリ文


161205〜161213







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