ホテルの夕食まで
まだ少し時間がある。


坂を下りて道後の街を散歩。

空気は冷たいけれど、Nさんの手は温かい。



『はい、撮るよ!』

所々でNさんはスマホ片手に
ふたりの写真を撮る。


『今まで写真なんか撮らなかったのに、
急にどうしたの?』


『記念にいっぱい撮っておきたいんだ。
そのうち色々忘れるだろ?』


そうね、
二人ともどんどん老いてゆくからね。笑




美味しい夕食と、
いいお湯を頂いてから、

部屋で寛いでいた。


時計はそろそろ夜中の12時を指そうとしてる。




『もうすぐお誕生日だね♪』


『ぁ〜 歳とっちゃうな〜( ̄∇ ̄)

ね、ちょっと遠くない? こっちおいでよ!』




数十秒前になるとNさんはスタンバった。


『誕生日を迎える瞬間に、
オレはやりたいことがある。』




言われた通り、
Nさんの隣に座った。



10・9・8・7……





唇を塞がれた。




『やだ(^^;)   なあに?』



『誕生日を迎える瞬間に、
ぷくぷくさんとkissしようって決めてた。』



『若い人が言うみたいなこと 言うのね。』




『来年の誕生日も、
その次の誕生日も…

オレと一緒にいてください。』




『はい(^-^)』





しかしここで、

重大なミスに気付く。



夜は早めに寝るつもりで、
まさか誕生日のカウントダウンをするとは思わなかった私は、


Nさんのためのプレゼントを
車内に置いてきてしまったのだ。





詰めが甘いわ…